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夜の作戦会議
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深夜。
少女たちはマイアの自室で古びた地図を囲んでいた。
夜の鍛錬が終わり風呂に入った彼女らは何とも悩ましい格好をしている。
「アメリア、あなた本当に大きいわね……」
「そう、ですね。こいつ脳の養分は胸にいってるんですよ、きっとバカです」
「ひ、ひどいです! ミサキさんにバカって言われるなんてこの世の終わりですぅ」
「いじめるのはそのくらいにして話を始めましょう」
涙目になるアメリアをの頭を撫でながら本題に入るマイア。3人はアルシア王国を手中に収めるための作戦会議を行うために集まっていた。マイアはミサキにも分かるように話すため言葉を選んでいた。
「では、まずミサキ。あなたはこの世界のことをほとんど知らないわよね?」
「そうですね。あの地理の授業はあんまり聞いてませんでしたから」
「じゃあそこから始めましょう」
そういったマイアは地図を指さしながら続ける。
「この地図から分かるようにこの世界は5つの大陸から成り立っているの。東西南北の大陸と中央大陸、私たちがいるのはこの中央大陸。そして、中央大陸の東側にあるのがアルシア王国よ。ここまではいい?」
「はい、位置関係はなんとなくわかりました。それで姐さん。この黒い大陸は何ですか?」
ミサキが指さすのは北の大陸と南の大陸。
「あぁ、そこは魔族の領土よ。ミサキの世界にはいなかったの? 魔族」
「聞いたことないですね。その魔族っていうのは化物なんですか?」
「んー、大元のところから話した方が良さそうね。アメリア、ちょっと魔石持ってきてくれる?」
頭を撫でられ眠りそうになっていたアメリアは飛び起き、はいぃと部屋から出ていった。
そんな様子を見届けてからマイアはこほんと咳払いをする。
「むかーしむかし。この地上に無数の隕石が降ってきました。その隕石は地面をえぐり、そのえぐれた部分が今の海になったと言われています。そして隕石には2種類あって、ひとつは月の光を凝縮した石ころ、これを魔石と言います。もうひとつは生命を含んだ隕石です。こっちの隕石から生まれたのが魔族と言われる者たちです」
先と同じように「ここまでいい?」と問いかける目をミサキに向けるマイア。
「姐さん。あたしそこまで子供じゃないっすよ。全然わかると思いますから、いつも通りでお願いしますっ」
「そう」と短く返事をしたマイアは姿勢を直す。
「じゃあ、続けるわね――」
そこまで言ったところでマイアの自室の扉が開かれた。
扉の向こうから現れたのは、侍女長メリルとその腕に首根っこを掴まれ涙目のアメリア。
「はぅ、捕まってしまいましたぁ」
「もう何やっているんですか、お嬢様。朝はお早いのですから早く寝てください」
「あら見つかってしまいましたか。そうね、じゃあ今夜はお開きにしましょう」
解散した後の部屋で、マイアは窓際から空を眺めていた。
「あの子、本当に違う世界から来たのかもしれないわね……」
そう言った彼女の目には4つの大小さまざまな月が映っていた。
少女たちはマイアの自室で古びた地図を囲んでいた。
夜の鍛錬が終わり風呂に入った彼女らは何とも悩ましい格好をしている。
「アメリア、あなた本当に大きいわね……」
「そう、ですね。こいつ脳の養分は胸にいってるんですよ、きっとバカです」
「ひ、ひどいです! ミサキさんにバカって言われるなんてこの世の終わりですぅ」
「いじめるのはそのくらいにして話を始めましょう」
涙目になるアメリアをの頭を撫でながら本題に入るマイア。3人はアルシア王国を手中に収めるための作戦会議を行うために集まっていた。マイアはミサキにも分かるように話すため言葉を選んでいた。
「では、まずミサキ。あなたはこの世界のことをほとんど知らないわよね?」
「そうですね。あの地理の授業はあんまり聞いてませんでしたから」
「じゃあそこから始めましょう」
そういったマイアは地図を指さしながら続ける。
「この地図から分かるようにこの世界は5つの大陸から成り立っているの。東西南北の大陸と中央大陸、私たちがいるのはこの中央大陸。そして、中央大陸の東側にあるのがアルシア王国よ。ここまではいい?」
「はい、位置関係はなんとなくわかりました。それで姐さん。この黒い大陸は何ですか?」
ミサキが指さすのは北の大陸と南の大陸。
「あぁ、そこは魔族の領土よ。ミサキの世界にはいなかったの? 魔族」
「聞いたことないですね。その魔族っていうのは化物なんですか?」
「んー、大元のところから話した方が良さそうね。アメリア、ちょっと魔石持ってきてくれる?」
頭を撫でられ眠りそうになっていたアメリアは飛び起き、はいぃと部屋から出ていった。
そんな様子を見届けてからマイアはこほんと咳払いをする。
「むかーしむかし。この地上に無数の隕石が降ってきました。その隕石は地面をえぐり、そのえぐれた部分が今の海になったと言われています。そして隕石には2種類あって、ひとつは月の光を凝縮した石ころ、これを魔石と言います。もうひとつは生命を含んだ隕石です。こっちの隕石から生まれたのが魔族と言われる者たちです」
先と同じように「ここまでいい?」と問いかける目をミサキに向けるマイア。
「姐さん。あたしそこまで子供じゃないっすよ。全然わかると思いますから、いつも通りでお願いしますっ」
「そう」と短く返事をしたマイアは姿勢を直す。
「じゃあ、続けるわね――」
そこまで言ったところでマイアの自室の扉が開かれた。
扉の向こうから現れたのは、侍女長メリルとその腕に首根っこを掴まれ涙目のアメリア。
「はぅ、捕まってしまいましたぁ」
「もう何やっているんですか、お嬢様。朝はお早いのですから早く寝てください」
「あら見つかってしまいましたか。そうね、じゃあ今夜はお開きにしましょう」
解散した後の部屋で、マイアは窓際から空を眺めていた。
「あの子、本当に違う世界から来たのかもしれないわね……」
そう言った彼女の目には4つの大小さまざまな月が映っていた。
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