ごめんね、足りなかったよね。

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1章 壊れた心

62話 邪魔

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 ランチは食べず、ワークスペースで勉強をした。主に試験の振り返りと、今日あしたの予復習。試験だけじゃなくて、将来のことも考えないといけない。大学に行きたいから、その準備をしないと。進学には点数が必要だ。ただ授業を受けて、試験で問題を解いているだけじゃ評価は上がらない。ボランティア活動をしたり、地域交流アクティビティに参加したりして、とにかく点数を稼がないと。
 午後の授業開始のベルが鳴る。私はいつも通り席に着き、ためていた息を吐いた。また、変なことを考えている。どうにもならないこと、意味のないこと、変わらないこと。私の努力だけでは足りなくて、溢れて、止められない。
 そういえば、人から頼まれたタスクは激減した。この前の試験の結果が振るわなかったから。それは仕方ない。切り替えて次の試験で挽回するしかない。空いた時間、自分磨きに集中した。まるで久しぶりの休みみたい。ただ、足が浮き立って落ち着かない。
 彼とは相変わらず会っていない。宙ぶらりんの関係が続くばかりで、進展がない。残念なことに、彼が私を拒否して対話しようとしないから。おかげで、周囲の人たちの格好の的となり、噂されることが増えた。それらの心ない言葉は、相手からしたら大したものじゃないかもしれない。私はいない人のように扱われているし、存在を認識されないだなんてざらにあった。今更ぶり返すものか、と呆れてしまった。
 人は簡単に変われないし、人を変えることなんてできない。ただ、私はそれを痛いほど理解しただけ。
 ……反対に、オーレリアンは私と話してくれる。これまで以上に。ずっと一緒にいるわけじゃない。いたいときだけ、時間ができたときだけ。
 彼との関係性はなんだろう。クラスメートだけでは足りない気がする。なんだろう。……いいものであるといいな。
 オーレリアンの言葉に目が覚めた。少し棘はあるけど、彼のものとは違う。むしろ嬉しいと感じている私がいる。彼は優しくて、私の心の奥底に沈んだ感情を汲んでくれる。だめなことははっきり言うし、かといってオブラートに包むこともある。くっつきすぎず、離れすぎない。絶妙な距離感でいる。……不思議なことに、そんな関係性でも満足してしまう。
 今日も、彼からの連絡は、なし、か。
『浮気しないでね? ほかの男といるんじゃねーよ』
『人の心ねえのかよ』
 糸が切れたとして、その束縛からすぐに逃れられるわけじゃない。今でも、彼の言葉が胸をぎゅっと締め付ける。痛い。痛いけれど、息をしないといけない。
 彼がいないとき、私は無意識に自傷するようになっていた。間違えて深く切りすぎて、大量に血が出る。真っ暗な部屋の中、あまりにも派手な赤。じわじわと広がっていく。黒い靄に包まれて、息を閉じ込めて。
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