ほう。今何でもするって言った?

佐土原いづる

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屋敷強襲

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「ここだな。ロリッ子のおばあさんが監禁されている屋敷は」

「ロリコです!」

カスタリアの建物の中でもかなり大きめだ。さすが役人の家だな

役人の名前はバルゴというらしい。サトルにとっては名前なんてどうでも良いことだった。

当たり前だが、門番が入り口を塞いでいる

陽が沈み、夜になったとはいえこれ以上警備が手薄になることは期待できなさそうだ

「ロリコ、ヌール草を」

「はい」

俺が代わりにヌール草を届けるという名目で中に侵入、おばあちゃんを助けて戻ってくるという誰でも思いつきそうな作戦だが、問題無いだろう。

「ここじゃ危険だ。ロリコは第4出口の近くで待っていてくれ」

「どうして?」

「正直な話、これ以上この街にとどまることはできないかもしれない。相手は役人、そして君たちの家は押さえられている。あとはわかるな?」

「・・・・そっかぁ」

ロリコがまた暗い顔をしてしまった。サトルはそれを見るととても悲しい気持ちになる

この子はこの短い時間でどれくらい辛い目にあったのだろう

おばあちゃんは捕らわれ、1人でビッグバアルの下へ行き、仮にヌール草が取れたとしてもそれは人々を苦しめるために使われる

ロリコはとてつもない絶望感を抱いていたはずだ

そして、、それは何という不条理・・・

"いろんな事を抜きにして、俺はこの子を助けたい"

サトルはこれ以上ないほどにやってやる気だった

「小さい娘に代わり、ヌール草を届けに来ました」

門番にそう言うと静かに入り口が開いた

屋敷までかなり距離がある

サトルは誰にも見られていない事を確認すると思い切りジャンプし、屋敷の上に立つ

「警備は全部で7人だな」  

サトルは目を見開き、屋敷の隅々まで状況を確認した

とはいえこの広さを7人でカバーするのはどう考えても無理。門番の様子も緊張感が感じられない。あまりこういう脅威には晒されないんだろう

そんな事を考えながら屋敷のドアを叩く

「こちらへどうぞ」

メイドらしき女性に案内され大きな部屋に入る

「小娘じゃないのか」

「ビッグバアルに襲われて大ケガを負っています。よくわかりませんが、僕が代わりに来ました」

「まぁいい」

バルゴは見るからに悪い政治家みたいな感じだった。

「ヌール草をいただこうか」

黙ってヌール草を渡す

「俺、何も聞かされていないんですけど、このヌール草でどんな薬ができるんですか?」

「”痛みを感じなくなる薬だ”」

「なっ!!」

思わず声が出た。

脳みそお花畑な考え方をすれば麻酔として使えなくもないが、どう考えても軍事利用するに決まっている

痛みを感じず特攻する兵士。なんて恐ろしい、、

「話せるのはここまでだ。」

ドアから剣や杖を持った男たちがぞろぞろと入ってきた

「もともと娘も用が済んだら処分するつもりだったが、運の良いやつだ」

「・・・おばあさんは無事なんだろうな?」

「当たり前だろう?でなければ薬が作れない。」

「それさえわかれば十分だ」

「もうすぐ死ぬというのにおかしな奴だ」

バルゴが薄い笑みをうかべている




「おいおい。誰が死ぬんだって?」

「何を言って、、なに!?」

バルゴの驚いた表情におもわずしたり顔になる

「すまないがお友達には静かになってもらったよ」

「な、いつの間に! さ、さっきまで」

それもそのはず、周りを一定時間スローモーションにすることで、バルゴがよそ見している間に子分たちは全員気絶させた。

「きさま、何者だ!」

「いや別に、ただの自由人だけど。俺はあんたに何の関係も無い人間だが、お前はちょっとやり過ぎだ、罪の無い人を苦しめ、金と地位で不条理を通してしまう。今までどんな酷い事をやってきたのかは知らないが、ここでその報いを受けるんだな」

どんどんバルゴが怯えた表情になっていく

「い、いや、待ってくれ! 命だけは助けてくれ! 何が欲しい? 何でもやるぞ! 金か?女か? 地位か? 私なら君を自由に暮らせるようにすることができる!」




「・・・・・・ほう?」

「なんだ!?」

「今何でもするって言った?」

「あぁ! 何でもしてやるぞ!」

「じゃあ全てを捨ててもらおうか」

「へ?」

「金、地位、今まで積み上げてきたものを全部捨てるんだ」

「そ、それは!」

「できないか?」

「・・・・うーーー、死ねぇ!!」

バルゴが服の中からナイフを取り出し、思い切り投げる


スっ!


いとも簡単にキャッチしてしまう


「交渉決裂だな」

「な、な、、」

バルゴは腰を抜かし、床に倒れこんでいる

「じゃあ、俺が捨てさせてやるよ」

バルゴの頭を掴む

「や、や、やめ!!」

「ふん!!!」



バルゴは白目をむいて倒れた

「お前の記憶を捨てさせもらった。1から人間をやり直せば、ちょっとはましになるんじゃないか」



程なくしておばあさんが監禁されている部屋を探し出した

「どなた?」

「ロリコの友人です。助けにきました。」

「はぁ! ありがとうございます!」

「ここを出る前に1つだけして欲しいことがあるんですが、いいですか?」

「何でしょう?」


『私、バルゴはここにある全財産、権利を放棄し、いち庶民として人生を全うすることをここに誓う。これに例外は無く、いかなる場合も返却されることはない』

「そして、ここにこいつの母音をっと」

倒れたバルゴの親指を即席の誓約書に押し付ける。文字をおばあさんに書いてもらい、インクには俺の血を使った。

「ありがとうございます、これでたぶんこの男の企みは潰えるでしょう」

「それは良かったです」

こんなんで本当に良かったのかはぶっちゃけわからないけど、弱い頭でがんばってみた。

「では行きましょう。第4出口の前でロリコが待ってます」
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