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エピソード
Ep.3 帰省
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Ep.3 帰省
「……はぁ」
反発心もあったけど、いつまでこんなことしているのだろうという呆れもあった。社会性のないやつらと関わり、悪質な言動をしているから、いずれその代償を払うことになると。そこまで難しいことは考えないにしても、先の見えない将来を何も考えていない私は路頭に迷っていた。何かしたいわけじゃないし、夢なんて大した目標もない。毎日をその場しのぎで生きている。怒られることにも慣れて開き直っているし、カンカンな父を目の前にして笑える。それが異常だとわかっていながら、頑なに変えようとしない自分がいた。
今日も縄張り争いをして、8人の連中を一気に倒した。疲労と与えられたダメージが大きい。一緒に、河川敷の下に乗り込んだ4人も怪我を負っていた。さすがに家に帰ったり、治療したりすることを選んだ。現在時刻2時20分。大抵の病院は閉まっていて、家の明かりもついていない時間。肌寒い風が出血した傷に当たり、上着にこすれ、最悪な気分だった。人なんていない。そう思っていたけど……。どこからかバイクの音が聞こえて、特に気にせず煙草を吸った。ライターで火をつけて口にくわえる。足元を覆うくらいの長さのズボンのポケットに手を突っ込み、ひとまず今日は家に帰ることにした。ふと、バイクの音が止まる。吸い終わると口から出し、ぽいと地面に投げ捨てた。
「ちょっと、ユリシア。ポイ捨てはやめましょう」
「……はぁ?」
振り返ると、河川敷の上にバイクを引く男性がひとり。アトラス・ラヴェノール。4つ年上の大学生。ダークブラウンの髪が風に揺れ、コールグレーの瞳が影に落ちる。JHSからの知り合いで、昔は暴れん坊だった。今は進学し、悪いことから足を洗った。春休みで帰省し、久しぶりにたむろしていた場所にやってきたという。バイクを引いて下の道に進み、少しずつ私に近づく。逃げてもよかったのだけど、バイクで追いかけられそうだからやめた。
「なんであんたに言われなきゃいけないの? 別に関係ないじゃん」
「関係ないことはありませんよ。心配していますから」
「はぁ……」
ため息をついて腕を組む。爪先を動かして地面を蹴る。唇をぎゅっと結び、左の二の腕を押さえた。
「喧嘩したのですか」
「してない」
「傷口が膿んでしまう前に治療しましょう」
「いい。そんなのいらない」
この日、調子に乗った私は返り討ちに遭った。髪を引きちぎられ、顔面をボコボコに殴られ、ナイフで刺されそうになったから左腕を犠牲にした。着ていたジャージはボロボロになり、自分やだれかの血が付着していた。
「こんなこともあろうかと救急セットを持ってきました。さぁ見せてください」
「……はぁ」
反発心もあったけど、いつまでこんなことしているのだろうという呆れもあった。社会性のないやつらと関わり、悪質な言動をしているから、いずれその代償を払うことになると。そこまで難しいことは考えないにしても、先の見えない将来を何も考えていない私は路頭に迷っていた。何かしたいわけじゃないし、夢なんて大した目標もない。毎日をその場しのぎで生きている。怒られることにも慣れて開き直っているし、カンカンな父を目の前にして笑える。それが異常だとわかっていながら、頑なに変えようとしない自分がいた。
今日も縄張り争いをして、8人の連中を一気に倒した。疲労と与えられたダメージが大きい。一緒に、河川敷の下に乗り込んだ4人も怪我を負っていた。さすがに家に帰ったり、治療したりすることを選んだ。現在時刻2時20分。大抵の病院は閉まっていて、家の明かりもついていない時間。肌寒い風が出血した傷に当たり、上着にこすれ、最悪な気分だった。人なんていない。そう思っていたけど……。どこからかバイクの音が聞こえて、特に気にせず煙草を吸った。ライターで火をつけて口にくわえる。足元を覆うくらいの長さのズボンのポケットに手を突っ込み、ひとまず今日は家に帰ることにした。ふと、バイクの音が止まる。吸い終わると口から出し、ぽいと地面に投げ捨てた。
「ちょっと、ユリシア。ポイ捨てはやめましょう」
「……はぁ?」
振り返ると、河川敷の上にバイクを引く男性がひとり。アトラス・ラヴェノール。4つ年上の大学生。ダークブラウンの髪が風に揺れ、コールグレーの瞳が影に落ちる。JHSからの知り合いで、昔は暴れん坊だった。今は進学し、悪いことから足を洗った。春休みで帰省し、久しぶりにたむろしていた場所にやってきたという。バイクを引いて下の道に進み、少しずつ私に近づく。逃げてもよかったのだけど、バイクで追いかけられそうだからやめた。
「なんであんたに言われなきゃいけないの? 別に関係ないじゃん」
「関係ないことはありませんよ。心配していますから」
「はぁ……」
ため息をついて腕を組む。爪先を動かして地面を蹴る。唇をぎゅっと結び、左の二の腕を押さえた。
「喧嘩したのですか」
「してない」
「傷口が膿んでしまう前に治療しましょう」
「いい。そんなのいらない」
この日、調子に乗った私は返り討ちに遭った。髪を引きちぎられ、顔面をボコボコに殴られ、ナイフで刺されそうになったから左腕を犠牲にした。着ていたジャージはボロボロになり、自分やだれかの血が付着していた。
「こんなこともあろうかと救急セットを持ってきました。さぁ見せてください」
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