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土日にバイトをしている。毎週必ずではないけど、お休み前なのでなるべく入れている。
隼也はサッカーの試合があるようで、ふたりして忙しい土日を過ごしたから、朝の出る時間も違ったし、夜の帰る時間も違ったから、挨拶程度しかできていなかった。
月曜の朝、隼也はまだ寝ているようだったから、1限に出る為に早く家を出た。
玲と学部が同じなので、受ける講義はほとんど同じ。でも受けられない時もあるし、サボったりもするから、ズレている時もあるんだけど。ほぼ毎日朝は一緒になっていて。思い返してみれば俺から玲におはようって言った事がない。必ず玲が見つけてくれて、おはようって隣に並んでくれていた。
誰にも声をかけられず講義室について、窓際の真ん中辺りに座ったけど、見渡しても玲がいない。今日の1限は必須の講義じゃないから、いなくても別に不思議ではないのだけど。
スマホが震える。隼也からおはようのメールだった。どうやら今起きたらしい。可愛いウサギのスタンプで寝坊したって来て、少し笑ってしまった。
「昨日も隼也と一緒だった?」
後ろから声をかけられて驚いてしまった。そこからスマホの内容がわかった? スタンプが見えるくらいだと思うけど。
「おはよう玲」
挨拶したのに無視された。だったら声をかけなければ良いし、近くに来なければ良いと思うのだけど。
「約束の日、賢吾10時に駅前で待ってるって連絡あったから」
「え? 俺断る……」
そう言ったのにまた視線を避けられてしまった。そんなギリギリのタイミングで教授が入って来る。そういうタイミングを狙われたんだろうか。
講義が終わったら話そうと思っていたのに、気づいたらもう席にはいなくて。2限には出席もしていなかった。
「玲から賢吾に会う時間を聞いたんだ」
お昼休み、いつものカフェでお昼を取る。隼也は来たけど玲は来ない。
「行くのか?」
「うん、そうだね」
高校の同級生だ。一日くらい付き合っても良いと思う。玲のやり方は気に入らないけど、賢吾は単に遊びに来たいだけだと思うから。でも隼也は不機嫌さを隠さない。
「俺、その頃に手伝いに行くって知ってるだろ? 俺、そばにいねえよ? アイツが碧に興味あったの本当のことだってわかってる? それでも二人で会うの?」
「……それは、その時の話の流れでノリか面白がっていただけだろ? 賢吾が俺? ありえないよ」
耳横の髪を一房摘まれて、くるんと指に絡めてから離れて行く。
「俺は本気だったよ」
悲しげに目を見られている。その視線に胸が軋んだ。
隼也はサッカーの試合があるようで、ふたりして忙しい土日を過ごしたから、朝の出る時間も違ったし、夜の帰る時間も違ったから、挨拶程度しかできていなかった。
月曜の朝、隼也はまだ寝ているようだったから、1限に出る為に早く家を出た。
玲と学部が同じなので、受ける講義はほとんど同じ。でも受けられない時もあるし、サボったりもするから、ズレている時もあるんだけど。ほぼ毎日朝は一緒になっていて。思い返してみれば俺から玲におはようって言った事がない。必ず玲が見つけてくれて、おはようって隣に並んでくれていた。
誰にも声をかけられず講義室について、窓際の真ん中辺りに座ったけど、見渡しても玲がいない。今日の1限は必須の講義じゃないから、いなくても別に不思議ではないのだけど。
スマホが震える。隼也からおはようのメールだった。どうやら今起きたらしい。可愛いウサギのスタンプで寝坊したって来て、少し笑ってしまった。
「昨日も隼也と一緒だった?」
後ろから声をかけられて驚いてしまった。そこからスマホの内容がわかった? スタンプが見えるくらいだと思うけど。
「おはよう玲」
挨拶したのに無視された。だったら声をかけなければ良いし、近くに来なければ良いと思うのだけど。
「約束の日、賢吾10時に駅前で待ってるって連絡あったから」
「え? 俺断る……」
そう言ったのにまた視線を避けられてしまった。そんなギリギリのタイミングで教授が入って来る。そういうタイミングを狙われたんだろうか。
講義が終わったら話そうと思っていたのに、気づいたらもう席にはいなくて。2限には出席もしていなかった。
「玲から賢吾に会う時間を聞いたんだ」
お昼休み、いつものカフェでお昼を取る。隼也は来たけど玲は来ない。
「行くのか?」
「うん、そうだね」
高校の同級生だ。一日くらい付き合っても良いと思う。玲のやり方は気に入らないけど、賢吾は単に遊びに来たいだけだと思うから。でも隼也は不機嫌さを隠さない。
「俺、その頃に手伝いに行くって知ってるだろ? 俺、そばにいねえよ? アイツが碧に興味あったの本当のことだってわかってる? それでも二人で会うの?」
「……それは、その時の話の流れでノリか面白がっていただけだろ? 賢吾が俺? ありえないよ」
耳横の髪を一房摘まれて、くるんと指に絡めてから離れて行く。
「俺は本気だったよ」
悲しげに目を見られている。その視線に胸が軋んだ。
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