愛した人は悪い人

はなおくら

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「すまない。しかしジーヌ…わたしはあれほど敬語はやめてくれと言ったのにまた戻った様だね…。」

 彼が怒っているのはこの事だった。

「あっ…!ごめんなさい…ヴィン様もきてたので…つい…。」

 しどろモドモロになるジーヌに、レイモンドは深々と唇を合わせた。

「お仕置きだ…。唇を開いて…。」

 妖艶な視線を投げられて、ジーヌは慌てた。

「いけません!ヴィン様を待たせてしまうわ!」

 そうして彼の腕を押したのだが動じなかった。

「わかっている。すぐ終わる。」

「あっ…。」

 そういうとレイモンドはジーヌの柔らかな唇に舌を入れて、ジーヌの舌をなぞり舐りあそんだ。

 息も絶え絶えになる程、レイモンドに弄ばれて、ジーヌは力が抜けきっていた。

 ようやく唇が離され、ジーヌは震えながらレイモンドの胸を押した。

「今は…ダメ…。」

 きっと睨むと、レイモンドはおどけた顔をして、ジーヌの髪に口付けを落とした。

「悪かったよ…。さぁ私は今からヴィンに君を連れていくことも話をするから君は部屋に戻りなさい…。」

「でも…それでしたらわたしも一緒に話を聞くわ!」

 そう返すジーヌにレイモンドは困った顔を浮かべながらジーヌの耳に近づいた。

「今の君はとても魅力的だ…。僕はそんな君を誰にも見せたく無いんだ…。」

 ふと横の鏡を見ると、上気した顔にトロンとした瞳をしている。

 それが一気に羞恥を覚えて、立ち上がった。

「わかったわ…。また落ち着いたら話を聞かせて。」

「ああ。」

 頬を赤くして恥ずかしがりながら、部屋を出るジーヌを笑いながらレイモンドは見つめていた。

 ジーヌが部屋に戻った後、呆れ顔を浮かべるヴィンと、これからソーレが開催しようとしている下品な会場についての話し合いが行われた。

 レイモンドとジーヌは、招待された客として潜入して、ヴィンがその周りを取り囲み一網打尽にすることで話は終わった。

「では、わたしは失礼するよ。」

 話が終わるとヴィンは、素早く邸を出ていった。

 彼なりに気を遣っていたのだろう。

 レイモンドはジーヌの部屋に、すぐさま行き、今話し合った内容を伝えた。

「わかったわ…。」

 緊張した声色でジーヌが返事をすると、レイモンドはジーヌの両手を優しく包み込んだ。

「いいかい、ジーヌ。君は必ずわたしと一緒にいる事…決して無茶をしないで欲しい…いいね?」

「えぇ…わかったわ。あなたに心配をかける様な事はしないわ。あなたも何かあれば無理しないでね…。」

「わかっている。」

 お互いの想いをぶつけて抱きしめ合い、2人で決意を固めたのだった。
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