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27 モテ要素

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 バスルームに行って、どの棚の中かなって思ってると隼也が来た。俺の事なんてお構いなく、必要であろう物を取り出して棚に置くと、ぽいぽいってくらいに躊躇いなく服を脱いで先に入って行く。

 恥ずかしいって思わないのかなって考えて、思わないかと納得する。だって一緒にプールや海に行ってみんなで着替えるし、温泉や銭湯に一緒に入った。何も意識したことなかったなって、思い返してみる。

 今だってぽいぽい脱がれたら、さっきまでの駆け引きめいたやり取りなんて何の意味があったんだろうと思うくらいに滑稽だ。

 中からシャワー音がして来て、ものの数分で出て来る。バスタオルで拭いて下着とスウェットを着て出て行く。

「寝室は奥な、待ってる」

 軽く肩に触れられて言われたけど、なんだかな。これから挑む事に対する落差がすごい。だけど変に手伝われるのも嫌だから、これくらい興味なさげにしてくれた方が挑みやすいのかも。とりあえずやる事をやらなければ進まないので、覚悟を決めて挑む。

 こればっかりは自分でしないとダメで、しかも隼也がいるし、自分の家じゃないし。道具も慣れていないしで時間がかかった。

 バスルームを出た頃には疲れ果てていたし、ジェルを入れる事に対する羞恥も覚える。

 隼也のアレはもう何度も見ていて、でもそういう意味では見た事がなくて。隼也も同じなのに、なんで高2の時の浴衣だけが特別覚えられているのかわからない。乳首って普通に水着の時に見てるだろうし、その時はどのクラスのあの子の胸が大きいとか、胸派か尻派かとか言い争っていたりとか。思い出したけど隼也は胸派だった。完全なノーマルだったのに、なんで俺相手にあんなキスができるのか。しかも勃ってた。わからない。

 はあっとため息をついてからドアを開ける。キッチンでお水を飲んでから、寝室はどっち? と部屋を見まわした。

 遅くなったから寝てしまったかも。気分が削がれてしまっているかも。でもそうだったらそれで良いかと思うくらいには、さっきまでの行為を滑稽に思っている。

「隼也? 入るよ」

 ドアが少し開いている部屋へ気遣いながら入ると、薄暗い部屋のベッドの上で、スマホの明かりを浴びた隼也がいる。本当に何時も通りで緊張もなにも感じない。

「何やってるの?」

 隼也の隣に寝転んで隼也のスマホを見ようとすると、横向きだった隼也が仰向けになって画面を見せてくれた。

「……なんだ、課題の下調べ? マジメか」

「んーまぁ暇だったし?」

 横にふたりで並んで寝転んで、準備して来た俺がかわいそう。いったいこの状況はなんだろう? 思いながらも自分から乗っかるに行くのはどうかな? と思うし。隼也の友達の部分は知っていても、恋人の顔をした隼也は知らない。あんな俺に一途な発言をしていたけど、隼也がモテているのは知っている。

 高校の頃に隼也と付き合っていた相手が言っていた。隼也は自分にだけ甘い顔を見せてくれる。そういうギャップにやられるらしい。
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