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わたしも彼を抱きしめて、不安な気持ちが解けたのだった。
それからスノア令嬢が毎日の様に訪問に来られたが、ツーリーの命令で門前払いをしていた。
そんな日々にスノア令嬢も懲りたのか、音沙汰なく過ごしていた。
そんなある日、また夜会に出席する事となりツーリーと出かけたのだった。
「疲れてないか?」
わたしを労るツーリーに頷いた。
「大丈夫よ。ツーリーは無理してない?」
「僕は大丈夫だよ。」
微笑みあって2人で行動をしていたのだが、ツーリーが国王陛下に呼ばれてしまい、彼の戻りを待つ為休憩所に入った。
休憩所は個別になっている為、気を抜いて休むことができた。
そんな時、扉のドアが鳴る。
「はい…?」
「………。」
返事がない。
しばらく様子を見ていると声が聞こえた。
「あの…わたしです…。」
「っ…!」
すぐにスノア令嬢だと気づいたが警戒してしまい返事ができずにいる。
「私でご不快な気持ちはわかっております…ナナ様に謝りたくて…。」
以前あった時よりもしおらしくなっており戸惑ってしまう。
「…気にしないでください。わたしは大丈夫ですから。…お引き取りを。」
「ナナ様がお怒りになるのはもちろんのことです。あの後反省したのです!せめて謝らせていただきたくて!」
必死に叫ぶ彼女が気の毒に感じてしまい、わたしは部屋の扉を開けてスノア令嬢を招き入れた。
「…お入りください。」
「ありがとうございます!」
スノア令嬢が対面に座る。
「ナナ様…申し訳ありませんでした。今まで自分がした愚かさを反省しておりました。」
そういう彼女は涙目を浮かべている。
本当は悪い人間ではないのかもしれない。
「誰しも過ちはするものです。ここまできてこられた勇気に感銘を受けております。」
「ナナ様…。」
わたしの言葉に彼女は頭を下げて涙を拭いた。
それからツーリーが話していた通りの今までの事の話を聞いていた時だった。
スノア令嬢がカップを誤って落としてしまい、中のお茶が彼女のドレスにかかった。
「どうしよう…。」
困っている彼女を尻目にわたしは布巾を探す為立ち上がり、花瓶の中の水でお茶のシミを取り除いた。
「ナナ様、申し訳ありません…こんなことまでさせてしまうとは…。」
「気にしないでください。綺麗なドレスが汚れなくて安心しました。」
そう言って布巾を直して戻ると、スノア令嬢はお茶を入れ直してくれていた。
「こんな事ではお返しになりませんが召し上がってください。」
微笑む彼女を見て大丈夫だと判断したわたしは彼女の入れたお茶に口をつけた。
それからスノア令嬢が毎日の様に訪問に来られたが、ツーリーの命令で門前払いをしていた。
そんな日々にスノア令嬢も懲りたのか、音沙汰なく過ごしていた。
そんなある日、また夜会に出席する事となりツーリーと出かけたのだった。
「疲れてないか?」
わたしを労るツーリーに頷いた。
「大丈夫よ。ツーリーは無理してない?」
「僕は大丈夫だよ。」
微笑みあって2人で行動をしていたのだが、ツーリーが国王陛下に呼ばれてしまい、彼の戻りを待つ為休憩所に入った。
休憩所は個別になっている為、気を抜いて休むことができた。
そんな時、扉のドアが鳴る。
「はい…?」
「………。」
返事がない。
しばらく様子を見ていると声が聞こえた。
「あの…わたしです…。」
「っ…!」
すぐにスノア令嬢だと気づいたが警戒してしまい返事ができずにいる。
「私でご不快な気持ちはわかっております…ナナ様に謝りたくて…。」
以前あった時よりもしおらしくなっており戸惑ってしまう。
「…気にしないでください。わたしは大丈夫ですから。…お引き取りを。」
「ナナ様がお怒りになるのはもちろんのことです。あの後反省したのです!せめて謝らせていただきたくて!」
必死に叫ぶ彼女が気の毒に感じてしまい、わたしは部屋の扉を開けてスノア令嬢を招き入れた。
「…お入りください。」
「ありがとうございます!」
スノア令嬢が対面に座る。
「ナナ様…申し訳ありませんでした。今まで自分がした愚かさを反省しておりました。」
そういう彼女は涙目を浮かべている。
本当は悪い人間ではないのかもしれない。
「誰しも過ちはするものです。ここまできてこられた勇気に感銘を受けております。」
「ナナ様…。」
わたしの言葉に彼女は頭を下げて涙を拭いた。
それからツーリーが話していた通りの今までの事の話を聞いていた時だった。
スノア令嬢がカップを誤って落としてしまい、中のお茶が彼女のドレスにかかった。
「どうしよう…。」
困っている彼女を尻目にわたしは布巾を探す為立ち上がり、花瓶の中の水でお茶のシミを取り除いた。
「ナナ様、申し訳ありません…こんなことまでさせてしまうとは…。」
「気にしないでください。綺麗なドレスが汚れなくて安心しました。」
そう言って布巾を直して戻ると、スノア令嬢はお茶を入れ直してくれていた。
「こんな事ではお返しになりませんが召し上がってください。」
微笑む彼女を見て大丈夫だと判断したわたしは彼女の入れたお茶に口をつけた。
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