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40話 不自然な記憶
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40話 不自然な記憶
10月30日13時00分――ハイスクール
遊園地での記憶が最後にあったけど、完全に途切れてしまった。
今、私の目の前には1枚の紙がある。『進路希望調査』と書かれたペラペラの紙だ。大抵の人は、ここにあることないことを書いて提出する。第1希望から第3希望までを埋める必要がある。確固たる目標がない私は、適当に書いて提出することにした。進路が本当に決まるとき……2週間後の試験とその後の面談が鍵となる。それまで、テキトーに書いても……いいか……。
「どう? 書けた?」
話しかけられて顔を上げる。フィディリスだ。同じ紙をひらひらと揺らして、お馴染みの笑顔を浮かべる。そして、私の横の席に座った。その席を普段使っている人は、今ここにいない。休み時間だから、皆の頭はお花畑なのだ。
「うん」
「見せて」
「どうぞ」
フィディリスから紙を受け取って見てみる。……「未記入」って、書いてあるんだけど。ナニコレ。口が△に尖る。
「……どういうこと?」
「大した夢がないからね。でも埋めなきゃいけないんでしょう? だから、未記入。そう書いた」
「え?」
意味がわからない。それで、先生が納得するわけない。
「あとで怒られるだろうねぇ。まあそのときに少し話すよ」
「……そう」
フィディリスは背伸びをして、どかっと椅子に寄りかかる。腕を組んで頭を下げ、うとうとしているから寝ようとしているのだろう。
「……」
ほかの人は、ほとんど進路を決めているだろう。進学、就職、何らかの目標を掲げて……。
私にはそういうものがない。だから、こういう類のものは本当に苦手だ。あとで先生に呼び出されてこっぴどく叱られる……。先が思いやられる。
キャリアデーを通して職の説明を聞いても、自分が働いている姿が想像できない。あやふやなままだ。それを何年も引きずったせいで、もう12年生になってしまった。ここからの進路はだれも保証してくれない。成績を取れたとしても、卒業したら行き先がない……つまり……本当に生きる意味のない人になってしまう。
「うわあ……あのふたり本当に仲が良いのね……」
「信じられない……」
だれかの囁き声が聞こえる。まあ無理もない。フィディリスが私の肩に寄りかかって、のんびりゆらゆらと寝ているのだから。重くないけど、人前だからやめてほしい。
「今一番熱いカップルだよね!」
「うんうん!」
「にしても、いきなりだよ! 信じられないっていうか」
「素敵なラブロマンスよ!」
うーん、どちらにせよどうでもいいというか。
最近、フィディリスは赤ちゃんみたいに私に甘えている。手をつないだり、肩を寄せ合ったり、ハグしたり。いつどこでも隣にフィディリスがいる。登校してから下校するまで、ずっと。私が嫌がらないからか、本当にべったりなのだ。
「てか、あしたは最後のキャリアデーだよね。場所は博物館。ほぼ旅行みたいなものだから、楽しも!」
「賛成っ!」
10月30日13時00分――ハイスクール
遊園地での記憶が最後にあったけど、完全に途切れてしまった。
今、私の目の前には1枚の紙がある。『進路希望調査』と書かれたペラペラの紙だ。大抵の人は、ここにあることないことを書いて提出する。第1希望から第3希望までを埋める必要がある。確固たる目標がない私は、適当に書いて提出することにした。進路が本当に決まるとき……2週間後の試験とその後の面談が鍵となる。それまで、テキトーに書いても……いいか……。
「どう? 書けた?」
話しかけられて顔を上げる。フィディリスだ。同じ紙をひらひらと揺らして、お馴染みの笑顔を浮かべる。そして、私の横の席に座った。その席を普段使っている人は、今ここにいない。休み時間だから、皆の頭はお花畑なのだ。
「うん」
「見せて」
「どうぞ」
フィディリスから紙を受け取って見てみる。……「未記入」って、書いてあるんだけど。ナニコレ。口が△に尖る。
「……どういうこと?」
「大した夢がないからね。でも埋めなきゃいけないんでしょう? だから、未記入。そう書いた」
「え?」
意味がわからない。それで、先生が納得するわけない。
「あとで怒られるだろうねぇ。まあそのときに少し話すよ」
「……そう」
フィディリスは背伸びをして、どかっと椅子に寄りかかる。腕を組んで頭を下げ、うとうとしているから寝ようとしているのだろう。
「……」
ほかの人は、ほとんど進路を決めているだろう。進学、就職、何らかの目標を掲げて……。
私にはそういうものがない。だから、こういう類のものは本当に苦手だ。あとで先生に呼び出されてこっぴどく叱られる……。先が思いやられる。
キャリアデーを通して職の説明を聞いても、自分が働いている姿が想像できない。あやふやなままだ。それを何年も引きずったせいで、もう12年生になってしまった。ここからの進路はだれも保証してくれない。成績を取れたとしても、卒業したら行き先がない……つまり……本当に生きる意味のない人になってしまう。
「うわあ……あのふたり本当に仲が良いのね……」
「信じられない……」
だれかの囁き声が聞こえる。まあ無理もない。フィディリスが私の肩に寄りかかって、のんびりゆらゆらと寝ているのだから。重くないけど、人前だからやめてほしい。
「今一番熱いカップルだよね!」
「うんうん!」
「にしても、いきなりだよ! 信じられないっていうか」
「素敵なラブロマンスよ!」
うーん、どちらにせよどうでもいいというか。
最近、フィディリスは赤ちゃんみたいに私に甘えている。手をつないだり、肩を寄せ合ったり、ハグしたり。いつどこでも隣にフィディリスがいる。登校してから下校するまで、ずっと。私が嫌がらないからか、本当にべったりなのだ。
「てか、あしたは最後のキャリアデーだよね。場所は博物館。ほぼ旅行みたいなものだから、楽しも!」
「賛成っ!」
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