逆ハーレムエンド万歳な乙女ゲームの悪役王女に転生したヤンキーで修理工なオレは攻略対象者に真実の愛を見つけて欲しいと願う

特急マトカ

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いざ会いに行きます

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 さて、逆ハーレムルートでは平和を乱した罪だとか国家反逆罪とかヒロインをいじめた罪とかなんだかよくわからない罪まで重なって火炙りになるオレだが、ゼロセブンルートでどう死ぬかと言えば確か『ゼロセブンの気を引こうとゼロセブンの研究成果を横取りしてその尋問中に死亡』だ。全年齢ゲームなので色々とぼかして表現されていたが、ようは『尋問という名の拷問によって死亡』そう考えていいだろう。…ろくな死に方しないな、オレ。


 そして今のオレはゼロセブンの研究成果を横取りする気もなければそもそもの動機である『ゼロセブンの気を引く』気がさっぱりない。いや、ゲームの強制力でもしかすると出会った瞬間ゼロセブンに惚れてしまう可能性もあるわけだが、そうなったら頼りになる相棒に一発殴ってもらって解決しよう。


「オレがゼロセブンに惚れそうになってたら一発痛いの頼むぞ」

「畏まりました」


 これで良し。

 なんの躊躇いもなく頷くオディットに少々傷つくが、信頼の証ということにしておこう。


 そもそもこのクソゲ…もとい『ルージュ・ヴェール~五つの王国と絆の乙女~』だが、逆ハーレム推奨ゲームの割には細かく個別ルートが存在する。ということはつまり、絆の乙女が逆ハーレムを築かなくても世界の平和にはなんの問題もないと考えていいだろう。…多分。ゲームの最後だとヒロインと選ばれたイケメンは世界の覇権を握っていたが、まさかそのあと暴力で世界を統一するわけではあるまい。…ないよね?


「なぁ、お前って"真実の愛"ルートのそのあとの知識までダウンロードされてるのか?」

「…その後ですか?"ひろいん"と世界の覇権を…なんで世界の覇権を握ってるんだ…?あ、いえ、失礼しました。…コホン、世界の覇権を握ったあとは、人の国のために精力的に活動した…という知識だけですね」


 顔を顰めつつそう教えてくれたオディット。

 オディットも世界の覇権を握るところに疑問を持ってくれて嬉しく思うぞ。おかしいよな、当代の母があの様子なのに。

 オディットの話を聞いてオレはよし、と頷く。これでとりあえずゲームクリア後の憂いはない。


 と、なると。オレとしてはヒロインちゃんが誰と次代の絆の乙女になってくれても何の問題はないわけだが…、どのルートでもオレが死んでいることがやっぱり一番の問題なのか。

 それにもしゲームの強制力が働いたとして、これから出会うであろうイケメンたちが人形のようにヒロインの都合の良い玩具になり、消費されるなんて黙って見ていられない気がする。

 オレはオレで死なずに好きな人を見つけ(女になっていることはとりあえず置いておく)、イケメンたちにも好きな人を見つけて貰って、ヒロインちゃんにも…まぁ、好きに生きてもらいたいものだ。


 ゲームのシナリオだろうが、世界や国に決められたことだろうが、他人の敷いたレールをただ歩くなんてオレは嫌だね。まぁ、これから会うイケメンくんたちがそれを良し、とするならオレは何も言わないが。

 他人の生き様に文句つけられるほどオレは偉くも正しくもないのだ。

 ゲーム世界の理不尽や不条理に出会わない限りは、オレはオレとオディットを一番大事にして生きていく。

 そう決めたのだ。


 まぁ、まずはゼロセブンだ。

 というわけで城の応接間にやってきたオレたちだったが…。


「…こないな。ゼロセブンくん」

「来ませんね」


 思考に耽って暫く経ったが、一向にゼロセブンが現れる様子がない。

 オディットも手元の懐中時計を開いて、首を傾げている。


「というか、懐中時計なんてあるんだ」

「げーむの世界ですので」

「そんなこと言うなよ…」


 しれっと自虐まじりに笑うオディットに思わず呆れた目をしてしまう。

 それにしてもこの世界に懐中時計があることをおかしいと思えるとは…。こいつ、ゲームのシナリオ以外に現代日本の知識とか世界知識とかもそれなりにダウンロードされてそうだな。どういう仕組みなんだか、いったい。

 オレがぽけっとそんなことを考えてると、慌てた様子のメイドが一人オディットに近寄り何事かを耳打ちしている。


「どうしたんだ?」

「それがゼロセブン様なのですが、試験的に城に設置された"水洗といれ"なるものの様子をみていると」

「水洗トイレ!?」


 オレは思わずガタッと音を立てて立ち上がる。それにオディットくんの眉が寄ったが、そんなもの気にしていられない。だって聞いたか?水洗トイレだ!

 この世界、ちょこちょこ文明レベルのおかしいものがあるが、何故かトイレだけは近世ヨーロッパの世界観にマッチしていた。その結果が壺。トイレが壺なのだ。陶器の無駄に凝った装飾のやつ。そこにこだわりはいらなかったなーなんて何度思ったことか。

 オレが男じゃなきゃ泣いてたぜ、と思っていたところなのだ。

 喜びを隠せないオレを怪訝な目で見ていたオディットだが、新たな現代知識がダウンロードされたのか、次第に顔色が嬉しそうに変化していく。…本当にそれどういう仕組みなの。


「なるほど、水洗トイレですか。これは実に衛生的で、便利そうだ」

「だろだろ!?下水道工事なんていつの間にやってたんだか全然気付かなかったよ!なぁ、オレたちも見に行こうぜ!」

「そうですね、ここで待っていてもいつゼロセブン様がお見えになるかわかりませんし…」


 オディットもそれならば仕方ない、と言った様子で頷いた。

 ちょっとそわそわしてるのがわかるぞ。優しいオレはわざわざ指摘しないがな。


 いざ、水洗トイレに会いに!…違った、ゼロセブン様をお迎えに行こうではないか!
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