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第2章 追撃の蒼煙
欠片の光と鳴動
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谷底の岩陰に潜むフィアは、岩肌に背を預けて息を潜めていた。
風は止み、空気はじっとりと湿った鉱塵のにおいを孕んでいる。
朝は始まったはずなのに、陽光は峡谷の底まで届かず、ただ岩と影が冷たく寄り添っていた。
フィアの胸元――そこに吊るされた“欠片”が静かに震えていた。
ただの石ではない。そこに宿るのは、明確な“意志”だった。
(怖い……でも、目を離せない)
欠片は淡く光を灯しながら、彼女の鼓動と微かにずれて脈を打っていた。
それは彼女の命とは別の律動。まるで、どこか“別の時空”と繋がっているかのようだった。
不意に、その光が岩壁へと滲んでいく。
フィアが驚きの息を呑む間に、岩肌にいくつもの線が浮かび上がった。
それはルーン――見たことのない言霊の図形。
風を象るような渦が連なり、幾何学的な円環が脈動するたび、光が脈打った。
(これは……呼ばれてる?)
指先を伸ばし、そっと触れる。
途端に欠片が強く発光し、耳奥に“声”のようなものが届いた。
──呼べ。風を。
言葉にならぬ響き。それでも意味だけははっきり届いた。
そして、風が鳴いた。
谷全体を駆け抜ける気流。乾いた大気が低く唸り、音となって峡谷を満たす。
それは、フィアがこの世界で初めて聞いた“風の鳴き声”だった。
帝国兵たちが遠くでざわめく。
「風が……鳴った? ここで?」「ルーン反応か?いや、これは……!」
混乱。動揺。
その隙に、フィアは立ち上がった。
欠片の光が彼女の背に翼のように残光を描く。
そして風が、彼女の行く手に浮遊するように道を示していた。
風は止み、空気はじっとりと湿った鉱塵のにおいを孕んでいる。
朝は始まったはずなのに、陽光は峡谷の底まで届かず、ただ岩と影が冷たく寄り添っていた。
フィアの胸元――そこに吊るされた“欠片”が静かに震えていた。
ただの石ではない。そこに宿るのは、明確な“意志”だった。
(怖い……でも、目を離せない)
欠片は淡く光を灯しながら、彼女の鼓動と微かにずれて脈を打っていた。
それは彼女の命とは別の律動。まるで、どこか“別の時空”と繋がっているかのようだった。
不意に、その光が岩壁へと滲んでいく。
フィアが驚きの息を呑む間に、岩肌にいくつもの線が浮かび上がった。
それはルーン――見たことのない言霊の図形。
風を象るような渦が連なり、幾何学的な円環が脈動するたび、光が脈打った。
(これは……呼ばれてる?)
指先を伸ばし、そっと触れる。
途端に欠片が強く発光し、耳奥に“声”のようなものが届いた。
──呼べ。風を。
言葉にならぬ響き。それでも意味だけははっきり届いた。
そして、風が鳴いた。
谷全体を駆け抜ける気流。乾いた大気が低く唸り、音となって峡谷を満たす。
それは、フィアがこの世界で初めて聞いた“風の鳴き声”だった。
帝国兵たちが遠くでざわめく。
「風が……鳴った? ここで?」「ルーン反応か?いや、これは……!」
混乱。動揺。
その隙に、フィアは立ち上がった。
欠片の光が彼女の背に翼のように残光を描く。
そして風が、彼女の行く手に浮遊するように道を示していた。
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