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30 信頼

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 なんか良くわからない身勝手さをぶつけ合うようなセックスをして、一緒にシャワーを浴びている。

「隼也のバカ」

 ふたりでシャワーを浴びているのに、雰囲気は友達のまま。ただ乱暴にされた尻と腹の中がズキズキと痛んでいる。でも出るだけ出した感のある性欲はスッキリしていて気だるくもあって。でも気分は良くない。

「なんで? 碧だって俺のこと好きなように使っただろ?」

「言い方!」

 もっと甘い雰囲気で愛されたかった。特に初めては記憶に残るような愛され方をしたかったのに。……まぁ、でも? 最悪トイレで強姦されそうだった身だ。あれよりは良かったケド? なんか無理やり良い方に持って行こうとしている自分のマヌケ加減にも嫌気がさして来る。

「俺は碧と友達で高校からの同級生でセックスを楽しめる恋人っていうの、ぜんぶできて嬉しいけど?」

「俺は普通の恋人が欲しかったの!」

 そう言うと隼也はなぜだか嬉しそうに笑った。

「誕生日とクリスマスには碧の理想の恋人? 演じてやるよ」

「演じるって!」

 話にならない。怒って見せれば顎を取られてキスに持ち込まれる。

「うーうう~~ん、ん……んもう! キスで何でも許されると思うなよっ!」

 イタズラにあわあわにさせられた体をシャワーで流して、隼也を置いて先にバスルームから出た。服を着て髪にドライヤーをかけていると、隼也が出て来て体を拭いている。何も隠さないんだなって思うのだけど、隠すのも変なのか? って良くわからなくなる。

「座って」

 隼也の方が背が高いからドライヤーをかけるのに手が届かないから言ったのだけど、不思議そうに見られてこっちが間違っているのかと戸惑う。

「ドライヤー、しないの?」

 そう言うとわかったって顔をして素直に座った。隼也の髪に手櫛を通す。いつもワックスを使ってツンツンにしている髪がサラサラで手触りが良い。悪そうに見せているんだろう容姿が真面目に見える。こういうのもお泊まりで遊んだ時に見ているはずなのに、意味がある視線で見たからかな、自分だけに見せてくれているっていう特別感を持ってしまった。

「こういうのはじめて」

 大きい声で隼也が言う。嘘っぽい。彼女にしてもらってそうだ。納得してない顔をしたみたいで、隼也が俺の手を取って甲にキスをして斜に見上げて来る。

「やらせねえもん、俺。だって無防備になるし、信用できねえヤツに触られたくねえし」

「……俺は友達だからね」

 同級生って特別だろ? 意味ありげに言われても、はいはいそうですかくらいにしか思わない。

「友達で同級生で、誰よりも信頼のおける恋人だろ?」

「なんか付け足しが嘘くさいから黙って?」

 とりあえずなんか隼也にテキトーに扱われたっていう感想と、これって恋人って呼べるのか? っていう疑問しかないけど。

「あおい、つれない」

 そういえば家に帰れないんだよなって思い出した。玲が嫌がらせでしたのかどうなのか。なんか考えるの億劫になる。

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