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理想と現実
しおりを挟む「ちょっと!ここ食堂ですよ!離れてください!」
「はいはい、わかったよ。相変わらずガード固いなー、伊織は」
「先輩が軽すぎるんですよ!」
変な雰囲気に持ち込まれそうになったのを、慌てて回避する。
この俺様会長に好き勝手させてたら、気づいたらベットの上──なんてことも有り得るからな。
先輩があの甘ったるい空気を引っ込めてくれて、ようやく俺も一息つける。
しかし、そんな俺を休ませる気などさらさらないらしい先輩は、追い打ちをかけるように爆弾発言をぶっ込んできた。
「なあ伊織ー、お前生徒会に入らねえか?委員会とかけ持ちでいいからさ」
「……何言ってるんですか。僕は『風紀』委員ですよ?」
突拍子もないことを言い始めた先輩に、驚き呆れてしまう。
表向き、生徒会と風紀委員会は代々対立関係というか、ライバルのように思われているのだ。
それを二つかけ持ちするなど、裏切りだのスパイだのと厄介な疑惑をかけられかねない。
お互いに絶大な支持を得ているからこそ、激しい争いが起こることは簡単に想像出来る。
「……俺は、まさにその生徒会vs風紀っていう構図自体をぶっ壊したいんだよ」
ぽつり、と呟く先輩の横顔は珍しく真剣そのもので、先輩が本気であることがうかがえた。
生徒会と風紀の統一化。
考えたことがないわけではない。
今の学園は生徒会と風紀が別組織として存在していて、しかも力が拮抗している。
そこの二つが繋がっていないせいで、伝達が遅れたり食い違ったりすることもしばしば。
重要事項の決定とかも両方を通さないといけないから、二度手間になってて結構めんどくさい。
風紀副委員長になって早1ヶ月、仕事の多さに日々嘆いていた俺も、『生徒会と風紀が連携してくれたらもっと楽なのに!!』などと考えたのは一度や二度ではない。
でも、やっぱり俺は自分の身が一番大事なのだ。
「その考えが理解できないわけではありませんが、それとこれとは別問題です。
……少なくとも僕は、生徒会と風紀の『橋渡し』にはなれませんよ」
鳳凰学園が始まって以来ずっと続く、この歴史的な因縁を解く者がいるとすれば、それは俺ではない。
なんたって俺は常に自分の安全が第一、危ない橋は渡らない主義だ。
きっと、俺では役不足だろう。
「お前は優秀だし、やらせたら上手くやると思うんだけどなー。生徒会と風紀が統一されたら、風紀の仕事も多少は減るぞ?これこそwin-winだろ」
「嫌ですよ。たとえ仕事が半分になっても、かけ持ちするなら忙しさは今と変わらない……どころか悪化する可能性すらありますよね?生徒の不満を抑えきれる自信もありませんし……。
どう考えても僕の一人負けでしょう」
(仕事が楽になるとはいえ、その『楽』が学校全体で起こるであろう大混乱と引き換えにってなると、さすがに割に合わないよなぁ)
基本的に安定志向の俺は、できれば平穏に学園生活を送りたいと思っている。
……まあ、現状、平穏とは程遠いところにいるんだけども。それは俺自身も『なんで?』と首を傾げている。ほんとになんで?
反対に、天城先輩は超がつくほどの自由人で、周りの意見なんて全く気にしない。
『安定』とか『平穏』とかいう言葉はつまんねえとばかりに色々と騒ぎを起こしている人だ。
ただ、好き勝手やってはいるが、何も考えずに暴れ回っているのではなく、その後の展開を全てわかった上で動いているのがあの人のすごいところだ。
そのせいか、あれだけ騒ぎを起こしまくっているのに、一度も大きな事件に発展したことはない。
そこまで頭が回るのなら、初めから何もしないで欲しいんですけどね!!!
「ダメかー。お前ほんっとにガード固いな……まあ、まだ五月だから焦る必要はないか。今日のところは許してやるよ」
『今日のところは』って、この勧誘これからも続くんですか……?
勘弁して……。
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