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番外編 Lillyでの実証 1
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※ハル視点
◇◇◇
ユウキがあまりに自分を下に見ているから、そんな事はないという実証の為にLillyに来た。付き合って2年目の終わりの春、俺が本格的に忙しくなる前に、ユウキはモテるんだから、絶対に一人で飲みに行くなという俺の心配を本気で守って欲しくて、Lilly内で別行動をしている。
「久しぶり、ハル、なに? 別れた?」
「別れてない」
カウンターに座ってマスターと話しながら、背中でユウキの事を気にかけている。話しかけて来たのはリュウ。同い年のタチ、俺が一夜限りの付き合いをしていた頃から付き合いのあるヤツだ。
「どれ?」
「奥の壁際のシュプリームのパーカーの子」
つい以前のクセが出て、物のように扱う言葉を使ってしまう。リュウとはこうやって交流して来た。
「慣れてなそうで可愛いな」
「だろ? あれでモテないって言うから実験で連れてきた。ナンパしても良いよ。手ー出すのはNGだけど」
ユウキは付き合って2年も経つのにスレていない。そういう時には乱れて見せるのに、普段は本当に普通だ。大学の友達と遊びに行っても、ゲイから見てもゲイに見えない。最近は女の子と遊ぶのも平気になって来て、そっちも心配ではある。
「マジで? 名前は?」
「ユウキ」
「後で怒るなよ」
リュウが意気込んで向かって行く。すでにユウキの隣には男がいる。もう長く通っていないから、店の客層がわからない。マスターが管理しているから、本格的にヤバいヤツはいないと信じているが、知らないヤツよりは知っているリュウが側にいた方がマシだ。
「いいの?」
マスターが心配そうにしている。ユウキはこういう店に慣れていない。この店に来たのは、俺に会う前に一度、俺が声を掛けた日、一緒に来て二階を使った日、そして今日の4回だけだ。
「モテてくれないと危機感持てないからね」
一緒にいる時は良い。この店なら許容範囲だ。別のゲイバーに行かれたら困る。嫉妬で狂って研修に集中できない。
「付き合って2年? そろそろ浮気の心配な感じ?」
可愛いアニマル服を卒業し、ユニセックスな感じにチェンジしたナナがチャチャを入れる。
「浮気はしないと思うけど、知らない間に連れ去られる心配はある」
「あー簡単に騙されそうだもんね」
「うるせえよ」
俺がナナの髪をぐちゃぐちゃに撫でると、別の店員が集まって来る。可愛い系の子は女と同じ扱いをして来たから、ナナを撫でた事で期待したんだろう。本当に俺、落ち着いたんだなと思う。なんで以前はあんなに周りを威嚇していたのか。今になっては疑問でしか無い。
「ユウキちゃんはどう? 一緒に住んでいるのよね?」
「どうって普通?」
普通の男女の付き合いと変わらない。特に突出した事もない。小さな喧嘩はしょっちゅうするけど、話し合うが二人の決め事だ。
「ハルってずーっと言ってたよね? 普通が良いって」
「普通、良いだろ? 外では友達で二人ん時は恋人ってすげえ理想だった」
そう言うとマスターが笑う。マスターことカレン、本名、吉岡蓮は兄の同級生で幼馴染だ。幼馴染だから俺も小さい頃から面識がある。と言っても歳が10個離れているから、学校はカブっていない。だからこそよりいろいろ知られてもいる。
「ハルは身近な子を好きになってフラれるの繰り返しだったからぁ」
「うるさいよ」
友達を好きになる俺は、友達に彼女が出来て距離が空き、友達でも無くなる、を繰り返して来た。身近にゲイのカレンがいたが、それ以外に見た事がなく、見分け方もわからない。あれは中学2年の時、遊びに来ていたカレンにゲイの見分け方を聞いて、俺の性的思考を兄に知られた。まぁ理解のある兄だったから良かったが、今思い出しても迂闊すぎる。カレンは俺の地雷かもしれない。
◇◇◇
ユウキがあまりに自分を下に見ているから、そんな事はないという実証の為にLillyに来た。付き合って2年目の終わりの春、俺が本格的に忙しくなる前に、ユウキはモテるんだから、絶対に一人で飲みに行くなという俺の心配を本気で守って欲しくて、Lilly内で別行動をしている。
「久しぶり、ハル、なに? 別れた?」
「別れてない」
カウンターに座ってマスターと話しながら、背中でユウキの事を気にかけている。話しかけて来たのはリュウ。同い年のタチ、俺が一夜限りの付き合いをしていた頃から付き合いのあるヤツだ。
「どれ?」
「奥の壁際のシュプリームのパーカーの子」
つい以前のクセが出て、物のように扱う言葉を使ってしまう。リュウとはこうやって交流して来た。
「慣れてなそうで可愛いな」
「だろ? あれでモテないって言うから実験で連れてきた。ナンパしても良いよ。手ー出すのはNGだけど」
ユウキは付き合って2年も経つのにスレていない。そういう時には乱れて見せるのに、普段は本当に普通だ。大学の友達と遊びに行っても、ゲイから見てもゲイに見えない。最近は女の子と遊ぶのも平気になって来て、そっちも心配ではある。
「マジで? 名前は?」
「ユウキ」
「後で怒るなよ」
リュウが意気込んで向かって行く。すでにユウキの隣には男がいる。もう長く通っていないから、店の客層がわからない。マスターが管理しているから、本格的にヤバいヤツはいないと信じているが、知らないヤツよりは知っているリュウが側にいた方がマシだ。
「いいの?」
マスターが心配そうにしている。ユウキはこういう店に慣れていない。この店に来たのは、俺に会う前に一度、俺が声を掛けた日、一緒に来て二階を使った日、そして今日の4回だけだ。
「モテてくれないと危機感持てないからね」
一緒にいる時は良い。この店なら許容範囲だ。別のゲイバーに行かれたら困る。嫉妬で狂って研修に集中できない。
「付き合って2年? そろそろ浮気の心配な感じ?」
可愛いアニマル服を卒業し、ユニセックスな感じにチェンジしたナナがチャチャを入れる。
「浮気はしないと思うけど、知らない間に連れ去られる心配はある」
「あー簡単に騙されそうだもんね」
「うるせえよ」
俺がナナの髪をぐちゃぐちゃに撫でると、別の店員が集まって来る。可愛い系の子は女と同じ扱いをして来たから、ナナを撫でた事で期待したんだろう。本当に俺、落ち着いたんだなと思う。なんで以前はあんなに周りを威嚇していたのか。今になっては疑問でしか無い。
「ユウキちゃんはどう? 一緒に住んでいるのよね?」
「どうって普通?」
普通の男女の付き合いと変わらない。特に突出した事もない。小さな喧嘩はしょっちゅうするけど、話し合うが二人の決め事だ。
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「普通、良いだろ? 外では友達で二人ん時は恋人ってすげえ理想だった」
そう言うとマスターが笑う。マスターことカレン、本名、吉岡蓮は兄の同級生で幼馴染だ。幼馴染だから俺も小さい頃から面識がある。と言っても歳が10個離れているから、学校はカブっていない。だからこそよりいろいろ知られてもいる。
「ハルは身近な子を好きになってフラれるの繰り返しだったからぁ」
「うるさいよ」
友達を好きになる俺は、友達に彼女が出来て距離が空き、友達でも無くなる、を繰り返して来た。身近にゲイのカレンがいたが、それ以外に見た事がなく、見分け方もわからない。あれは中学2年の時、遊びに来ていたカレンにゲイの見分け方を聞いて、俺の性的思考を兄に知られた。まぁ理解のある兄だったから良かったが、今思い出しても迂闊すぎる。カレンは俺の地雷かもしれない。
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