愛した人は悪い人

はなおくら

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「もうすぐ、その方に会う事になる。その時聞けばいい。俺の口からはここまでしか言えない。それまでにこれから見る街や村を目に焼き付けて置くんだ。そうすれば君の答えが見えてくるはずだ。」

「シューザ…あなたは何故、私にこの話をしてくれるの?」

 シューザの顔を見ると苦笑いしながら言った。

「お前は知ろうとしてくれたからだ。」

「……‼︎」

 カルアは返す言葉がなかった。でもここまで信頼してくれる人がいることを嬉しく思った。

「ありがとう…。」

 それから、レイモンドが領主として管理している村を抜け、町を通り過ぎ、数々の人間の姿を見てきた。

 時には人と話をして色々な境遇の人間と関わってきた。

 そのどれもが、飢餓に苦しみ生活もままならない状況だった。

 会話をしていくうちに何故こんな事になっているのか、レイモンドを思うと胸が痛くなった。

 そして、それでも尚彼を大切にしたい思いが強く胸が痛かった。

 そしてシューザと共に旅をし、彼の仕えている人の元へと向かう手前、最後の休憩所に、宿を取り休んでいた時外が騒がしくなった。

 何事かと窓から姿を隠して覗き見ると、沢山の兵士とそれを指示する見覚えのある姿があった。

「レイモンド兄様…?」

 カルアの目の前で、レイモンドは何やら兵士に指示を出していた。

 黙って出てきてしまってここまで探しにきたのかと思うが、今シューザと一緒にいるところを見られては分が悪かった。

 コンコン。

 部屋の扉がなると、ガチャっとシューザが入ってきた。

「レイモンド兄様が外にいるの…。」

「あぁ…どうやら君を探しにきたらしい…悪いがここで見つかってもいいことはない。今のうちにこの村を出よう。」

「わかった。」

 カルアはレイモンドの姿を焼き付けようと見つめているその時、ふとレイモンドが顔を上げてこちらこみたい。

 まずいと思い、急いで窓から離れてすぐさまシューザと共に裏口から抜け出した。

 村を出ようと身を隠しながら移動しているその時、

「たっ…助けてっ…!」

 小さな子供の震えている声が聞こえてきた。嫌な予感がした。

 シューザの方を見ると彼も同じ気持ちなのか一つ頷き、近くの梯子で屋根の上に登った。

 屋根の上から身を隠して、声のする方に視線を向けたその時、信じられない光景を目にした。

 カルアたちが、泊まっていた建物の前で宿の主人夫婦とレイモンドと引き連れた兵士達が子供を人質に立っていた。

 カルアは怒りなのか悲しみなのかわからない感情がごちゃごちゃとしていた。

「レイモンド兄様…。」

 彼に向けた言葉はかき消される様に儚く響いた。
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