性癖って性格と同じだけ異なると思うんだけど俺に合う相手っている?

サクラギ

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番外編 以前のハル 3

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 店の奥にある階段を上り、暗い廊下を奥へ進む。知らなかった。廊下の壁に背を預けた男に覆い被さってキスや愛撫をしている人影がいくつも見える。店が空いていた訳じゃない。奥に秘密の場所があって、そこで秘密の行為をする男がたくさんいる。ハルは迷わず一番奥のドアの鍵を開け、アルミドアを開けて俺を先に入れ、素早くドアを閉め、鍵を掛けた。腕は掴まれたままだ。暗い部屋の奥の間接照明だけが薄赤い光を鈍く光らせていて、ダブルサイズくらいある分厚いマットレスと、避妊具や大人のおもちゃが並べてある棚を浮かび上がらせている。

「ハル、ごめ——」

 謝らせてもくれない。深くキスされて、腕を引かれて、奥へ連れて行かれる。たった3歩の距離をキスしながら、抵抗しながら、連れて行かれて、マットレスに押し倒される。胸の上にハルが乗り、体重を掛けられながら、両手を頭の上で押さえられる。用意周到だ。いったい何度この行動をして来たのか。慣れ過ぎたハルの動きに怯えながら、抵抗なんて出来る隙もなく、昂った感情が涙になって溢れる。

「ハル、ハル、やだ、も、許し——」

 深く唇を合わせ、大きく開かされた口内をハルの舌が乱暴に動く。喉の奥まで舐められて、げえっと嘔吐の音が出る。過去のトラウマが脳裏に浮かぶ。ヤリ部屋に染みた雄の匂いと古いヤニの匂いと、甘いジェルの匂いが混じり合って香り、気分が悪くなる。体を返されて、ベルトを外され、下着ごとボトムを下げられる。

「やだッ、やめ、ハル、ハル——」

 両手首にピンクのふわふわが付いた手錠があった。両手で顔を覆って、少しでも匂いから逃れたくて、ハルの手が前に回って、性器に触れて、止まった。首筋にハルの息がかかる。興奮した息遣いなのかと怯えたが、首が濡れて、ハルが泣いているのだと知った。

「ハル」

 体を返して、両手を上げる。ハルの顔が首筋に降りて来る。ヒクヒクと鳴るハルの喉を感じながら、無理矢理されるという危機感から力を抜いた。手錠は簡単にす抜けた。おもちゃの手錠だ。冷静になれば外せた。ハルの背中に手を回して、抱きしめる。

「ユウキのこと、傷つけたくない。二度とするなよ」

「うん、ごめん」

 ハルの匂いを吸う。嫌な匂いを消したくて、犬みたいに嗅いでいたら、ハルがクックッて笑い出した。

「なに? 吐くよりマシだろ?」

 顔を上げたハルは泣いた情けない顔で笑っている。

「泣かせてごめん」

 指で涙を拭われ、軽いキスをくれた。

「帰ろう?」

 腕を引かれて、上半身を起こされる。抱き合って、もう少しハルの匂いを補充する。

「帰るの?」

 いたずら感覚で言ってみたんだけど。

「する?」

 って返されて、ズボン引き下ろされてて、下半身が丸出しだっていうのに気づいた。気づいた時には遅くて、ハルに咥えられる。

「うわっ、あ、んんッ——……」

 両手で口元を覆って性急に駆け上がる快楽に耐えた。
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