愛した人は悪い人

はなおくら

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 翌朝、レイモンドの屋敷にヴィンとシューザが訪ねてきた。

 レイモンドも予めわかっていた様だった。

 使用人にその事を聞いたジーヌは驚き、急いでレイモンドの書斎に走った。

「彼女の尻尾は掴めた。」

「そうか…。」

「明後日には、突入してその場で抑えようと思う準備していてくれ。」

「わかった。礼を言うよ、ヴィン。」

 ジーヌは、少し間と戸口から会話を聞いていた。

 ソーレを捕まえる話をしているのだと、瞬時にわかった。

 ジーヌはそのまま聞き耳を立てた。

「ジーヌ嬢はどうするつもりだ?」

 ヴィンがレイモンドに問いかけた。

「護衛をつけてここに置いていく。」

「大丈夫なのか?彼女も狙われているんだぞ?」

 レイモンドは黙ったまま立ち上がり、窓を見た。

「だからこそだ。彼女には危険なめに合わせたくは無いんだ…。」

「レイモンド…。」

 レイモンドの悲痛な思いにヴィンは黙っていた。

 しかし扉の向こうではジーヌは腹が立っていた。

 そして扉を勢いよく明けた。

「レイ…わたしはそんなの嫌よ!あなたと運命を共にすると誓ったわ!」

「ジーヌ…。」

 互いに一歩も引かないと見つめあっていると、横にいたヴィンが立ち上がった。

「僕は隣の部屋を借りるよ。レイモンド、ジーヌよく話し合うんだ。」

 そう言って、片手をあげてヴィンは去っていった。

「レイモンド…。」

 ジーヌは泣きたくなってしまった。彼は自分を心配して言ってくれているのはわかっていたが、2人の問題においていかれている様で悲しくなった。

 この気持ちをレイモンドにどう伝えればいいのかわからない。

「ジーヌ、これはわたしの問題だ。わたしが解決しなければならない。君は私のわがままに付き合わせただけだ…。ソーレ嬢に終止符を打たなければ…。」

「あなたの気持ちはわかります。でもわたしも婚約しているあなた達の間に入った人間です…。だからこそ立ち向かわなければならないと思っています。お願いです…どうか一緒に連れていってください。わたしにはそうしなければならない気がして……後悔したく無いんです!」

 堰を切ったように言葉が出てきた。

「わかった。一緒に行こう。」

 涙が溢れたままレイモンドを見つめていたジーヌに、最初はしかめ面したレイモンドも、負けたという様に優しい微笑みを浮かべた。

「ジーヌ、おいで…。」

 手を差し伸ばすレイモンドに、ジーヌは抱きついた。

「私は君を子供扱いしてしまってた様だ…すまない。」

「そうです…わたしはいつだってあなたの背中を見て、あなたの隣に立ちたくて過ごしてきたんです…。」

 ジーヌは膨れ気味に抗議した。そんなジーヌにレイモンドは笑った後、急に目が笑っていない視線をジーヌに投げかけた。
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