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双子島
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ナギはこの世界に生まれた人で、転生者でも転移者でもない。ただ師匠という人が未来から来た人だった。
「私の師匠はきっとカレンさんのいた次元よりも、もっと未来から来ていたのだと思います。師匠は特殊な能力の持ち主で、元の世界と体のある世界とを繋ぐことが出来ていました。繋いだ時空から様々な物をこの世界に持ち込み、研究をし、竜人を創りました。師匠も私と同じ、竜が好きという動機で竜を救う道を探していたのです」
ナギのする話はカレンにとってとても魅力的だった。ナギの師匠はカレンよりも未来からやって来た。ということは、竜の渓谷の未来も知っていたのかもしれない。
「師匠のいた世界に竜はいませんでした。竜は伝説の生き物で、物語の中で語られるだけでした。ですが別次元に竜が生息していることを突き止め、さらにその竜さえも絶滅を迎えることを知ったそうです。それがこの時空の竜の未来です」
「竜は絶滅しない。俺は竜がたくさん生きている姿を見たし、実際に会っていた」
カレンは苦しそうに顔をゆがめ、ナギに訴え掛ける。竜の絶滅はシアの死を意味する。
カレンの言葉を聞き、ナギは頬を緩めた。
「はい、カレンさんと出会えて、竜の未来を信じられるようになりました。竜を絶滅の未来になど導きたくはありません」
「当然だ。竜は絶滅なんてしない。その為にこの卵が必要だというのなら、俺がここに来た意味がある。この子はたぶん白銀の竜だ」
「白銀の竜?」
カレンの言葉を聞いたナギは驚きで目を見張り、ドアの脇に背を預けて立っているアイに視線をやった。アイの立ち位置はカレンの後ろだ。カレンとミコトはアイを振り返り、その表情を見た。表情こそ変わりはないが、瞳の奥に動揺が見えた。ナギが疑うようにカレンを見る。
「白銀の竜は神様なんだよな? シロに聞いた」
ミコトが言う。
「そうだ、我ら種族の中にあってはならない色だ」
低くて意志の強い声がカレンとミコトの後ろから聞こえる。アイの声だ。声の中に怒りが含まれている。彼らにとって白銀の竜は神。口にするのも不敬だと思っているようだ。
「でも生まれるんだ」
カレンが静かな声で言う。手はお腹をさすり、命を尊いと思う表情だ。
「生まれねえと未来が続かない」
ミコトはアイを振り返って見る。ミコトと一緒にカレンもアイを見た。
アイの怒りを抑えている表情を見て、カレンはアイをじっと見据える。
「どうする? 神の子が生まれる。俺はこの子を産むことはできても、育てることはできない。それにこの子には護衛の竜人がいるんだ。必ず黒竜。それって君の子ってことじゃないかな」
「えーでも黒竜だったらアイさんで良いんじゃねえの? アイさんも黒竜だろ?」
ミコトが首を傾げている。それを受けて、カレンがうんと頷いた。
「でもさ、ミコト、次世代の白銀の竜の誕生の時にも黒竜がいなければならないんだよ。生殖能力がないと諦めている竜人では役割として完璧じゃないだろ?」
「ああ、そうか、俺の会っていた黒竜がいなくなる」
ミコトはとても納得した。納得したミコトを見て、カレンも頷く。
「ナギさん、竜人に生殖能力がないと聞きましたが、それはどの程度のことかわかりますか?」
カレンは現実的だ。すでに卵を守る者としてある。卵の未来がシアと繋がっているかもしれない。カレンの望みはもう一度シアに会うことではなく、シアを確実に未来に誕生させることへと移っていた。
「私の師匠はきっとカレンさんのいた次元よりも、もっと未来から来ていたのだと思います。師匠は特殊な能力の持ち主で、元の世界と体のある世界とを繋ぐことが出来ていました。繋いだ時空から様々な物をこの世界に持ち込み、研究をし、竜人を創りました。師匠も私と同じ、竜が好きという動機で竜を救う道を探していたのです」
ナギのする話はカレンにとってとても魅力的だった。ナギの師匠はカレンよりも未来からやって来た。ということは、竜の渓谷の未来も知っていたのかもしれない。
「師匠のいた世界に竜はいませんでした。竜は伝説の生き物で、物語の中で語られるだけでした。ですが別次元に竜が生息していることを突き止め、さらにその竜さえも絶滅を迎えることを知ったそうです。それがこの時空の竜の未来です」
「竜は絶滅しない。俺は竜がたくさん生きている姿を見たし、実際に会っていた」
カレンは苦しそうに顔をゆがめ、ナギに訴え掛ける。竜の絶滅はシアの死を意味する。
カレンの言葉を聞き、ナギは頬を緩めた。
「はい、カレンさんと出会えて、竜の未来を信じられるようになりました。竜を絶滅の未来になど導きたくはありません」
「当然だ。竜は絶滅なんてしない。その為にこの卵が必要だというのなら、俺がここに来た意味がある。この子はたぶん白銀の竜だ」
「白銀の竜?」
カレンの言葉を聞いたナギは驚きで目を見張り、ドアの脇に背を預けて立っているアイに視線をやった。アイの立ち位置はカレンの後ろだ。カレンとミコトはアイを振り返り、その表情を見た。表情こそ変わりはないが、瞳の奥に動揺が見えた。ナギが疑うようにカレンを見る。
「白銀の竜は神様なんだよな? シロに聞いた」
ミコトが言う。
「そうだ、我ら種族の中にあってはならない色だ」
低くて意志の強い声がカレンとミコトの後ろから聞こえる。アイの声だ。声の中に怒りが含まれている。彼らにとって白銀の竜は神。口にするのも不敬だと思っているようだ。
「でも生まれるんだ」
カレンが静かな声で言う。手はお腹をさすり、命を尊いと思う表情だ。
「生まれねえと未来が続かない」
ミコトはアイを振り返って見る。ミコトと一緒にカレンもアイを見た。
アイの怒りを抑えている表情を見て、カレンはアイをじっと見据える。
「どうする? 神の子が生まれる。俺はこの子を産むことはできても、育てることはできない。それにこの子には護衛の竜人がいるんだ。必ず黒竜。それって君の子ってことじゃないかな」
「えーでも黒竜だったらアイさんで良いんじゃねえの? アイさんも黒竜だろ?」
ミコトが首を傾げている。それを受けて、カレンがうんと頷いた。
「でもさ、ミコト、次世代の白銀の竜の誕生の時にも黒竜がいなければならないんだよ。生殖能力がないと諦めている竜人では役割として完璧じゃないだろ?」
「ああ、そうか、俺の会っていた黒竜がいなくなる」
ミコトはとても納得した。納得したミコトを見て、カレンも頷く。
「ナギさん、竜人に生殖能力がないと聞きましたが、それはどの程度のことかわかりますか?」
カレンは現実的だ。すでに卵を守る者としてある。卵の未来がシアと繋がっているかもしれない。カレンの望みはもう一度シアに会うことではなく、シアを確実に未来に誕生させることへと移っていた。
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