愛した人は悪い人

はなおくら

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 レイモンドとジーヌはお互い側にいる事が幸せと感じている。

 しかし事は、2人をいつまでもそうすることを許してはくれない。

 残されている問題は、レイモンドの婚約者、ソーレが人身売買の疑いかけられているからだ。

 しかしそれも確信へと変わった。

 レイモンドが密偵にソーレの周辺を調べさせた結果、ソーレは黒だとなった。

 ジーヌはその話をレイモンドの手を握りながら聞いていた。

「…そうか…わかった。ご苦労だったゆっくり休んでくれ。」

 レイモンドはそう言って、密偵に休養を言って部屋を退室させた。

「レイ様…。」

 心配になりジーヌがレイモンドを見つめた。

 レイモンドは大丈夫だと微笑みながら言う。

「彼女に裏切られたと言う感情はないが、自分の愚かさを今嫌と言うほどに知らされているよ…。」

「レイ様、あなたは愚か者ではありません。あなたは変わろうと努力なさった、そして今も困難に立ち向かおうとしていらっしゃる。あなたは今間違ってはおりませんよ…。」

 項垂れるレイモンドをジーヌは抱きしめながらいった。

「ありがとう…私は君がいるから間違いを正そうと、自分にブレーキをかける事ができるよ…。ジーヌ…愛している…。」

「レイ様…私はいつまでもあなたのお側におります…。そしてあなたはそう言ってくださいましたが、私にとってもあなたは同じ存在です。どうか忘れないでください。」

 そう言ってジーヌは、レイモンドの唇にキスを落とした。

 互いの体温を感じる事で、2人はとてつもない幸福感を得る事ができたのだった。

 そうしてしばらく抱き合った後、執事が部屋に入ってきた。

 執事はレイモンドに一通の手紙を渡すと、早々に部屋を出て行った。

「ヴィンからだ…。」

 レイモンドはヴィンからの手紙を黙読して、微笑んだ。

「どうやら彼もこの件について、調べてくれた様だ。あいつにも感謝しないとな…。」

 苦笑しながらレイモンドはそう言った。

「ヴィン様からはなんと?」

 ジーヌは緊張しながら聞いた。

「ソーレが、次開催する場所がわかった様だ。そこに私もヴィンたちと忍びとして行こうと思う。」

「…でしたら私もいきます。」

 ジーヌの言葉に、レイモンドは怒りをあらわにした。

「ダメだ!危険すぎる!あそこに行けば何が起こるかわからない…そんなところに君を連れてなど行けない!」

「でも…。」

 レイモンドに怒られてジーヌはしゅんとした。でも心でなぜか行かなければならない様な気がした。

「ですが…。」

「この話はこれでおしまいだ…。心配ないよ。」

 そう言ってレイモンドはジーヌに何も言わせないと言うかの様に頬を撫でて部屋を出た。
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