【R18】聖女さま、団長とまぐわっていただけませんか?

澤谷弥(さわたに わたる)

文字の大きさ
10 / 22

聖女(10)*

しおりを挟む
「ニール……、きて……」

 待ちきれず彼の耳元で囁くと、ぐっと入り口に彼の先端が入り込んだ。

「あっ……」

 前の男と別れて以降、そこに異物を受け入れたのは会社の指定する人間ドックを受診したときのみ。こちらの世界にきてからは、一度もない。
 みちみちと襞を擦り上げながら、熱い肉棒が入り込んでくる。

「痛むか?」

 緊張で心臓はバクバクと音を立てており、口もだらしなく開けていた。その表情が痛みをこらえているように見えたのだろう。

「大丈夫」
「お前は……、初めてではないんだな」

 彼の瞳に嫉妬の炎が揺らめいた。

「だけど、こんなに感じたのは初めて……」

 何かしらの初めてを口にしなければならないと思った。だが、それは間違いではなかったようだ。彼の目元が和らぐ。

「そうか……」

 唇を重ねる。
 だが、ぐぐぐっと彼が腰を押し進めるたびに、下腹部にはなんとも表現しがたい圧迫感が生まれ始める。

「ん、んんぅっ……ん、んっ……」

 口を塞がれたため、唸ることしかできない。
 その異変にニールも感じ取ったのだろう。名残惜しそうに唇を離すと耳元で囁く。

「根元まで入った……」
「……!!」

 まさしく彼の先端は、アズサの未踏の地へと到達していた。

「やはり、痛むのか?」

 不安気に眉間に皺を深く刻んでいる様子を見ると、心からそう思っているのだろう。
 だが、違う。そこは未踏の地だったのだ。ファンタジーな彼の息子がそこに足を踏み入れた。

「ちがっ……。あっ……」

 ニールが力強く抱きしめてきた。隙間なくびっちりと繋がっているはずなのに、それでも彼の先端がさらに奥へ進もうとしているように感じるから不思議だった。

「こんなの……、初めて……で……ん、んっ……」

 ピクっと埋もれている杭が反応した。

「初めて? 何が、だ?」
「そんな、奥……。あぁっ……、深いの……」
「そうか……、アズサは奥がいいのか?」

 抱き寄せていたアズサの身体から離れたニールは、彼女の腰を掴み直した。

「あぁっ……」
「俺は初めてだからな。教えてもらわないと、わからない……」

 獲物を狩る獣のように瞳をギラギラと輝かせている。

「動いたほうがいいのか? それともこのままか?」

 わざとアズサを煽るような質問をしてくる。

(童貞のくせに……)

 そのすべてがアズサの心の安定剤のようなものだった。
 だが、彼も辛そうに口の端をひくひくと震わせている。動きたいのか、イきたいのか。

「動きたいのは……、あなたじゃないの? 動く許可を、与えてもいいけれど?」

 すべてを彼に牛耳られるのは面白くない。

「さすが寛大な聖女様だ。愚かな俺に、動く許可を与えてくださった……」

 ニールはゆるゆると腰を引いた。抜け落ちるくらいぎりぎりまで引くと、ゆるゆると奥へと進む。そのゆるゆるとした動きが、逆にじれったく感じる。

「あぁああ……。アズサの中は蕩けそうなほど、気持ちがいい」

 彼は最奥を突いたまま、うっとりとした表情でアズサを見下ろしている。

「アズサは、先ほどから自分で腰を動かしているように見えるが……。やはり、俺のものでは不満なのか?」
「ち、ちがっ……」
「何が、違う? はっきり言ってもらわないとわからないな。何しろ、初めてなものでな」

 さきほどから彼は、初めてを逆手に取ってくる。

(童貞のくせに……)

 彼の思い通りになるのは悔しい。だけど、激しく突いてもらいたい。

「あなたには、動く許可を与えたの……。それをきちんと行使しなさい」
「だから、ほら……。こうして、動いている」

 また、ゆるゆると腰を振る。

「初めてだからわからないようね……。動くというのは、そんな気の抜けた動きのことじゃないの。もっと、激しく……」
「そうか……。激しく、動いていいのか……」

 気合を入れるかのように、彼は長く息を吐いた。アズサの腰を掴み直すと、いきなりズンと奥を突く。

「あっ……」

 激しくと自分から口にしたアズサではあるが、それがこんなに感じるものだとは思わなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜

紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま! 聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。 イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか? ※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています ※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...