愛した人は悪い人

はなおくら

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「もうすぐ、この国の貴族全員が招待される舞踏会が開かれる予定だ。君に出席してもらいたい。」

 ジーヌも知っている。年に一回集まる大々的なものだ。行った事はないがジーヌもソーレを連れて必ず出席している。

「もちろんレイモンドも必ずくるだろう。」

 ドキッとしたが、彼に会える事に胸を躍らせている。そんな様子のジーヌにヴィンは苦笑いを浮かべながらも、口を開いた。

「この時、私の婚約者として紹介させてもらうが大丈夫かな?」

 ヴィンはレイモンドに見せつける為に言っていることはわかった。

「はい、もちろんです。お気遣いいただいてありがとうございます。」

「気にしなくていい。舞踏会は3ヶ月後だ。準備をしていこう。君も無理はしないようにな。」

「はい。ヴィン様も…。」

 そう言ってジーヌは、ヴィンの部屋を出た。

 ジーヌはレイモンドも頑張っている事を想像しながらも、自分に何ができないかと、孤児院を周り、なるべく早く街の人々と接するようにした。

 これはジーヌなりの戒めでもあった。相手の理解をするには、相手の立場に立って考えなければならない。

 そうしながらも、舞踏会の準備にも率先して参加した。と言ってもジーヌのドレスの形や色を決めていくだけだった。

 ドレスを選ぶ時、ジーヌはレイモンドの事を思い浮かべていた。

 ヴィンからはどんな色でもいいと言われたが、彼の婚約者として出席する訳なので、もちろん彼の髪の色の黄色を取り入れた。

 しかしそこに自分のわがままだが、レイモンドの瞳の銀色の宝石をあしらった。

 ドレスも1ヶ月に出来上がり、ヴィンとシューザに見てもらった。

「君らしいドレスだね。これを見ればレイモンドも喜ぶだろう。」

 ヴィンにはお見通しだった。

「そうだな。本当にお前は一途なやつだ。」

 シューザはジーヌの頭を撫でながらおかしそうに言った。

 こうして忙しい日々の中、レイモンドが頑張っていると思うと早く彼に会いたくなった。

 こんなに胸が高鳴るのは、あの手紙から1ヶ月で、レイモンドの領地を通る商人からいい噂を聞くようになったからだった。

 街の人々は戸惑い疑心暗鬼になってはいるが、少しずつ改善されてきているという。

 そして何よりレイモンドは街の人々に頭を下げ、自らも街を見に偵察を行なっているというのだ。

 そんな話を聞いていてもたってもいられない気持ちになった。その姿を見たいと、はしたないが我慢できない。

 ヴィンに頼もうとジーヌは急ぎ向かった。

 ヴィンの部屋に通されると、シューザもいた。二人で仕事の話をしていたのだろう。

「お忙しい中、ごめんなさい。あの…。」
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