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28話 できるよ
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28話 できるよ
人の……頭?
そもそも、デートという目的ではなく、射撃の練習のため、遊園地に行くと約束したはずだ。……浮かれていた。フィディリスの目が、遊びでないことを必死に訴えているように見える。
この国では、正当防衛での発砲は認められているけど、故意に人を傷つけたり脅しの道具として使ったりすることは禁止されている。ただ、銃を所持しているだけでは罪に問われない。私は、これから法律を破ろうとしている。デスゲームのために、人を殺すために、銃の扱いを覚える。もちろんこれは遊びの銃だけど、いくらか役に立つだろう。
(見てて)
などと考えている間に、フィディリスは手を離して銃を構える。そして、一発撃った。パン、と高い音がして、見事、石鹸に当たり下へ落ちていく。撃ち方がプロのそれ。念の為確認するけど、本当に同級生だよね……? 一切のブレがなく、迷いなく、フォームが美しい。
「お上手ですね! 景品は多く用意していますので、どうぞ!」
「はい。遠慮なく」
よく見てみよう。フィディリスのフォームもそうだけど、どこを狙っているのか。さっき、頭を狙うよう言っていた。つまり……!?
「おめでとうございます! 下段はすべてお客様のものです!」
パン、パン、と連続で音がして、フィディリスは下段のすべての景品を撃ち落とした。でも無表情。キャストの方は、手を叩いて大喜び。ほかに客がいなくて目立つのは変わらず。フィディリスの腕がいいおかげで、視線が一点に集中。
「お客様もいかがですか?」
「え……。あ、はい」
突っ立っているだけじゃだめだ。何か行動しないと! 銃を取り、一番近いものを狙う。丸められた花柄のハンカチ。手が震える。ただの「もの」って分かっているのに、フィディリスの言葉を思い出すだけで困惑する。これを頭に見立てて……致命傷を探す……。中心がいいだろうか? 端にする? 落下点は? ……だめかも。
試しに5発撃ったけどまったく当たる様子がない。キャストも困って、言葉を失っている。フィディリスは撃つのをやめ、黙って、私が何をするのか見守った。
「……」
いきなりできるものじゃないか……。元々不器用だし、急にやろうとしても……空回りするだけって。
「ルナ?」
「……」
銃を元の場所に戻して息を吐き、俯く。見ていられない……。落ち込む……。
「ルミナス」
「……」
「聞こえる?」
「!」
右手を握られてはっと気づく。また、変なことを考えていたみたい。考え込むとどこかにいってしまう癖、どうにかならないかな……。
「コツがあるんだ。きっとできるよ。まずは……」
「……」
フィディリスは私の後ろに立って説明をする。もう一度銃を構えて、手の上に手が重なる。さっきと明らかに違うフォームになった。一点集中。息をして! 信じて!
人の……頭?
そもそも、デートという目的ではなく、射撃の練習のため、遊園地に行くと約束したはずだ。……浮かれていた。フィディリスの目が、遊びでないことを必死に訴えているように見える。
この国では、正当防衛での発砲は認められているけど、故意に人を傷つけたり脅しの道具として使ったりすることは禁止されている。ただ、銃を所持しているだけでは罪に問われない。私は、これから法律を破ろうとしている。デスゲームのために、人を殺すために、銃の扱いを覚える。もちろんこれは遊びの銃だけど、いくらか役に立つだろう。
(見てて)
などと考えている間に、フィディリスは手を離して銃を構える。そして、一発撃った。パン、と高い音がして、見事、石鹸に当たり下へ落ちていく。撃ち方がプロのそれ。念の為確認するけど、本当に同級生だよね……? 一切のブレがなく、迷いなく、フォームが美しい。
「お上手ですね! 景品は多く用意していますので、どうぞ!」
「はい。遠慮なく」
よく見てみよう。フィディリスのフォームもそうだけど、どこを狙っているのか。さっき、頭を狙うよう言っていた。つまり……!?
「おめでとうございます! 下段はすべてお客様のものです!」
パン、パン、と連続で音がして、フィディリスは下段のすべての景品を撃ち落とした。でも無表情。キャストの方は、手を叩いて大喜び。ほかに客がいなくて目立つのは変わらず。フィディリスの腕がいいおかげで、視線が一点に集中。
「お客様もいかがですか?」
「え……。あ、はい」
突っ立っているだけじゃだめだ。何か行動しないと! 銃を取り、一番近いものを狙う。丸められた花柄のハンカチ。手が震える。ただの「もの」って分かっているのに、フィディリスの言葉を思い出すだけで困惑する。これを頭に見立てて……致命傷を探す……。中心がいいだろうか? 端にする? 落下点は? ……だめかも。
試しに5発撃ったけどまったく当たる様子がない。キャストも困って、言葉を失っている。フィディリスは撃つのをやめ、黙って、私が何をするのか見守った。
「……」
いきなりできるものじゃないか……。元々不器用だし、急にやろうとしても……空回りするだけって。
「ルナ?」
「……」
銃を元の場所に戻して息を吐き、俯く。見ていられない……。落ち込む……。
「ルミナス」
「……」
「聞こえる?」
「!」
右手を握られてはっと気づく。また、変なことを考えていたみたい。考え込むとどこかにいってしまう癖、どうにかならないかな……。
「コツがあるんだ。きっとできるよ。まずは……」
「……」
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