29 / 39
29 ハルって本名なに?
しおりを挟む
過去のトラウマはきっちりデリートされた。こんな結果が生まれるとは思っていなくて、ただ普通に男としての機能に満足行く結果が望めればと思っただけだったのに。
「すげえ良かった」
面倒なのはお互いにドロドロになるから、シーツを取り替えるのとシャワーを浴びる事だけど、事後の満足度は計り知れなくて、綺麗に整えられたベッドで思わず声に出していた。
「良かった」
クスッと笑われて、しまった声に出してたと慌てるけど、本心だから仕方がない。ちょっと尻が心配だけど、とりあえず切れてはないし、開いてたのも閉じている。
「気分も悪くならなかったよね?」
「なってない。ハルだから大丈夫だよ」
性的な匂いも雰囲気も気にならないくらいにハルに夢中だった。
「良かった」
「っていうか、気を使いすぎ。付き合うんだろ? ハルにも気楽にして欲しい」
ムッとして言えば、ハルはまた笑った。
「ユウキは気楽?」
「すげえリラックスしてる。ハルの部屋いい匂いするし、ベッドのミントの匂いも好き」
枕に振りかけてあるのかな。程よいミントの香りがする。
「良質な睡眠を促すフレグランスっていうのを兄の彼女に貰ったんだよ。効果ある?」
また兄の彼女か、と思う。あまりに良く言うから気分が悪くなる。付き合った早々に嫉妬かと自分が嫌になる。
「なんだ、ハルのおかげじゃなく、匂いのおかげだったのか。勘違いした」
ぷいっとそっぽを向いて布団を深くかぶる。嫉妬とか、面倒な感情だ。ハルの好意が彼女に向いているわけでもないのに。
「匂いのする俺のおかげでしょ? ユウキ?」
背中に触れられて、ツツッと指先が下に降りる。ビクッと背を震わせて、振り返っていたずらなハルの手を止めた。
「俺、ハルが誰かを良く言うのが嫌みたい」
顔が見れなくて視線を避けているのに、ハルに顔を上げさせられた。
「兄の彼女だよ? 義理の姉になるのに?」
うんって頷く。我ながら面倒くさすぎる。この前までイケない、匂いが吐きそうとか言って困らせていたのに、それが解消した途端に今度は嫉妬とか。
「だったらユウキも家族になれば良いよ。今度、兄と彼女と一緒にごはん食べに行こう。名前はね、兄が一慶で彼女が朱音さん」
すごく嬉しそうに話しているけど。
「っていうかハル、俺、ハルの本名知らずにお兄さんの知るの?」
「そうか、そうだったね」
ベッドに寝ていたのに、ハルは起き上がって正座をするから、俺も起き上がって正座をする。ベッドの上で向き合って何をしているのか。手を握られて、見つめられて、変な感じ。
「塚崎晴臣です。晴れる家臣のおみって書きます。N大5年、22歳、歯学科は6年まであるし卒業後1年の研修があるから、社会に出るのはユウキと同じかな」
「樋口優希、2年20歳」
手を繋いで自己紹介とか。恥ずかし過ぎる。手を離して布団に入って、ハルに背を向けたら近づいて来て腹に手を回された。
「2年で20歳って、もしかして誕生日過ぎたばかり?」
「初めてLillyに行った日だったけど?」
思い出した。誰にもおめでとうを言われない誕生日。
「おめでとうユウキ、来年はケーキ食べてお祝いしようね。プレゼント何が良い? 楽しみだ」
「ハルは?」
祝われない俺の誕生日が報われた気がする。同時にハルの誕生日が気になった。だってハルだし、春なんじゃ? あーでも晴臣だから関係ない?
「そういえば来月だな。兄たちが食事に連れて行ってくれるから、ユウキも一緒に行って、夜は二人で過ごそう?」
「……考えておく」
って、嬉しいくせに。嬉しいのを隠すように話題を変えた。
「同い年じゃないのは何となく分かってたけど、ハルって普通なら社会人だよな」
「うん、そうだけど、気にする?」
「別に、良いけど」
歯学科ってもっと詰めて講義を受けていて、実習とか多くて忙しい印象だったけど、ハルは自由すぎる気がする。
「晴臣って呼ぶ?」
「呼ばない。そんなの他のやつらといる時に呼んだら、なんで? ってなるだろ」
「そっか、今日、楽しかったよね。俺、普段も普通にみんなで遊べる彼氏が欲しかったから、嬉しくて」
「俺はハルと付き合ったって言うと思うよ? そのうち、タイミング見計らってだけど」
そう言うとハルの手がビクッと揺れる。あれ? ハルってそういうの気にするんだ? 俺は割と言ってスッキリしたいけど。実家と離れているし、一人暮らしだし、今の友人は俺がゲイだって言っても、やっぱりで終わらせてくれそうだし。
「俺はどうかな。今の友人はいずれ歯科医になるヤツばかりだから、言わずに済めば良いなと思ってるよ。でも兄たちには言いたいと思ってる」
「俺と逆だ」
振り返ってハルを見る。
「ごめん」
ハルが謝って来るから、少し笑えた。
「なんで? 俺は親には言えないし、お互い様だろ? 分かった、俺も言わないし、バレないように気をつける」
「良いの?」
「とりあえず良いよ。不都合があったら話し合えば良い、違う?」
そう言ったらハルがホッとしたように息を吐いた。
「ありがとうユウキ」
「うん」
引き寄せられるままにキスをして、見つめ合って笑い合う。ハルが電気を消した。薄暗い中でハルを見る。寝れるかな? そう思っていると、またハルにキスされた。
「すげえ良かった」
面倒なのはお互いにドロドロになるから、シーツを取り替えるのとシャワーを浴びる事だけど、事後の満足度は計り知れなくて、綺麗に整えられたベッドで思わず声に出していた。
「良かった」
クスッと笑われて、しまった声に出してたと慌てるけど、本心だから仕方がない。ちょっと尻が心配だけど、とりあえず切れてはないし、開いてたのも閉じている。
「気分も悪くならなかったよね?」
「なってない。ハルだから大丈夫だよ」
性的な匂いも雰囲気も気にならないくらいにハルに夢中だった。
「良かった」
「っていうか、気を使いすぎ。付き合うんだろ? ハルにも気楽にして欲しい」
ムッとして言えば、ハルはまた笑った。
「ユウキは気楽?」
「すげえリラックスしてる。ハルの部屋いい匂いするし、ベッドのミントの匂いも好き」
枕に振りかけてあるのかな。程よいミントの香りがする。
「良質な睡眠を促すフレグランスっていうのを兄の彼女に貰ったんだよ。効果ある?」
また兄の彼女か、と思う。あまりに良く言うから気分が悪くなる。付き合った早々に嫉妬かと自分が嫌になる。
「なんだ、ハルのおかげじゃなく、匂いのおかげだったのか。勘違いした」
ぷいっとそっぽを向いて布団を深くかぶる。嫉妬とか、面倒な感情だ。ハルの好意が彼女に向いているわけでもないのに。
「匂いのする俺のおかげでしょ? ユウキ?」
背中に触れられて、ツツッと指先が下に降りる。ビクッと背を震わせて、振り返っていたずらなハルの手を止めた。
「俺、ハルが誰かを良く言うのが嫌みたい」
顔が見れなくて視線を避けているのに、ハルに顔を上げさせられた。
「兄の彼女だよ? 義理の姉になるのに?」
うんって頷く。我ながら面倒くさすぎる。この前までイケない、匂いが吐きそうとか言って困らせていたのに、それが解消した途端に今度は嫉妬とか。
「だったらユウキも家族になれば良いよ。今度、兄と彼女と一緒にごはん食べに行こう。名前はね、兄が一慶で彼女が朱音さん」
すごく嬉しそうに話しているけど。
「っていうかハル、俺、ハルの本名知らずにお兄さんの知るの?」
「そうか、そうだったね」
ベッドに寝ていたのに、ハルは起き上がって正座をするから、俺も起き上がって正座をする。ベッドの上で向き合って何をしているのか。手を握られて、見つめられて、変な感じ。
「塚崎晴臣です。晴れる家臣のおみって書きます。N大5年、22歳、歯学科は6年まであるし卒業後1年の研修があるから、社会に出るのはユウキと同じかな」
「樋口優希、2年20歳」
手を繋いで自己紹介とか。恥ずかし過ぎる。手を離して布団に入って、ハルに背を向けたら近づいて来て腹に手を回された。
「2年で20歳って、もしかして誕生日過ぎたばかり?」
「初めてLillyに行った日だったけど?」
思い出した。誰にもおめでとうを言われない誕生日。
「おめでとうユウキ、来年はケーキ食べてお祝いしようね。プレゼント何が良い? 楽しみだ」
「ハルは?」
祝われない俺の誕生日が報われた気がする。同時にハルの誕生日が気になった。だってハルだし、春なんじゃ? あーでも晴臣だから関係ない?
「そういえば来月だな。兄たちが食事に連れて行ってくれるから、ユウキも一緒に行って、夜は二人で過ごそう?」
「……考えておく」
って、嬉しいくせに。嬉しいのを隠すように話題を変えた。
「同い年じゃないのは何となく分かってたけど、ハルって普通なら社会人だよな」
「うん、そうだけど、気にする?」
「別に、良いけど」
歯学科ってもっと詰めて講義を受けていて、実習とか多くて忙しい印象だったけど、ハルは自由すぎる気がする。
「晴臣って呼ぶ?」
「呼ばない。そんなの他のやつらといる時に呼んだら、なんで? ってなるだろ」
「そっか、今日、楽しかったよね。俺、普段も普通にみんなで遊べる彼氏が欲しかったから、嬉しくて」
「俺はハルと付き合ったって言うと思うよ? そのうち、タイミング見計らってだけど」
そう言うとハルの手がビクッと揺れる。あれ? ハルってそういうの気にするんだ? 俺は割と言ってスッキリしたいけど。実家と離れているし、一人暮らしだし、今の友人は俺がゲイだって言っても、やっぱりで終わらせてくれそうだし。
「俺はどうかな。今の友人はいずれ歯科医になるヤツばかりだから、言わずに済めば良いなと思ってるよ。でも兄たちには言いたいと思ってる」
「俺と逆だ」
振り返ってハルを見る。
「ごめん」
ハルが謝って来るから、少し笑えた。
「なんで? 俺は親には言えないし、お互い様だろ? 分かった、俺も言わないし、バレないように気をつける」
「良いの?」
「とりあえず良いよ。不都合があったら話し合えば良い、違う?」
そう言ったらハルがホッとしたように息を吐いた。
「ありがとうユウキ」
「うん」
引き寄せられるままにキスをして、見つめ合って笑い合う。ハルが電気を消した。薄暗い中でハルを見る。寝れるかな? そう思っていると、またハルにキスされた。
0
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる