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またわたしは、いつもの日課でハーブティーを届けに来た。
今日も何も言われないかと思い、部屋を出ようとした時、ユノ様は話し始めた。
「ロイドから聞いた。このハーブティーは君が淹れてくれたんだと…ありがとう…。」
驚いて振り向くとユノ様はもう何も言わなかった。
内心ガッツポーズをしながら、わたしは褒められたことが嬉しくて笑みを隠さずにはいられなかった。
部屋を出てわたしは晴れやかな気持ちになったのだった。
それからユノ様の表情は緩くなったと思う。
相変わらずハーブティーだけ届ける日が続いているけれど、あの日からお礼を言ってくれる。
わたしは頷いて部屋を出るそんな日々を過ごしていた。
「マリーさん、幸せそうね。」
一緒に洗濯をしている時エレナさんがニコニコと微笑みかけて来た。
「そう…?いつも通りよ…。」
恥ずかしくて顔を逸らすとエレナさんはニコニコしたままだった。
「なんだかおぼっちゃまと良い感じに見えるわ。」
「そんなことないわよ!それにわたしはただの使用人なんだから、おぼっちゃまが気遣って下さるからよ。」
そう言ってわたしは洗濯を夢中で終わらせたのだった。
その夜、ユノ様の部屋にハーブティーを届けるために部屋に伺った。
「失礼します。」
ベッドの横の机にティーカップを置いて、お辞儀をした。
そのまま部屋を出ようとした時だった。
「少し待って欲しい。」
ユノ様は机の引き出しから小さな包みを取り出すとわたしに差し出した。
「いつものお礼だ。」
心なしかユノ様の顔が赤く感じたけれど、何も言えるわけもなくわたしはお礼を言って部屋を出た。
自分の部屋に戻り包みを開くと、そこにはチョコレートがたくさん入っていた。
初めてのプレゼントに嬉しくなって、一口食べて残りは嬉しさを抑えるように包みを抱きしめた。
口の中に広がる甘い香りがユノ様への恋心を表現してるような気がした。
次の日の朝、庭の掃除をしている時だった。
普段こちらには来ないユノ様が何やらソワソワした様子で歩いて来た。
「おぼっちゃま、おはようございます。」
お辞儀をして彼が歩き去るのを待ったが、一向に動く気配がない。
不思議に思って恐る恐る顔をあげるとわたしの前に立ったまま動かない。
「おぼっちゃま、何かご用事でしょうか?」
「あ…いや…少し散歩に来ただけだ、気にせず仕事を続けてくれ…。」
「…わかりました。」
何が何だかわからずに掃き掃除を続ける。
そういえば昨日の贈り物のお礼を言おうと振り返るともうユノ様の姿はなかった。
今日も何も言われないかと思い、部屋を出ようとした時、ユノ様は話し始めた。
「ロイドから聞いた。このハーブティーは君が淹れてくれたんだと…ありがとう…。」
驚いて振り向くとユノ様はもう何も言わなかった。
内心ガッツポーズをしながら、わたしは褒められたことが嬉しくて笑みを隠さずにはいられなかった。
部屋を出てわたしは晴れやかな気持ちになったのだった。
それからユノ様の表情は緩くなったと思う。
相変わらずハーブティーだけ届ける日が続いているけれど、あの日からお礼を言ってくれる。
わたしは頷いて部屋を出るそんな日々を過ごしていた。
「マリーさん、幸せそうね。」
一緒に洗濯をしている時エレナさんがニコニコと微笑みかけて来た。
「そう…?いつも通りよ…。」
恥ずかしくて顔を逸らすとエレナさんはニコニコしたままだった。
「なんだかおぼっちゃまと良い感じに見えるわ。」
「そんなことないわよ!それにわたしはただの使用人なんだから、おぼっちゃまが気遣って下さるからよ。」
そう言ってわたしは洗濯を夢中で終わらせたのだった。
その夜、ユノ様の部屋にハーブティーを届けるために部屋に伺った。
「失礼します。」
ベッドの横の机にティーカップを置いて、お辞儀をした。
そのまま部屋を出ようとした時だった。
「少し待って欲しい。」
ユノ様は机の引き出しから小さな包みを取り出すとわたしに差し出した。
「いつものお礼だ。」
心なしかユノ様の顔が赤く感じたけれど、何も言えるわけもなくわたしはお礼を言って部屋を出た。
自分の部屋に戻り包みを開くと、そこにはチョコレートがたくさん入っていた。
初めてのプレゼントに嬉しくなって、一口食べて残りは嬉しさを抑えるように包みを抱きしめた。
口の中に広がる甘い香りがユノ様への恋心を表現してるような気がした。
次の日の朝、庭の掃除をしている時だった。
普段こちらには来ないユノ様が何やらソワソワした様子で歩いて来た。
「おぼっちゃま、おはようございます。」
お辞儀をして彼が歩き去るのを待ったが、一向に動く気配がない。
不思議に思って恐る恐る顔をあげるとわたしの前に立ったまま動かない。
「おぼっちゃま、何かご用事でしょうか?」
「あ…いや…少し散歩に来ただけだ、気にせず仕事を続けてくれ…。」
「…わかりました。」
何が何だかわからずに掃き掃除を続ける。
そういえば昨日の贈り物のお礼を言おうと振り返るともうユノ様の姿はなかった。
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