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第七章:告白 x 告白(2)
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どちらかというと、ハリエッタは一歩引いて周囲を見回すような控えめで穏やかな女性なのだ。それでも自分の立場をわきまえているため、状況に応じて公爵令嬢といった立ち居振る舞いをする。
その結果、社交界でも評判の高い人気の令嬢となった。
「わたくしでよければお聞きします。もうすぐウォルター領に戻ってしまいますし、ここで聞いた内容を話すような相手もおりませんから」
社交の場に顔を出すつもりはないと遠回しに言ったつもりだが、どうやらその意図が伝わったようだ。
ハリエッタは、安心したかのようにほっと息を漏らす。
「クラリス様は、雰囲気がおかわりになりましたよね」
「そうですか?」
そう言われても自分ではわからない。だけど、生活が大きくかわったから、それが影響しているのだろうか。
毒師として王城にいたときは何かと慌ただしかったかもしれない。毒見はもちろんだが、母親と一緒に解毒薬を作ったり、さまざまな薬を作ったり、薬を与えたり。言われるがまま、何かしらの薬を作り、必要とする者に与えていた。
しかし、ウォルター領ではどうだろうか。
もちろん薬も作っているが、ゆったりと朝の散歩もできるし、森の散策も楽しめる。誰かに頼んで手に入れていた薬の材料も、今では自らの手で摘み取ったり捕まえたりできる。
ゆったりとした雰囲気のなか、のんびりとした時間を過ごしていたかもしれない。
「ええ、以前よりも愛らしくなりました。とてもやわらかくなったと言いますか。以前は、少し冷たい感じがありましたけれども」
クラリス自身もアルバートの前では冷たい表情を心がけていた。それは彼に害を与えそうな人物を威嚇するためでもあった。
「ウォルター伯のおかげですね」
ハリエッタのその言葉は間違いだ。ユージーンのおかげではない。
「やはり、愛し合っていらっしゃるからですか? その……夜に……」
なぜかハリエッタが恥ずかしそうに言葉を濁す。
クラリスは小首を傾げた。
「夜?」
「あの……その……夫婦の営みです……」
そこまで言ってハリエッタは両手で自身の顔を覆った。
むしろ恥ずかしいのはクラリスである。
「は、は、は、ハリエッタ様。な、なにをおっしゃって……」
「クラリス様はご結婚されましたから、ウォルター伯とそういったことをされてもおかしくないと言いますか。ですが、私は……」
自分のことは疎いのに、他人のことになると敏感になる。ハリエッタがそこまで言って、クラリスにはピンとくるものがあった。
「もしかして、殿下に求められていらっしゃるのですか?」
ハリエッタは両手で顔を隠したまま、コクコクと頷いた。
(アルバート殿下は、いったい何を考えていらっしゃるの? このxxxx!)
クラリスは心の中でアルバートに向かって悪態をついた。
以前からハリエッタに対しては暴走気味のところがあったが、二人はまだ婚約の仲だ。婚前交渉を咎めるつもりはないが、ハリエッタの性格を考えれば、そこは慎重になるべきところなのに。
「ハリエッタ様が殿下を望みたいと思ったときに受け入れればよろしいのですよ。もし無理矢理襲ってくるようでしたら、殿下の殿下が使い物にならなくする薬を、殿下に飲ませますから」
両手の下に隠されているハリエッタの顔が、クスリと笑った気配があった。
「ハリエッタ様。落ち着かれたのであれば、どうか顔をあげてください」
先ほどから彼女は下を向き、顔を覆ったままだ。
「ハリエッタ様……?」
返事がない。彼女の首元に触れると、脈動を感じる。
「ハリエッタ様?」
彼女の顔に耳を近づけ、呼吸音を確認した。
「眠っていらっしゃる?」
それにしてもこれは不自然だ。今まで会話をしていたのに、急に眠りに落ちるのは、病のせいか薬のせいか。
しかし、ハリエッタがそういった病であるとは聞いていない。となれば、やはり薬によるものだろう。
ハリエッタのお茶、お菓子、それらに顔を近づけにおいを確認するが、睡眠薬が混入された様子はない。
(もしかして……この花?)
テーブルに飾られている見慣れぬ花。においを嗅ぐと、甘い香りがする。
(睡眠薬に使う材料のにおいに似ているかも)
見慣れぬこの花から漂う甘い香りが、ハリエッタを眠りに誘ったのだ。
クラリスとしてはこの花に興味がある。誰がどこで手に入れた花なのか。遥かなる異国にはこういった花が自生しているのか。それとも意図的に品種改良されたものなのか。
いや、今はそれどころではない。
その結果、社交界でも評判の高い人気の令嬢となった。
「わたくしでよければお聞きします。もうすぐウォルター領に戻ってしまいますし、ここで聞いた内容を話すような相手もおりませんから」
社交の場に顔を出すつもりはないと遠回しに言ったつもりだが、どうやらその意図が伝わったようだ。
ハリエッタは、安心したかのようにほっと息を漏らす。
「クラリス様は、雰囲気がおかわりになりましたよね」
「そうですか?」
そう言われても自分ではわからない。だけど、生活が大きくかわったから、それが影響しているのだろうか。
毒師として王城にいたときは何かと慌ただしかったかもしれない。毒見はもちろんだが、母親と一緒に解毒薬を作ったり、さまざまな薬を作ったり、薬を与えたり。言われるがまま、何かしらの薬を作り、必要とする者に与えていた。
しかし、ウォルター領ではどうだろうか。
もちろん薬も作っているが、ゆったりと朝の散歩もできるし、森の散策も楽しめる。誰かに頼んで手に入れていた薬の材料も、今では自らの手で摘み取ったり捕まえたりできる。
ゆったりとした雰囲気のなか、のんびりとした時間を過ごしていたかもしれない。
「ええ、以前よりも愛らしくなりました。とてもやわらかくなったと言いますか。以前は、少し冷たい感じがありましたけれども」
クラリス自身もアルバートの前では冷たい表情を心がけていた。それは彼に害を与えそうな人物を威嚇するためでもあった。
「ウォルター伯のおかげですね」
ハリエッタのその言葉は間違いだ。ユージーンのおかげではない。
「やはり、愛し合っていらっしゃるからですか? その……夜に……」
なぜかハリエッタが恥ずかしそうに言葉を濁す。
クラリスは小首を傾げた。
「夜?」
「あの……その……夫婦の営みです……」
そこまで言ってハリエッタは両手で自身の顔を覆った。
むしろ恥ずかしいのはクラリスである。
「は、は、は、ハリエッタ様。な、なにをおっしゃって……」
「クラリス様はご結婚されましたから、ウォルター伯とそういったことをされてもおかしくないと言いますか。ですが、私は……」
自分のことは疎いのに、他人のことになると敏感になる。ハリエッタがそこまで言って、クラリスにはピンとくるものがあった。
「もしかして、殿下に求められていらっしゃるのですか?」
ハリエッタは両手で顔を隠したまま、コクコクと頷いた。
(アルバート殿下は、いったい何を考えていらっしゃるの? このxxxx!)
クラリスは心の中でアルバートに向かって悪態をついた。
以前からハリエッタに対しては暴走気味のところがあったが、二人はまだ婚約の仲だ。婚前交渉を咎めるつもりはないが、ハリエッタの性格を考えれば、そこは慎重になるべきところなのに。
「ハリエッタ様が殿下を望みたいと思ったときに受け入れればよろしいのですよ。もし無理矢理襲ってくるようでしたら、殿下の殿下が使い物にならなくする薬を、殿下に飲ませますから」
両手の下に隠されているハリエッタの顔が、クスリと笑った気配があった。
「ハリエッタ様。落ち着かれたのであれば、どうか顔をあげてください」
先ほどから彼女は下を向き、顔を覆ったままだ。
「ハリエッタ様……?」
返事がない。彼女の首元に触れると、脈動を感じる。
「ハリエッタ様?」
彼女の顔に耳を近づけ、呼吸音を確認した。
「眠っていらっしゃる?」
それにしてもこれは不自然だ。今まで会話をしていたのに、急に眠りに落ちるのは、病のせいか薬のせいか。
しかし、ハリエッタがそういった病であるとは聞いていない。となれば、やはり薬によるものだろう。
ハリエッタのお茶、お菓子、それらに顔を近づけにおいを確認するが、睡眠薬が混入された様子はない。
(もしかして……この花?)
テーブルに飾られている見慣れぬ花。においを嗅ぐと、甘い香りがする。
(睡眠薬に使う材料のにおいに似ているかも)
見慣れぬこの花から漂う甘い香りが、ハリエッタを眠りに誘ったのだ。
クラリスとしてはこの花に興味がある。誰がどこで手に入れた花なのか。遥かなる異国にはこういった花が自生しているのか。それとも意図的に品種改良されたものなのか。
いや、今はそれどころではない。
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