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12 素なのか接待なのか
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寝室というものは本当にプライベートな場所で、他人を入れるのにも躊躇するのに、寝具を使わせるなんてありえないと思うのだけど。
自分の布団でもこんなに清々しく目覚めた事はない。ハルのベッドはミントの香りがする。それも濃い嫌な匂いではなくて、本当に爽やかで淡いブルーのイメージが湧くくらい。肌触りも良い。柔らかくてすべすべしていて、それでいて絡まって来なくてストレスもない。高級なのかなとか、手入れが行き届いているのかなとか考えながら身を起こす。っていうか他人のベッドで熟睡してしまった。それに身が軽いというか、調子がいいと言うか。そうしてその原因に思い至って、げんなりする。
「起きた?」
ドアが開いてハルが入って来て、当たり前みたいに頬にキスされて。こんなボサボサ頭で涎が張り付いてないか? っていう寝起きの汚い頬にキスするとか。ハルって見た目も爽やかだけど、行動も爽やかというか。少女漫画の主人公っぽい。
「シャワーする? 朝ごはん出来てるよ。今日は休みだよね?」
あー土曜日か。マジで泊まったな。ヤる事ヤってスッキリしました。ありがとうございますって言うべき?
「……顔、洗う、から服貸して」
っていうか裸だし。パンツも履かずに直で寝てたんだけど。良いの? ハルは嫌じゃないの?
「ベッド、ごめん、俺、裸で」
「俺も一緒だったよ? 覚えてない?」
覚えてない。セミダブルのベッドだから狭くはないけど、ハルには悪い事をした。新品の下着とハルの服を借りる。たぶん俺が寝てる間にコンビニで買ってくれたんだと思う。分からない。こういうのって普通のこと? ハルが甲斐甲斐しいだけ? ハルが部屋から出て行ってから借りた服を着て部屋を出たら、ハルはベッドのシーツを剥がして洗濯し始める。それを見ながら顔を洗って、新品の歯ブラシ貰って歯を磨いて、タオルも借りて。何だろうな? 人の家がこんなに居心地が良いとか。いっぱい面倒を掛けているのに、のんびりいられるのは、ハルが楽しそうに行き来しているからだろうな。
「ありがとう」
拭き終わったタオルを手渡すと、にっこり笑って、チュッてキスされた。
「ミント味のキス」
って笑って去って行った。
カアッて顔が熱くなる。アイツ、歯磨き終わるのを狙ってキスしにきたのか? そりゃあ、匂いに敏感だからさ、キスの匂いとか味とか、それだけで気分悪くなったりするかもだけど。俺が言う前に行動に移してるの、何だろう? 楽しまれているというか、面白がられているというか。実験されてる? そう思うのに、悪い気はしない自分もどうなのか。
「朝ごはんいつも食べてる? わからないから、俺のいつもの感じにしたよ」
「いつものって」
キッチンに行くとカウンター席に朝食が用意されていた。おにぎりとお味噌汁。サラダとオムレツとソーセージがプレートに乗っている。
「兄にお土産って明太子貰ったから、明太子大丈夫?」
「……好きだけど」
「良かった、食べよう?」
っていうか、出費が多くて食費削ってて、まともな食事なんていつぶりだろう? 外食以外で食べるのなんて惣菜パンかカップ麺ばかりだった。嬉しい。でも怖い。ハルは俺を甘やかしてどうしたいの? 出会ってまだ二日目だよ?
自分の布団でもこんなに清々しく目覚めた事はない。ハルのベッドはミントの香りがする。それも濃い嫌な匂いではなくて、本当に爽やかで淡いブルーのイメージが湧くくらい。肌触りも良い。柔らかくてすべすべしていて、それでいて絡まって来なくてストレスもない。高級なのかなとか、手入れが行き届いているのかなとか考えながら身を起こす。っていうか他人のベッドで熟睡してしまった。それに身が軽いというか、調子がいいと言うか。そうしてその原因に思い至って、げんなりする。
「起きた?」
ドアが開いてハルが入って来て、当たり前みたいに頬にキスされて。こんなボサボサ頭で涎が張り付いてないか? っていう寝起きの汚い頬にキスするとか。ハルって見た目も爽やかだけど、行動も爽やかというか。少女漫画の主人公っぽい。
「シャワーする? 朝ごはん出来てるよ。今日は休みだよね?」
あー土曜日か。マジで泊まったな。ヤる事ヤってスッキリしました。ありがとうございますって言うべき?
「……顔、洗う、から服貸して」
っていうか裸だし。パンツも履かずに直で寝てたんだけど。良いの? ハルは嫌じゃないの?
「ベッド、ごめん、俺、裸で」
「俺も一緒だったよ? 覚えてない?」
覚えてない。セミダブルのベッドだから狭くはないけど、ハルには悪い事をした。新品の下着とハルの服を借りる。たぶん俺が寝てる間にコンビニで買ってくれたんだと思う。分からない。こういうのって普通のこと? ハルが甲斐甲斐しいだけ? ハルが部屋から出て行ってから借りた服を着て部屋を出たら、ハルはベッドのシーツを剥がして洗濯し始める。それを見ながら顔を洗って、新品の歯ブラシ貰って歯を磨いて、タオルも借りて。何だろうな? 人の家がこんなに居心地が良いとか。いっぱい面倒を掛けているのに、のんびりいられるのは、ハルが楽しそうに行き来しているからだろうな。
「ありがとう」
拭き終わったタオルを手渡すと、にっこり笑って、チュッてキスされた。
「ミント味のキス」
って笑って去って行った。
カアッて顔が熱くなる。アイツ、歯磨き終わるのを狙ってキスしにきたのか? そりゃあ、匂いに敏感だからさ、キスの匂いとか味とか、それだけで気分悪くなったりするかもだけど。俺が言う前に行動に移してるの、何だろう? 楽しまれているというか、面白がられているというか。実験されてる? そう思うのに、悪い気はしない自分もどうなのか。
「朝ごはんいつも食べてる? わからないから、俺のいつもの感じにしたよ」
「いつものって」
キッチンに行くとカウンター席に朝食が用意されていた。おにぎりとお味噌汁。サラダとオムレツとソーセージがプレートに乗っている。
「兄にお土産って明太子貰ったから、明太子大丈夫?」
「……好きだけど」
「良かった、食べよう?」
っていうか、出費が多くて食費削ってて、まともな食事なんていつぶりだろう? 外食以外で食べるのなんて惣菜パンかカップ麺ばかりだった。嬉しい。でも怖い。ハルは俺を甘やかしてどうしたいの? 出会ってまだ二日目だよ?
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