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普通の人間とあやかしの間に産まれた子は、霊力が大きいと言われている。本来であれば、人間とあやかしでは子を授かることができないから。子を授かったことそのものが奇跡であり、その奇跡の先にあるのが霊力の強い子なのだとか。
私にはまったく知らなかった世界だ。
そんなキャラ文芸に出てくるようなあやかしの健太郎さんは『雪男』と呼ばれる種族とのことだった。
雪男って、毛むくじゃらのイエティのイメージしかないんだけど。と言ったら、似たようなものだと笑われた。どうやら、健太郎さんのお母さまが『雪女』なのだとか。
まったくもって、この世のあやかし業界についてわからない私だけれど、健太郎さんとお義母さまの話を聞く限り、財政界を牛耳っているほとんどがあやかしなのだそうだ。
彼らは、人間とは異なる霊力があるため、商売やら何やらに才能を発揮する。スポーツ選手の中にもあやかしはいるらしい。そうやって、普通の人間の世界に溶け込んでいる。
基本的には、普通の人間とあやかしは交わることはない。だから、私があやかしについて知らなかったのはそれが理由。あやかしは人間を知っているけれど、人間はあやかしを知らないという、一方的な片思い的な関係にも見える。
基本的には異種婚と呼ばれるものはない。あやかしはあやかしであることを隠しているし、あやかしが結婚する相手はあやかしなのだとか。
そもそも、二つの種族の間では子を授かることができないのだから、お付き合いはするけれども、結婚という話になるとあやかしのほうから離れていくらしい。
もしくは、あやかしがあやかしであることを隠して、結婚をする者もいるらしいのだが。その辺は愛しあった二人の話なので、私が口を出すようなことではない。
そんなわけで、私と健太郎さんの関係は異例中の異例。
異例中の異例だから、それを面白く思わないあやかしから狙われる可能性がある、というのが健太郎さんとお義母さまの話だった。
本当に、本の中の世界かと思った。もしかしたら、本の中の世界のほうが現実なのかもしれない。真実は小説より奇なりとは、まさしくこのことか。と、何度も思った。
健太郎さんが淹れてくれたそば茶が、鼻腔を撫でていく。どこか香ばしくて、落ち着く香りだ。
熊さんの顔型のクッションを抱きかかえるようにして、ふかふかのソファに座っていた私は、ここのところ悪阻が酷い。
今日はとうとう会社を休み、お義母さまに付き添われて、病院で点滴を打ってきたところ。そして、健太郎さんは午後になって慌てて会社から戻ってきたところだった。
点滴のおかげでだいぶ気分は良くなった。だから健太郎さんから、あやかし講義を受けていたのだが。
本来ならば信じられないような話であるのに、あまりにも健太郎さんが真面目に話をするので、すとんと信じてしまった。
私にはまったく知らなかった世界だ。
そんなキャラ文芸に出てくるようなあやかしの健太郎さんは『雪男』と呼ばれる種族とのことだった。
雪男って、毛むくじゃらのイエティのイメージしかないんだけど。と言ったら、似たようなものだと笑われた。どうやら、健太郎さんのお母さまが『雪女』なのだとか。
まったくもって、この世のあやかし業界についてわからない私だけれど、健太郎さんとお義母さまの話を聞く限り、財政界を牛耳っているほとんどがあやかしなのだそうだ。
彼らは、人間とは異なる霊力があるため、商売やら何やらに才能を発揮する。スポーツ選手の中にもあやかしはいるらしい。そうやって、普通の人間の世界に溶け込んでいる。
基本的には、普通の人間とあやかしは交わることはない。だから、私があやかしについて知らなかったのはそれが理由。あやかしは人間を知っているけれど、人間はあやかしを知らないという、一方的な片思い的な関係にも見える。
基本的には異種婚と呼ばれるものはない。あやかしはあやかしであることを隠しているし、あやかしが結婚する相手はあやかしなのだとか。
そもそも、二つの種族の間では子を授かることができないのだから、お付き合いはするけれども、結婚という話になるとあやかしのほうから離れていくらしい。
もしくは、あやかしがあやかしであることを隠して、結婚をする者もいるらしいのだが。その辺は愛しあった二人の話なので、私が口を出すようなことではない。
そんなわけで、私と健太郎さんの関係は異例中の異例。
異例中の異例だから、それを面白く思わないあやかしから狙われる可能性がある、というのが健太郎さんとお義母さまの話だった。
本当に、本の中の世界かと思った。もしかしたら、本の中の世界のほうが現実なのかもしれない。真実は小説より奇なりとは、まさしくこのことか。と、何度も思った。
健太郎さんが淹れてくれたそば茶が、鼻腔を撫でていく。どこか香ばしくて、落ち着く香りだ。
熊さんの顔型のクッションを抱きかかえるようにして、ふかふかのソファに座っていた私は、ここのところ悪阻が酷い。
今日はとうとう会社を休み、お義母さまに付き添われて、病院で点滴を打ってきたところ。そして、健太郎さんは午後になって慌てて会社から戻ってきたところだった。
点滴のおかげでだいぶ気分は良くなった。だから健太郎さんから、あやかし講義を受けていたのだが。
本来ならば信じられないような話であるのに、あまりにも健太郎さんが真面目に話をするので、すとんと信じてしまった。
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