愛情に気づかない鈍感な私

はなおくら

文字の大きさ
42 / 51

42

しおりを挟む
 顔が笑っている分、ハリアの様子がおかしくてわたしは再び彼に戻るように言った。

「ハリア、今日はもう遅いわ…明日に備えて休まなくちゃ…。」

「セレーナ、入れてくれないの?」

 ハリアの視線の先には、簡易に作られたベッドだった。

「ハリア、良くないわ…戻って…。」

 わたしの言葉にハリアはにこりと笑って言った。

「なら少し話に付き合ってよ。せっかく上位までいったんだ。君に褒めてもらいたい…。」

 照れながら言われると、断ることもできずわたしはテントの中に彼を招き入れた。

 テーブルの上に簡単なお酒とお菓子を用意してもらった。

 甘いお酒が飲みやすく心地いい。

「ハリア、さっきはごめんなさい。改めておめでとう。何よりあなたが無事戻ってきて嬉しいわ。」

「ありがとう、セレーナ。君がいてくれるおかげだよ。…それよりさ…。」

「なに?」

 ハリアはわたしの方に身体を近づけて、顔を寄せた。

 それから優しくキスを降らせる。

 目を閉じて彼のキスに応えた。

 唇が離れると、ハリアはわたしを見つめながら言った。

「ハンカチ…本当に忘れたの?」

「えっ…!…そうよっ…ごめんなさい…。」

 思わず目を逸らした。

 ハリアの方を盗み見ると、まだこちらを見つめている。

「……君も知らないわけではないだろう?…ハンカチは愛する人に送る伝統行事だよ。」

「えぇ…うっかりしてたわ…。」

「………。」

 ハリアはしばらく黙っていたが、また口を開いた。

「セレーナ、君は知ってるのかな?」

「……?」

「今淑女の間では、そのハンカチを渡さずに懐にしまうということは他に愛する人がいるため持っているという願いが流行ってるらしいよ…。」

 そんな流行りにわたしは全く知らなかった。

「…これまでのことがあるからね…信用できないよね…。」

 不機嫌ながら微笑むハリアに私は慌てて否定した。

「違うわっ…!…これにはっ…きゃっ!」

 気づけば、ハリアは私の腰を強引に手繰り寄せると唇を近づけて激しく求めるようにキスを降らせた。

 突然の事で息もできないが、逃げることもできなかった。

 荒々しいキスの中、ハリアはわたしのドレスの上から、胸からお腹から腰へと撫で回す。

 声が出そうになるのを必死に我慢しながら首を横に振るが終わることはなかった。

 すると突然、ハリアは行為を続けながらテントの明かりを消した。

 すると外の火が照らされており、誰が通ったかわかるようになった。

 ハリアは唇を離すと微笑みながら言った。

「大丈夫…向こうの様子はわかるけど、こっちの様子は向こうには見えないから安心して……後…声は我慢してね…。」

 そういうと、またわたしの唇を噛み付くように続けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。

三月べに
恋愛
古川七羽(こがわななは)は、自分のあか抜けない子どもっぽいところがコンプレックスだった。 新たに人の心を読める能力が開花してしまったが、それなりに上手く生きていたつもり。 ひょんなことから出会った竜ヶ崎数斗(りゅうがざきかずと)は、紳士的で優しいのだが、心の中で一目惚れしたと言っていて、七羽にグイグイとくる! 実は御曹司でもあるハイスペックイケメンの彼に押し負ける形で、彼の親友である田中新一(たなかしんいち)と戸田真樹(とだまき)と楽しく過ごしていく。 新一と真樹は、七羽を天使と称して、妹分として可愛がってくれて、数斗も大切にしてくれる。 しかし、起きる修羅場に、数斗の心の声はなかなか物騒。 ややヤンデレな心の声!? それでも――――。 七羽だけに向けられるのは、いつも優しい声だった。 『俺、失恋で、死んじゃうな……』 自分とは釣り合わないとわかりきっていても、キッパリと拒めない。二の足を踏む、じれじれな恋愛模様。 傷だらけの天使だなんて呼ばれちゃう心が読める能力を密かに持つ七羽は、ややヤンデレ気味に溺愛してくる数斗の優しい愛に癒される? 【心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。】『なろうにも掲載』

【本編完結】付き合ってもいないのに、幼なじみの佐藤がプロポーズしてきた

ぽぽよ
恋愛
「俺らさ、結婚しない?」 三十二歳、独身同士。 幼なじみの佐藤が、たこ焼きパーティの最中に突然言い出した。 付き合ってもないのに。 夢見てた甘いプロポーズじゃないけれど、佐藤となら居心地いいし、給料もあるし、嫁姑問題もないし、性格も知ってる。 断る理由が、ない。 こうして、交際0日で結婚することが決まった。 「とりあえず同棲すっか」 軽いノリで決まってゆく未来。 ゆるっとだらっと流れていく物語。 ※本編は全7話。 ※本編完結後、ゆるいSS投稿予定。 ※サイドストーリー(切なめ)投稿予定。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

処理中です...