あの~、ちょっといいですか?

佐土原いづる

文字の大きさ
10 / 47
旅立ち

飲み屋にて

しおりを挟む
アーヤに連れられて?いや、引っ張られて飲み屋に入った。もちろん見向きもされない。アーヤが目の前の3人組のお客さんにまっすぐ向かっていく。ま、待ってくれ、そのお客さんめっちゃいかつくないか!?

「ま、待ってくれ!」よりにもよってそんな人に話しかけなくてもよくない?!!

そんな俺の声にはお構いなしのアーヤ。鬼畜!!

とうとう着いてしまった。さすがに自分のテーブルに知らない人間が立ち止まると気になるよね~。こわもての男がこっちを見た

「おう、なんか用かい?あんちゃん」

「あの~、ちょっといいですか?」

「言ってみな」

「実は僕らクルトから逃げて来たんです、何か知っていることありませんか?」

眼力が強すぎて目が離せなかった

「そうかい、それは災難だったなぁ。まぁ座れや。姉ちゃん!イス2つ!」
店員さんがイスを持ってきてくれた。アーヤと共に座る。

「嬢ちゃんも大変だったな」こわもてさんがアーヤに話しかけたが、アーヤは首をかしげる。

「この子、俺が助けたときは気絶してて、目が覚めたらその時の記憶が無くて。声も出なくなっちゃったんです。俺はたまたま外出してて助かったんですけど。」

こわもてさんが少し考え込んで悲しそうにつぶやいた

「そうだったのか。帝国もひでー事しやがる、あいつらはあんな事しといて国のためだとか言ってんだ。何があろうと、人が人を殺す道理なんてあるわけねぇだろうに。憎しみや怒りじゃなく、自分が正しいことをやってると思い込んで殺してるのが尚更たちが悪い」

この人めっちゃ良いこというやん・・・

「すいません、せっかく楽しんでいるとこ邪魔しちゃって」

「気にすんな。つれぇ事があった奴を無視してまでどんちゃんするつもりはねぇ。姉ちゃん!ビル2つ!」店員さんが飲み物を持ってきた。ってこれ、まんまビールだ!ついよだれが出そうになる。

うん?待てよ

「そういや、アーヤって酒飲めるのか?」とアーヤの方を見ると、ものすごく目を輝かせているー!
俺を見てうんうん頷いている。ちょっと首がざわついたが、まぁいっか。

「これは俺のおごりだ、ちょっとは気が紛れると良いな」

「ありがとうございます!」

5人で乾杯する。ビール飲むのはいつぶりだろう、『うまい!うますぎる!は、犯罪的だ!!』
彼の言う事がわかる日が来るとは!ほぼイッキしてしまった

「くーーーーーーー!!!たまらん!!」ビールは疲れれば疲れるほどうまくなるというが、全くその通りだ。人生で1番うまい!

俺が空のジョッキをテーブルに置くと、ほぼ同時にアーヤも置いてきた。まさかあの量を飲み干すなんて!他の3人も特に問題なさそうに飲み干す。この人ら何杯目だよ・・・

「アーヤ、そんなに飲んでだいじょう・・・」言いかけたが、大丈夫ではなかった

耳が真っ赤で目がとろんとしている。フラフラし始めた。

「言わんこっちゃない、ほらこっち」

とりあえず、俺の膝の上に頭を持ってきて寝させた。

「すいません、さっそくつぶれちゃいましたねー」

「ふん、かわいいじゃねぇか。」こわもてさんにはアーヤの酔い顔は好評だったようだ。

「ところで、みなさんは何をやってるんですか?」

「俺たちは狩人だ。旅をしながら街を襲う野獣を討伐して稼いでる。ここら辺はそこまで凶暴な野獣はいねぇから楽だったぜ。」

「なるほど!かっこいいですね!」

「へへ!そうだろう。ストレス発散にもなるしな!ガハハ!」

この人は自分も危険だいうことを忘れないか?まぁ、見るからに強そうだけど。とか思いつつ本題に入る。

「俺はこの子を医者に見せたいんです。どこか良い所を知りませんか?」

「うーん、そうだなぁ。リコーンなんてどうだ?確か有名な医者がいただろ。」

「ちょっと遠いが、帝国もまだあそこには手を出せないだろう。」仲間の1人が答える

「ていうわけだ。チスタの西門を出て、カスタを挟んでさらに行ったところだ。道なりに進めば問題ないだろう。」

「いろいろありがとうございました。リコーン、行ってみます!」

「おう、気をつけてな。道中の野獣は片づけておいたから大丈夫なはずだ。俺たちはクルトへ向かう」

「クルトに行くんですか?」

「あぁ、街が灰になってそのままってわけにはいかねぇだろ。片づけないと再興もできねぇ、何より人間の死体に野獣が集まってきちまう。」

「ホントにすごいですね、尊敬します。良かったら名前を教えてもらえませんか?俺はエンシです。」

「俺はオーノ、こいつがカズナ、そんでこっちがレオスだ。」

「オーノさん、カズナさん、レオスさん。本当にありがとうございました!またどこかで会いましょう!」アーヤをおんぶして彼らに別れを告げる。

「おう!あんちゃんらはあそこから生き残った強運の持ち主だ、強く生きてくれ。困ったことがあったら言いな、なるべく助けになるからよぉ!」

「はい!」

どうやら異世界でも、見た目は怖いが実はめっちゃ良い人ってことはあるらしい。

『俺をあそこに引っ張ってくれたアーヤに感謝だな』アーヤの寝顔に微笑みつつ、宿へと歩いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

《完結》悪役聖女

ヴァンドール
ファンタジー
聖女になり、王妃となるため十年間も教育を受けて来たのに蓋を開ければ妹が聖女の力を持っていて私はには聖女の力が無かった。そのため祖国を追放されて隣国へと旅立ったがそこで……

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

処理中です...