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「皇女様を?」
「…ああ。」
あれから私たちの生活は穏やかになるかと思いきや新しい風が舞い込んできた。
宰相を務めるツーリーは、隣国の御息女である皇女様をエスコートする事となった。
とてもめんどくさそうな様子でため息をついている。
「よりによって僕がこんな役目を任されるなんて…。」
「ツーリー、そんな事言わないで。皇女様もご不安なのよ。」
わたしがそういうとムッとした表情を浮かべてきた。
「僕が他の女性をみてもナナは平気何だね。」
拗ねたように言う彼が可愛くて、私はツーリーを抱きしめた。
「平気ではないわ。正直貴方を取られてしまわないか不安で はらかも、仕方ないもの。」
そういうと、ツーリーは嬉しそうに顔をあげて言った。
「そんな事絶対にないよ。僕にはナナだけだからね。」
「もう…ツーリーっ…!」
ツーリーはスイッチが入ったのか、私の顔からくじ筋をちゅっちゅと音を鳴らしてキスをしてくる。
それがくすぐったいような嬉しいような気持ちで私の中にある不安は無くなっていた。
数日後、たくさんのお供を連れて皇女様が入国された。
今回は、隣国との文化交流という名目のため、皇女様を迎え入れたのだ。
「隣国から参りました。ステラと申します。お世話になります。」
皇女様は見惚れてしまうほどの礼に私達は驚いた。
とは言っても今皇女様の目の前には、国王陛下とツーリーが立っている。
私はまだ婚約者という立場のため離れたところから見ていた。
「ようこそお越しくださいました。ステラ皇女本日からエスコートさせていただきます。宰相のツーリー・ヴァルシュアと申します。」
頭を下げる彼を誇らしく思った。
しかし、皇女の方に目を向けると頬を赤らめながらも彼を慕う視線を隠す事なく見つめている姿に何か嫌な予感を感じた。
挨拶はそこで終わり、私達は屋敷に帰ってきていた。
「ナナ!」
あの後、私の中に不安が広がりツーリーを直視することも、頭に入らず呆然としていた。
そんな私の姿を見て見ていたツーリーに名前を呼ばれてようやく顔をあげた。
「ごめんなさい。何だか疲れてしまったのかもしれないわ。」
そういうと、ツーリーは私のおでこに触れた。
「大丈夫か?念の為医者に診てもらおう。」
「いえ、少し疲れただけだから、大丈夫よ。」
「そうか…。」
そう言ってツーリーは、ほっとしたような顔を見せたので、私も安心してもらえるように笑って見せた。
これまでたくさんのことがありながらも、ツーリーは私を離さないでいてくれたもの…何も心配いらない。
そう自分に言い聞かせて不安を拭ったのだった。
「…ああ。」
あれから私たちの生活は穏やかになるかと思いきや新しい風が舞い込んできた。
宰相を務めるツーリーは、隣国の御息女である皇女様をエスコートする事となった。
とてもめんどくさそうな様子でため息をついている。
「よりによって僕がこんな役目を任されるなんて…。」
「ツーリー、そんな事言わないで。皇女様もご不安なのよ。」
わたしがそういうとムッとした表情を浮かべてきた。
「僕が他の女性をみてもナナは平気何だね。」
拗ねたように言う彼が可愛くて、私はツーリーを抱きしめた。
「平気ではないわ。正直貴方を取られてしまわないか不安で はらかも、仕方ないもの。」
そういうと、ツーリーは嬉しそうに顔をあげて言った。
「そんな事絶対にないよ。僕にはナナだけだからね。」
「もう…ツーリーっ…!」
ツーリーはスイッチが入ったのか、私の顔からくじ筋をちゅっちゅと音を鳴らしてキスをしてくる。
それがくすぐったいような嬉しいような気持ちで私の中にある不安は無くなっていた。
数日後、たくさんのお供を連れて皇女様が入国された。
今回は、隣国との文化交流という名目のため、皇女様を迎え入れたのだ。
「隣国から参りました。ステラと申します。お世話になります。」
皇女様は見惚れてしまうほどの礼に私達は驚いた。
とは言っても今皇女様の目の前には、国王陛下とツーリーが立っている。
私はまだ婚約者という立場のため離れたところから見ていた。
「ようこそお越しくださいました。ステラ皇女本日からエスコートさせていただきます。宰相のツーリー・ヴァルシュアと申します。」
頭を下げる彼を誇らしく思った。
しかし、皇女の方に目を向けると頬を赤らめながらも彼を慕う視線を隠す事なく見つめている姿に何か嫌な予感を感じた。
挨拶はそこで終わり、私達は屋敷に帰ってきていた。
「ナナ!」
あの後、私の中に不安が広がりツーリーを直視することも、頭に入らず呆然としていた。
そんな私の姿を見て見ていたツーリーに名前を呼ばれてようやく顔をあげた。
「ごめんなさい。何だか疲れてしまったのかもしれないわ。」
そういうと、ツーリーは私のおでこに触れた。
「大丈夫か?念の為医者に診てもらおう。」
「いえ、少し疲れただけだから、大丈夫よ。」
「そうか…。」
そう言ってツーリーは、ほっとしたような顔を見せたので、私も安心してもらえるように笑って見せた。
これまでたくさんのことがありながらも、ツーリーは私を離さないでいてくれたもの…何も心配いらない。
そう自分に言い聞かせて不安を拭ったのだった。
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