現実に獣人がいるって異世界転移して来たんだろ?だったら俺もいつか行ける?

サクラギ

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3章

14 出港2時間前

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 3日後、客船の離陸時間に合わせて乗客が戻って来ている。
 船底の個室にいる志津木にも、船上の慌ただしさは伝わっていて、する事もないのにソワソワしている。
 足元で機械の震えが伝わる。見ればタブレットが布団の下に差し入れてあった。シェンエンの仕業かと思いながら画面を見る。

「おまえ良いのかよ」

 通話を押して第一声。シェンエンからだ。スピーカーにして答える。

「なにが? 勝手に置いて行くなよ、関係ないって言っただろ?」

「どうすんだって」

 イラついた声が聞こえている。

「だから何が」

「おまえのペットだよ、監禁されてんの知らねえの?」

「はあ?」

 思わず大きな声が出た。ベッドに横になっていた姿勢から飛び起きる。意味も分からないまま、服装を整えて靴を履く。

「はあ? じゃねえよ、おまえ迎えに行ってやんねえの? 別に良いなら良いんだけどよ」

 タブレットを持ち、船上への階段を駆け上がる。

「場所は?」

 そう言うとシェンエンがシシシと笑う。

「なんだ、行くんじゃん。最初のホテルの最上階、籠の鳥になってる。じゃーね、がんばって~」

 もっと早く言えよと思いながら、捨てたのは自分の方だと悔やむ。悔やみながら、ニアが来ないのは監禁されていたせいかと喜んでいる。なんだ、本当は来たかったんだろ? だから監禁されたんだろ? と都合よく思考が回る。

「ニア迎えに行って来る」

 甲板にいたクリスに告げて船を降りる。

「出港は2時間後だ、遅れても待てないからな!」

 大声で叫ばれて、手を振った。
 現金な話だ。ふて寝していた日々が嘘のようにスッキリしている。ニアに慕われる事が喜びになっていると自覚する。
 船客をピストンで送り迎えをしている船に乗せてもらい、港へ向かう。
 港で車を奪い、逃走する。こういうのは慣れすぎていて罪悪感もない。むしろ嬉々としてやっている自分を遠くから俯瞰して楽しんでいる。
 検問も突破してやる。他人の車だ。獣人国に義理もない。車で門を突き破って玄関に横付けし、溢れ出る兵を倒しながらホテル内に潜入してエレベーターに乗る。途中で電源を落とされたらおしまいだが、天井の点検用の蓋は確認してある。変な映像に誤魔化されてしまう造りだったが、監視カメラも確認済みだ。
 かなりの速度で屋上へ上がっている。止まらないと言うことは、向こうも志津木の潜入を想定済みという事だ。むしろ待っていたのだろう。志津木がいればニアが惑う。ニアが自分からここにいると決めていれば、監禁する理由はないのだから。
 エレベーターが開く。
 バトラーが恭しく礼をする。

「お待ち致しておりました。志津木夜雨さま」

 フルネームを呼ぶ意味はあるのか? 志津木は階に進みながら、警戒を強めた。
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