愛しい心は千歳よりさらに

25

　目を閉じてそう思うと、この人と離れる事が尚つらくて仕方がなかった。
　だが本当の事を今吉に話せるわけもない。ただただ涙が流れた。

　キヨのその姿に今吉はなお眉を寄せて手の動きを早めた。

「ああっ…!」

　キヨがどんなに首を横に振っても気にせず動きを早める。
　どれだけ果てても今吉の手が止まる事は無かった。

　もう意識も途切れ息も絶え絶えになる頃、今吉は自分の着物を脱ぎ己の逸物を取り出した。

　そしてキヨの中にゆっくりと入った。

「お前っ…さんっ…。」

　今までにない大きく立派なものがキヨの中を圧迫する。

「はぁ…っ…。」

　もう何もかもどうでも良くなってきていた。このまま時が止まってこの人と二人だけの世界に行けたなら…。

　キヨは今吉の背中に背を回した。今吉の肩がビクンッと跳ねた。

　まずいと思いその手を離そうとした瞬間体ごと抱き寄せられ、腰を動かされた。

「あっ…ああっ…‼︎」

　声が止まらない。目の前には愛しいと主張している瞳に捉えられ、争う事も出来なかった。

　そして目の前が真っ暗になる中、二人で共に果てたのだった。

　泥の様に眠ってどれくらい経ったのだろうか…。
　寝床の襖から太陽の光が刺していた。

　気だるい体を起こしてもう朝なのだと自覚する。
　
　枕元には茶碗とやかんが置かれていた。
　丁度喉が渇き喉を潤すと横で眠っている今吉を見た。

　彼はどういうつもりなのだろう。昨日の事を思い出すと恥ずかしくて顔を覆いたくなる。

　首を振って、朝ごはんの準備を始めようと立ち上がろうとした瞬間、腕を引かれる布団の中へと閉じ込められた。

　そのまま上を見ると、無表情でこちらを見る今吉の姿があった。

　今吉はキヨの身体を眺め出した。

　耐えられなくなり体を隠すと、今吉はまたキヨの身体を弄った。

「お願いっ…もうやめてっ…!」

　なぜ何も言ってくれずこんな事を繰り返すのかわからない。

「今吉さんっ…どうしてっ…!」

　その言葉で今吉はピタッと止まったが、またキヨの首筋にキスを落とした。

「あっ…!」

　そして昨日の様に気を失うまで行為は続いたのだった。

　今日は一日中寝床にいた。今吉がキヨを離そうとはしなかった。

　キヨは昨日おめかしにと着た着物がしわくちゃになりながらもそれを羽織り紐で結ぶだけの格好になっていた。

今は今吉の足の間に座らされて首や頭や髪の先にとあちこちに優しいキスが降ってくる。

　この人はこんなにロマンチストだっただろうか…。

　余裕ができたのかそんな事を考えてしまう。

　だがそんな悠長な事は言ってられない。キヨはその場で正座して今吉の前に座った。