2 / 48
2
しおりを挟む
止まれば冷たい風が容赦なく体を貫き動いている時よりも尚、冷たく襲いかかる。
でもジーヌは満足だった。もうじき自分は死ぬ…。父と母の元へ行けるのだからと。
目を閉じて死を感じていたその時、ザクっザクっと誰かがゆっくりと歩いている足音が聞こえてきた。
ジーヌはそんな事気にも留めずに、地面を見つめて微動だにしなかった。
足音は早くなり音が近づいてくるようだった。しかし気にも留めずに、地面を見る。
足音が横に近づいたその時、ふわっと体が抱きしめられていたのをジーヌは感じていた。
「カルアっ…‼︎」
普通ならこの状況に戸惑うのだろうが、ジーヌの身体は限界を超えていた。
しかし目の前には幼さを残した少年が、必死にこちらを呼びかけていた。
声は聞こえないが、黒い長髪の髪があまりにも綺麗で見惚れながらジーヌは意識を手放した。
暗く当たりが見えない中にジーヌは立っていた。ここがあの世なのかと冷静に考えていた。
ふと光がさして目の前を見ると、背を向けている両親がいた。
「お父さんっ!お母さんっ!」
涙で前が見えなくなっても、必死に叫び続けた。自分も同じところへいこうと走っていくと。
「だめっ!」
耳元に母の声が聞こえてきた。その瞬間、意識がふわっと戻った。
目が覚めれば、気を失ったところに座り込んでいた。だが体に毛布を巻かれて、こちらを心配げに見つめている少年がジーヌを抱えて見つめていた。
その周りでは人が慌ただしく動いている。
「貴方は……?」
虚げにそう聞いたジーヌに少年は答えた。
「私はレイモンドだ。もう安心していい、今から暖かい所に連れていく。今は眠れ。」
レイモンドと名乗る少年の言葉を聞き目が自然と閉じていき、深い眠りに落ちていった。
パチパチ…パチパチ…。
ジーヌは目が覚めると、目の前には暖炉が火を灯している。自分がベッドに寝かされているのだとわかったが、体がピクリとも動かず、ただ火の動きを眺めていた。
「目が覚めたか?」
「………。」
声がだせず、返事もできないが声のある方へ視線を向け目を見張った。黒い長髪に銀色の瞳を持ち、この世で見た事ないほど美しく、ジーヌは見惚れていた。
「お前はどこからきた?」
「………。」
「名は?」
「………。」
「家族はいるのか?」
「………。」
レイモンドの言葉に何一つ答えられなかった。家族の事を考えれば胸が苦しいのに未だに泣けない。夢の中では散々泣いていたのに泣けないのだ。
「答えられないなら私が決めよう…。お前の名前はカルアだ。」
でもジーヌは満足だった。もうじき自分は死ぬ…。父と母の元へ行けるのだからと。
目を閉じて死を感じていたその時、ザクっザクっと誰かがゆっくりと歩いている足音が聞こえてきた。
ジーヌはそんな事気にも留めずに、地面を見つめて微動だにしなかった。
足音は早くなり音が近づいてくるようだった。しかし気にも留めずに、地面を見る。
足音が横に近づいたその時、ふわっと体が抱きしめられていたのをジーヌは感じていた。
「カルアっ…‼︎」
普通ならこの状況に戸惑うのだろうが、ジーヌの身体は限界を超えていた。
しかし目の前には幼さを残した少年が、必死にこちらを呼びかけていた。
声は聞こえないが、黒い長髪の髪があまりにも綺麗で見惚れながらジーヌは意識を手放した。
暗く当たりが見えない中にジーヌは立っていた。ここがあの世なのかと冷静に考えていた。
ふと光がさして目の前を見ると、背を向けている両親がいた。
「お父さんっ!お母さんっ!」
涙で前が見えなくなっても、必死に叫び続けた。自分も同じところへいこうと走っていくと。
「だめっ!」
耳元に母の声が聞こえてきた。その瞬間、意識がふわっと戻った。
目が覚めれば、気を失ったところに座り込んでいた。だが体に毛布を巻かれて、こちらを心配げに見つめている少年がジーヌを抱えて見つめていた。
その周りでは人が慌ただしく動いている。
「貴方は……?」
虚げにそう聞いたジーヌに少年は答えた。
「私はレイモンドだ。もう安心していい、今から暖かい所に連れていく。今は眠れ。」
レイモンドと名乗る少年の言葉を聞き目が自然と閉じていき、深い眠りに落ちていった。
パチパチ…パチパチ…。
ジーヌは目が覚めると、目の前には暖炉が火を灯している。自分がベッドに寝かされているのだとわかったが、体がピクリとも動かず、ただ火の動きを眺めていた。
「目が覚めたか?」
「………。」
声がだせず、返事もできないが声のある方へ視線を向け目を見張った。黒い長髪に銀色の瞳を持ち、この世で見た事ないほど美しく、ジーヌは見惚れていた。
「お前はどこからきた?」
「………。」
「名は?」
「………。」
「家族はいるのか?」
「………。」
レイモンドの言葉に何一つ答えられなかった。家族の事を考えれば胸が苦しいのに未だに泣けない。夢の中では散々泣いていたのに泣けないのだ。
「答えられないなら私が決めよう…。お前の名前はカルアだ。」
0
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】時計台の約束
とっくり
恋愛
あの日、彼は約束の場所に現れなかった。
それは裏切りではなく、永遠の別れの始まりだった――。
孤児院で出会い、時を経て再び交わった二人の絆は、すれ違いと痛みの中で静かに崩れていく。
偽りの事故が奪ったのは、未来への希望さえも。
それでも、彼を想い続ける少女の胸には、小さな命と共に新しい未来が灯る。
中世異世界を舞台に紡がれる、愛と喪失の切ない物語。
※短編から長編に変更いたしました。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
どうかこの偽りがいつまでも続きますように…
矢野りと
恋愛
ある日突然『魅了』の罪で捕らえられてしまった。でも誤解はすぐに解けるはずと思っていた、だって私は魅了なんて使っていないのだから…。
それなのに真実は闇に葬り去られ、残ったのは周囲からの冷たい眼差しだけ。
もう誰も私を信じてはくれない。
昨日までは『絶対に君を信じている』と言っていた婚約者さえも憎悪を向けてくる。
まるで人が変わったかのように…。
*設定はゆるいです。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる