花嫁の勘案

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　目の前でわたしを求めてくれる夫が愛おしすぎて彼の目を逸らすことができない。

　私幸せ。

　そう自覚した瞬間、彼のものが流れ込んできた、その瞬間私もビクンと体がしなり果てたのだった。

　激しい呼吸を整えて彼の胸に飛び込んだ。

　ヴォンはわたしを抱き寄せてシーツにくるまった。

「愛してる…リア…ずっと一緒だ…。」

「…ええ…。」

　このとき、わたしは彼にもう敬語を使っていないことに自覚がなかった。

　目が覚めるともうヴォンは先に起きていた。

「おはよう、リア。」

　目の前には貴族ではない普通の男がいる。

　思わず見惚れてしまい挨拶せずにいるとヴォンは怪訝な顔をした。

「どうした？」

　ハッとして言葉を返す。

「あっ…いいえ…おはようございます。」

「また敬語に戻ったな…。」

「えっ？」

「いやなんでもない。」

　彼が何を呟いたのか聞こえなかったがどこか寂しそうにしている彼が気になった。

「あの…わたし何か…。」

「いや…ゆっくりでいいんだ。」

　その言葉に、わたしはハタッとした。

　彼は他人行儀な言葉遣いをやめて欲しいのだと、でもわたしが気にすると思って心のうちを言えないんだと気がついた。

　本当は今すぐにでも使いたいのだが、週間とは恐ろしいものでなかなかうまくいかない。

　でも目の前でわかりやすくしゅんとしている彼を見てわたしは勇気を振り絞った。

「ヴォン…あなたが…好き…。」

　辿々しく伝えると彼は顔を上げた。

「リア、無理しなくていいんだ。」

　わたしはクビを横に振った。

「あなたと近い存在でいたい、特別な存在でいたい、だから頑張るわ。」

「リア…ありがとう…愛してるよ…。」

　彼にきつく抱きしめられてわたしは彼の体を強く抱きしめ返した。

　これからの人生何があってもこの人とやっていける。

　そう確信した瞬間だった。