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「……カルア……。」
刹那げに手を伸ばす彼の胸に飛び込みたいが、素知らぬフリをした。
「……わたしはこれで失礼します。」
これでいい…あれほど力強く抱きしめてもらえた。家族としてでも大切だと言ってもらえた。それだけで、彼の幸せを願う事ができる。
カルアは、決心など鈍ることもなかった。
翌日、いよいよ今夜ここを経つ。なにも言わずに出ていけば、捜索願いを出されてしまうだろう。
考えた末、シンプルに手紙を置いて去る事にした。
本当の目的は書かずに簡潔に外の世界が見たい事。しばらく戻らず旅をするから、自分を探さずにいてほしいこと。
手紙を書き終わり、カルアは上を仰いでみた。
目を閉じれば、レイモンドの姿、声、温もりが思い出される。
「カルア。」
名前を呼んでもらえて、くすぐったい気持ちになった。今でもその気持ちは変わらない。
両親を亡くし、絶望の中掬い上げてくれた彼には恩がある。そして、それ以上の気持ちも…。
こうして、時もあっという間に夜を迎えた。カルアは荷物も少なく、人通りを避けてシューザのいる小屋へと向かった。
幸い誰にも会うこともなくたどり着けた。
「本当にいいのか?」
シューザの問いに、カルアは頷いた。
「いいの。わたしは真実をみたい。」
「…そうか…。」
なんとも言えない様な表情のシューザを横目に、カルアは拳を握りしめた。
「行こうか。」
シューザのその言葉に、カルアは頷き彼の後ろに付き歩を進めた。
お世話になった屋敷を背にいつか役に立てる日が来ることを信じて…。
夜通し歩き続けて日が昇る頃、人通りの少ない木下でしばしの仮眠をとった後また歩き出した。
シューザは口数が少なかったが、居心地は悪くはなかった。旅も難なく過ごせていた。
だが最初の村に差し掛かった瞬間カルアにとって驚きの後継を目にした。
村の中ボロボロに今にも崩れそうな建物が立ち並び、目の前には人々が目が瞳孔を開くほど虚な目をしている。
カルア自身この光景をよく知っていた。それは両親をも同じ目をしており、また自分もそうだったからだ。
「なぜ…。」
「これもお前の兄が招いた結果だ…。」
「そんな…お兄様は…立派な領主として役目を全うしていたはず…。」
とても信じられなかった。
「これが事実なんだ。」
そう言ってシューザは悔しげに歩を進めた。
2人で散策をしていると、カルアにとって見覚えのある小屋があった。
「ここは…。」
目の前には大好きな両親と暮らしていた小屋があった。今では別の家族が住んでいたがその家族もまたやせ細っていた。
刹那げに手を伸ばす彼の胸に飛び込みたいが、素知らぬフリをした。
「……わたしはこれで失礼します。」
これでいい…あれほど力強く抱きしめてもらえた。家族としてでも大切だと言ってもらえた。それだけで、彼の幸せを願う事ができる。
カルアは、決心など鈍ることもなかった。
翌日、いよいよ今夜ここを経つ。なにも言わずに出ていけば、捜索願いを出されてしまうだろう。
考えた末、シンプルに手紙を置いて去る事にした。
本当の目的は書かずに簡潔に外の世界が見たい事。しばらく戻らず旅をするから、自分を探さずにいてほしいこと。
手紙を書き終わり、カルアは上を仰いでみた。
目を閉じれば、レイモンドの姿、声、温もりが思い出される。
「カルア。」
名前を呼んでもらえて、くすぐったい気持ちになった。今でもその気持ちは変わらない。
両親を亡くし、絶望の中掬い上げてくれた彼には恩がある。そして、それ以上の気持ちも…。
こうして、時もあっという間に夜を迎えた。カルアは荷物も少なく、人通りを避けてシューザのいる小屋へと向かった。
幸い誰にも会うこともなくたどり着けた。
「本当にいいのか?」
シューザの問いに、カルアは頷いた。
「いいの。わたしは真実をみたい。」
「…そうか…。」
なんとも言えない様な表情のシューザを横目に、カルアは拳を握りしめた。
「行こうか。」
シューザのその言葉に、カルアは頷き彼の後ろに付き歩を進めた。
お世話になった屋敷を背にいつか役に立てる日が来ることを信じて…。
夜通し歩き続けて日が昇る頃、人通りの少ない木下でしばしの仮眠をとった後また歩き出した。
シューザは口数が少なかったが、居心地は悪くはなかった。旅も難なく過ごせていた。
だが最初の村に差し掛かった瞬間カルアにとって驚きの後継を目にした。
村の中ボロボロに今にも崩れそうな建物が立ち並び、目の前には人々が目が瞳孔を開くほど虚な目をしている。
カルア自身この光景をよく知っていた。それは両親をも同じ目をしており、また自分もそうだったからだ。
「なぜ…。」
「これもお前の兄が招いた結果だ…。」
「そんな…お兄様は…立派な領主として役目を全うしていたはず…。」
とても信じられなかった。
「これが事実なんだ。」
そう言ってシューザは悔しげに歩を進めた。
2人で散策をしていると、カルアにとって見覚えのある小屋があった。
「ここは…。」
目の前には大好きな両親と暮らしていた小屋があった。今では別の家族が住んでいたがその家族もまたやせ細っていた。
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