元ヤンは公爵令嬢の姐さんに一生ついていきます

桜杜あさひ

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大食い

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「何話してたんすか」
 マイアは「内緒よ」と人差し指を唇に当てる。

 二人は学園を後にして、平民街の露店通りを歩いていた。
 視線を前に移すと通りの前方に人だかりができていた。

「おお!嬢ちゃんがまた一皿食べ切ったぞ!」
 男の声が上がる。

「店長さん、おかわりお願いしますぅ」

 聞き覚えのある声に二人は人混みをかき分ける。
 その先にいたのは、やはり予想通りの少女だった。

「ア、アメリア。何やってんだよ」
 皿の上に夢中だった少女はミサキの声に顔を上げる。
「ミサキさん⁉ それにお嬢様も!」

「はあ、アメリア。あなた何やっているの」

「そのぅ……お嬢様を探していたら、疲れてお腹がすいちゃって……」
 しゅんとしながらもアメリアは料理を口に運び続ける。
 マイアは驚異の食い意地に顔を引きつらせながらも、

「そうだったの。私も心配かけて悪かったわね」
「ほんな、あいあさまは、わるふ、ないれふ」

 ミサキはなぜか興奮気味になっている。
「姐さん、きっとあの栄養が全部胸にいってるんです!姐さんも負けずに食べましょう!」
「え、えええええええ⁉」

 ミサキは馬車の中で膝枕をしていた。
 なぜか大食い競争に参加したマイアだったが、無限の食べ物吸引機であるアメリアに敵うわけもなく、倒れてしまったのだ。
「……うっ、きもちわるい」
「すいません、姐さん。アメリアがまだあれだけ食べれると思いませんでした」

「なっ、ミサキさん!私が食いしん坊みたいに言わないでください!」
 アメリアは顔を真っ赤にして答える。
「まあ、あれだけ食べたら今日の夜ご飯はいらないよな」
 
「そういえば、今日の夜ご飯は何でしょうね」
「お前っ、まだ食べる気なのか⁉」

「当然です。私は食べることが大好きなんです」

 顔を引きつらせることしかできないミサキだった。
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