両親を自殺に追い込んだ元夫とその愛人に復讐するために結婚した伯爵に溺愛されてます

ringo⸜❤︎⸝‍

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エピソード5

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 エラが朝食を食べ終わったのを確認したアンは食器をキャスターがついたカートに載せる。

「今日は何をなさるのですか?」

「そうですね・・・・・お屋敷の中でも見て回ろうかと思います」

 まだここに来て、初めての朝を迎えたばかりのエラは、庭と今いる自室以外に行ったことがないので、屋敷の中を見て回ろうと思った。

(特に、ルイス伯爵様の部屋に行きたい)

 エラの言葉を聞いたアンは、アーモンドの瞳を輝かせる。

「なら、私が案内します!!」

 アンはポンっと、拳で自分の胸を叩く。

「え・・・いえ、お忙しいと思うので簡単に場所を教えて頂ければ、一人で行けます」

(アンが一緒だと、ルイス伯爵様の部屋をじっくり探れない)

 伯爵の部屋を探せば、何か弱みを見つけられる事が出来るかもしれない。

 そう考えるエラには、アンが一緒に来られては困る。

「え~!全然大丈夫ですよ!!
ちょっとサボっても怒られないですしね」

 そう言って舌を出すアンは可愛い。

 とても自分と同い年とは思えないその姿にエラは思わず見入ってしまう。

(可愛い・・・・・それにしてもサボっても怒られないって、すごいな)

 「じゃあ決まり!!食器置いてきちゃいますね」

 余計なことを考えていた、エラは断るタイミングを逃してしまう。

 アンは鼻歌を歌いながら、足早に部屋を出ていってしまった。

 (まあ、いいか・・・・ルイス伯爵様の部屋で弱みを探すのは、アンに屋敷を案内して貰った後でする事にしよう)

 それにしても、っとエラは思う。

(あんなにメイドと仲良く話したのは初めてだな)

 ジョンの屋敷にいた時、愛人のエミリーに気を使ってかメイドや執事に避けられていたエラにとって、アンとの会話は新鮮だった。

 愛人にというよりは、エミリーを大切にしてたジョンに気を使っていたという方が正しいだろうか。

(今思えば、よく妻がいる前であれだけイチャつけたもんだよな)

  妻であるエラが同じ部屋にいるのに、
キスをしたり、抱きついたりしていた2人に、エラは呆れを通して感心してしまう。

「エラ様~はあ。おまたせ、しまし、た・・・」

 走ってきたのか、肩で息をしながらアンが部屋に入ってきた。

「アン・・・大丈夫?」

「ええ、はあ。大丈夫です」

 アンは顔の前で手をヒラヒラさせると、息を整えながら「行きましょ」とエラを誘う。

 伯爵の屋敷は豪華な装飾が施されていたり、金色の高そうな家具が置かれていたりと、まるで王城のようだとエラは思う。

 長い廊下には等間隔に大きなシャンデリアが飾られ、大きな窓からは光をいっぱいに取り込んでいる。

(ライデッカー家はお金持ちなんだな)

 エラはそう思いつつ、掃除が大変そうだなとも思う。

 「全部のお部屋を回るのは無理なので、私が好きなところだけ案内するので大丈夫ですか?」

「ええ・・・・このお屋敷には、ルイス伯爵さま1人で住まわれているのですか?」

 伯爵には、その日の内に会ったエラだが、それ以外の家族とはまだ、顔合わせをしてない。

(たしか、お爺様のジェイコブ伯爵と一緒に住まわれてると聞いたけど)

 アンは足を一旦止めて、エラの顔を不思議そうに見るが、特に何も言わずに再び歩きだす。

 「はい。
昨年までは、伯爵のお爺様であるジェイコブ伯爵も一緒に住まわれていたのですが、病気で入院なされて以来は、お一人ですね。

ご両親は早くに亡くされているようですし・・・・・

年の離れた・・・・ちょうど私とエラ様と同い年の弟がいらっしゃるのですが、今は外国に」

(ルイス伯爵様、ご両親をなくされているのね)

 エラはアンの言葉を聞きながら、自分は伯爵の事を何も知らないのだなっと思う。

 エラが、ジェイコブ伯爵の事を知っているのは、そもそもエラとルイス伯爵が結婚できたのは、エラの父の知り合いの
貴族がジェイコブ伯爵と知り合いで、取り計らってくれたから。

 その貴族はエラの父親と親友で、エラのことを娘のように可愛がってくれていて、両親が亡くなってからも何かと面倒を見てくれた人だった。

 そして、唯一エラの復讐をするという目的を知る人物だ。

 その貴族からジェイコブ伯爵の事を聞いたが、直接会ったことはない。

(確か、ジェイコブ伯爵はライデッカー家の発展に大きく貢献した方)

「エラさま着きましたよ!!」

 アンの声に反応して顔をあげれば
大きく、そして高い二枚扉が目に飛び込んでくる。

 その扉の上には、金色で造られた草や花の様なものを型どった飾りがある。

「ここは?」

「・・・・見てからのお楽しみです!
エラさま目を瞑ってください」

 アンは満面の笑みを浮かべたかと思うと、目を瞑ってみせる。

 エラはそのアンを見ていたら、何故が面白くなってきて口元に笑みを浮かべる。

 指示通りに目を瞑ったエラをアンは手を引っ張り誘導する、

 ギィーっと扉を開ける音がする。

 しばらく歩くと、引っ張られる手が離れていく。

「もういい?」

「はい・・・いいですよ」

 その声を合図にして、エラはゆっくりと目を開ける。

「うわ~・・・・すごい」

 その光景に思わず声をあげてしまう。

 そして、あまりの歓喜と驚きに、目を見開いたまま、エラは固まってしまう。

 そこには沢山の本がある。

 高い天井の部屋の壁には、その部屋と同じ高さの本棚が取り付けられている。

 その本棚の丁度半分くらいのところで1階と2階に別かれていて、本棚には空きがなくビッシリと本が詰められている。

 部屋の中心には大きなテーブルが置かれていて、その上には、これまた大きな地球儀が置かれている。

 まるで、小説に出てくるのうな、想像の世界にあるような図書館だ。

 こんなに沢山の本がある部屋にエラは1度も入ったことがない。

 多分王城の図書館もここまででは無いだろう。

「どうですか?・・・・この屋敷自慢の図書館です!!」

 アンは胸を張って、その場で一回転して見せる。

「すごいわ!!・・・・こんなに沢山の本見たことないです」

「ジェイコブ伯爵もルイス伯爵も本好きなので、これでも収まり切らないくらい、沢山の本があるんですよ!」

 本好きのエラにとっては、これ以上ないほどの幸せな空間。

 ジョンとの結婚生活が退屈だったため、エラは一日のほとんどを本を読んで過ごしていた。

 好きな読書を好きなだけできたジョンとの結婚生活は、その面では楽しかったと言えるのかもしれない。


「アンも本を読むのが好きなのですか?」

 エラがそう問うと、アンはさっきまでの笑顔を引っ込める。

 そして、アンは少し気まずそうに頭をかきながら言う。

「私は字が分からないので・・・・ただ、本に描かれてる綺麗な絵を見るのは好きで、よく借りにきます」

(確かに、本は描かれた絵を見るだけでも楽しいし、充分に楽しめる)

 アンの言葉にエラは頷き、そして微笑む。

 ジョンの屋敷では、メイドや執事が図書館の本を読むのは禁止されていたが、この屋敷では、そういうルールは無いらしい。 

(早くここの本を読みたいな)

エラは、図書館の本を見渡しながらそう思った。
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