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俺様会長と香水
しおりを挟む「別に、お前がいなきゃ困るってわけじゃないんだけどな。今年の生徒会は悪くないメンバーが集まってる。全員ちゃんと仕事できるし……黒柳はギリギリになりがちだが」
言われてんぞ、黒柳。
あの自由人の会長にまで言及されるぐらいマイペースって、もはやすごい。
「黒柳くんも、やる時はきちんとやると思いますので……」
苦笑しつつ黒柳のフォローを入れながら、ふと会長に聞きたかったことを思い出した。
「そういえば、転校生が来るそうですけど……どうする予定なんですか?」
「どう……って、学園内を案内するくらいだよ」
「案内は会長おひとりで?」
「ああ。理事長じきじきのご指名でな。人見知りがどうとかで、俺が一人でご案内するんだとさ。カワイイ奴ならやる気も出るんだが」
それは『やる気』か『ヤる気』かどっちなんだ。どっちもだろうな。
このヤリチン会長め。
「……転校初日で食べないでくださいよ?」
天城先輩のことだから、そこそこタイプで自分のこと好きそうだったらソッコーで押し倒すだろう。
そして一晩やったら綺麗さっぱり忘れるに違いない。もうほんと最低。
そして、哀れな子羊────もとい転校生は、淡い恋心を弄ばれた挙句、『僕って会長に気に入られてる……?』なんて勘違いをしてしまうのだ。
俺には親衛隊と揉めまくる未来しか見えないので、お願いだから自重してほしい。
「そりゃあソイツ次第だなぁ。……なんだよ伊織、俺がソイツと寝たらイヤなのか?」
突然、肩に腕を回されて、グイッと引き寄せられた。
近づいた先輩の顔はニヤニヤと意地悪そうな笑顔を浮かべていて、ちょっと腹が立ったからそのイケメンな顔を視界から外す。
「もう、離してくださいよ……」
「ほら伊織ー、早く答えろよー。俺が転校生と寝たらイヤなのかよー?」
小馬鹿にしたような口調がめちゃくちゃうざくて、思わず先輩ということも忘れて舌打ちしそうになった。
あぶねー。
視線を落とせば、先輩の制服のシャツが目の前に広がっていて、シワひとつないそれは自分と同じ物のはずなのに、ずっと質が良さそうに見える。
あとなんか、香水?みたいな匂いがするんだけど……え?高校生だよね?
高校生って香水つけんの?
男のくせに女子力高くない?
これが金持ちパワーか……。
なんてことをつらつらと考えながら、
先輩の言葉を脳内で反芻する。
(先輩と転校生が寝たらイヤかって、そりゃ嫌に決まってるよな。十中八九先輩の親衛隊が荒れて、また俺が胃痛と戦うことになるだろうし……。ていうか転校生に限らず先輩は問題起こしすぎなんだよ。もう先輩のこと見張ってるだけで仕事が半分は減る気がする。そして俺の胃痛も半減……!)
とんでもない名案を思いついてしまったかもしれない。
うっきうきでそれを提案しようと、天城先輩を見上げる。
「転校生とは寝ないで欲しいですね。それより、僕とずっと一緒にいてくれませんか?……僕の身体のために」
「は?」
「あ、やっぱダメですか。そうですよね、お互い仕事も忙しいし学年も違うし……無理言ってすみません」
すんごい顔で『は?』と言われたので、即座に撤回した。
何かが逆鱗に触れてしまったのかもしれない。
まあ、実際あんま現実的な案じゃないのはわかってたし、いいんだけど。
「いや、え?ちょっと待て、お前今の、どういう」
なおも言い募ろうとする先輩に、冷や汗が垂れる。
これはもしかして激おこパターンだろうか。だとしたらやばい。
『黒狼の君』とかいう異名を持つ先輩は、怒らせると、一度噛み付いたら死ぬまで放さない狼のごとく、徹底的に潰しに来ることで有名だ。なにそれめっちゃ怖い。
ちょっと厨二っぽい二つ名だなぁ、とか思ってたなんて、死んでも言えないわ、怖すぎて。
「それより、いい加減そろそろ重いので、下ろしてくれません?」
とりあえず、いざという時すぐ逃げられるように、先輩の腕の中から抜け出しておこう。
ほどよく鍛えられた硬い腕を何とか持ち上げて、俺の首に巻きついていたのを引き剥がす。
先輩の腕が重すぎて首が痛い。女の子みたいに柔らかい細腕になってから出直してきて下さい。
フワリ
無理に先輩の腕を動かすと、やはり香水のようないい香りが漂う。
爽やかでありながら、どことなく甘さを漂わせるそれは、天城先輩によく似合っている気がした。
(この匂い、好きかも……絶対高いけど)
身体を離すにつれて薄れていく香水の香りが、少しだけ名残り惜しくて────俺は鼻をスン、と鳴らした。
「…………お前、犬かよ……」
「はい?」
「……何でもねえ。それより、さっきの…………いや、いいや。どうせお前のことだから何も考えてねえんだろ」
「……何のことか分かりませんけど、馬鹿にされてるってことだけはわかります」
キレていいですか?と右拳を握って、にこっと笑いかければ、先輩は口の端だけで笑って俺の頭を撫でた。
子供扱いか?ナメてやがる……。
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