元ヤンは公爵令嬢の姐さんに一生ついていきます

桜杜あさひ

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修理

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 朝の鍛錬を続けるようになって1週間ほどが経とうとしていた。
 まだ慣れないミサキだったが、今日は気合の入り方が違う。

「な、なんで、今日のミサキさんそんなに元気なんですかぁ」
「そうよ、なに、私に若さを見せつけたいの?」

 息を荒くしながら、アメリアとメリルがミサキの後に続く。

「ははは、いやー今日は楽しみだなぁ」

 当のミサキに2人の言葉は聞こえておらず、今にもスキップしそうな勢いだ。
 そんな様子を見て、ミサキの前を走るマイアも微笑む。

(……あまり期待しすぎて後でがっかりしないといいけどね)
 マイアは一抹の不安も感じながら朝の走り込みを終える。

「じゃあ、今日は学園に行く前に用事があるから朝の鍛錬はこのくらいにしましょうか」
 
 マイアがミサキに目配せすると、はいっと元気に返事をするミサキだった。


 静寂な空気が馬車の中を支配していた。
 王都からの帰路であった。
 重苦しい雰囲気を脱しようとアメリアが口を開く。

「……そのぉ、ミサキさん? あのカラクリは何だったんですか」

 すると、静寂を保っていたミサキはいじけたように言った。

「……あれは『ピンクパンサー1号』だ。あたしの宝物のひとつだ」

「そ、そうだったんですね。それは残念でしたね……」

 再び馬車の中に静寂が広がる。
 今度はマイアが口を開く。

「ミサキ? ずっといじけてても状況は変わらないわよ」

「……だって、直ると思って……楽しみにしてたんすよ……」
 今日、王都に行った一行は修理に出していたミサキのバイクを鍛冶屋まで取りに行っていた。

 1週間も心待ちにしていたはずのそれは、半壊状態のままで帰ってきた。
 大枠の外見は直ったものの細かい部分は壊れたままだった。
 外見を見たミサキは一瞬喜んだが、詳細な部位を見てすぐに落胆した。

「その、あんなカラクリは王都でも見たことないし、しょうがなかったんじゃないかしら」

 なだめるようにミサキに話しかけるマイア。

「まぁ、しょうがないっすよね……」

 数秒の間が開いたのち、思わずアメリアは立ち上がって、

「あーもう! いつものミサキさんはどうしたんですか。王都の鍛冶師が治せなかったなら自分で直せばいいじゃないですか!」

 突然の言葉にマイアとミサキは目を見開いて時を止めていた。
 数秒後、アメリアは自分に注目が集まると顔をボンッと赤くして、

「はわわわわ、だって、ミサキさん器用じゃないですか。生垣を変な形にするときとか……」

「そうだな……うん、そうだよな! 自分で直しゃいいんだ。ありがとう、アメリア!」
「えへへ」
「しかし! 変な形とはなんだ! あれはアートだ、って言ってんだろ」
「はわわわわ、ごめんなさいぃ」

 数秒の後に元気を取り戻したミサキだった。
 
 ミサキの正面に座っていたマイアはそんな2人のやり取りを見て、ぷくーっと頬を膨らませていた。
(なによ、私が慰めても元気にならなかったくせに……)

 そんな気持ちなど気付くはずもないミサキはアメリアをいじって遊んでいた。
 
 2日ほどマイアが口をきいてくれなくなったのはまた別のお話。

 
 
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