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光の玉の速度は次第に速まり、夏哉に追いつくと彼の全身を光で覆った。
人間の姿であった元カレは、その姿を狐の姿に変えた。
――あら、かわいい。
「管狐か。となれば、主人は別にいるな」
管狐。妖怪の名前。聞いたことがある。とにかく、狐だ狐。
「あやかしって、妖怪?」
「のような力を持つ、人間のような者」
「てことは、人間?」
「とも、違う。けれど、こうやって人間界に潜んでいる。だが、とにかく君は、あやかしに好かれる体質のようだな。前もって指輪を渡しておいてよかった」
指輪と言われ、左手の薬指の控えめな石が煌めく指輪を見つめた。石は指輪のリングの部分に埋め込まれていて、邪魔にならないようなデザインであるところが気に入っている。
「その指輪には、俺の霊力が込められている。だから、君に何かあれば、その指輪が俺に教えてくれる」
「てことは、GPSみたいなもん?」
「と思ってもらってもかまわない」
そんなことを言われて、素直に指輪をつけ続けようとも思わない。ようするに、私の居場所が健太郎さんに筒抜けってことでしょ?
スマホは肌身離さず身に着けているものではないから許せたけれど、この指輪はちょっと。
そう思って指輪を外そうとしてみたけれど、全然外れなかった。
「なんで?」
「やはり。指輪に認められたようだな。よなれば、君は私の運命の女性に間違いない」
健太郎さんが私の腰を抱き寄せる。
「助けにくるのが遅れて悪かった。走ったようだが、体調は問題ないか?」
優しく私の下腹部に触れた。
「大丈夫。大丈夫だけど、健太郎さんが近すぎるから、大丈夫じゃない」
セピア色の人間たちがたくさんいるのに、恥ずかしいったらありゃしない。
「俺の嫁は、可愛いな」
「うん。まだ嫁じゃないけどね」
クゥン、と犬のような鳴き声が聞こえてきた。
夏哉だ。いや、狐だ。
「どうすんの? これ。今は狐だけど、夏哉なんだよね?」
「君が、他の男を呼び捨てにするのは、いい気持ちはしないが」
健太郎さんの言葉で、はっとする。私も付き合ってもいない男のことを呼び捨てにしてしまった。人のことを言えたもんじゃない。
「とりあえず、主人の元に帰そう。そうすれば、君を襲った黒幕がわかる」
健太郎さんが、狐の首根っこを掴み、何やらお経のような言葉を口にすると、狐はぱっと消えた。
「さて、俺たちも帰ろう」
また、世界が一変した。セピア色の世界が、色のある世界に戻った。肌に感じる空気は、湿気が多くじめっとしているし、何よりも周りの人たちが動いていた。
「ねえ、さっきの雪だったよね?」
「雪?」
「降った、降った」
「こんなに暑いのに?」
「あ~、でも、暑いから少しくらい雪が降ってくれてもいいかもって思うわ」
そんな会話が聞こえてきた。地面を見ると、雨が降ったかのように濡れていて、それがすでに蒸気になってもやを作っていた。
隣の健太郎さんを見上げると、彼は困ったように笑っていた。
きっと彼を問い詰めても、答えてくれないだろうから、あとでこっそりとお義母さまに聞くことにしよう。
人間の姿であった元カレは、その姿を狐の姿に変えた。
――あら、かわいい。
「管狐か。となれば、主人は別にいるな」
管狐。妖怪の名前。聞いたことがある。とにかく、狐だ狐。
「あやかしって、妖怪?」
「のような力を持つ、人間のような者」
「てことは、人間?」
「とも、違う。けれど、こうやって人間界に潜んでいる。だが、とにかく君は、あやかしに好かれる体質のようだな。前もって指輪を渡しておいてよかった」
指輪と言われ、左手の薬指の控えめな石が煌めく指輪を見つめた。石は指輪のリングの部分に埋め込まれていて、邪魔にならないようなデザインであるところが気に入っている。
「その指輪には、俺の霊力が込められている。だから、君に何かあれば、その指輪が俺に教えてくれる」
「てことは、GPSみたいなもん?」
「と思ってもらってもかまわない」
そんなことを言われて、素直に指輪をつけ続けようとも思わない。ようするに、私の居場所が健太郎さんに筒抜けってことでしょ?
スマホは肌身離さず身に着けているものではないから許せたけれど、この指輪はちょっと。
そう思って指輪を外そうとしてみたけれど、全然外れなかった。
「なんで?」
「やはり。指輪に認められたようだな。よなれば、君は私の運命の女性に間違いない」
健太郎さんが私の腰を抱き寄せる。
「助けにくるのが遅れて悪かった。走ったようだが、体調は問題ないか?」
優しく私の下腹部に触れた。
「大丈夫。大丈夫だけど、健太郎さんが近すぎるから、大丈夫じゃない」
セピア色の人間たちがたくさんいるのに、恥ずかしいったらありゃしない。
「俺の嫁は、可愛いな」
「うん。まだ嫁じゃないけどね」
クゥン、と犬のような鳴き声が聞こえてきた。
夏哉だ。いや、狐だ。
「どうすんの? これ。今は狐だけど、夏哉なんだよね?」
「君が、他の男を呼び捨てにするのは、いい気持ちはしないが」
健太郎さんの言葉で、はっとする。私も付き合ってもいない男のことを呼び捨てにしてしまった。人のことを言えたもんじゃない。
「とりあえず、主人の元に帰そう。そうすれば、君を襲った黒幕がわかる」
健太郎さんが、狐の首根っこを掴み、何やらお経のような言葉を口にすると、狐はぱっと消えた。
「さて、俺たちも帰ろう」
また、世界が一変した。セピア色の世界が、色のある世界に戻った。肌に感じる空気は、湿気が多くじめっとしているし、何よりも周りの人たちが動いていた。
「ねえ、さっきの雪だったよね?」
「雪?」
「降った、降った」
「こんなに暑いのに?」
「あ~、でも、暑いから少しくらい雪が降ってくれてもいいかもって思うわ」
そんな会話が聞こえてきた。地面を見ると、雨が降ったかのように濡れていて、それがすでに蒸気になってもやを作っていた。
隣の健太郎さんを見上げると、彼は困ったように笑っていた。
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