あの~、ちょっといいですか?

佐土原いづる

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リコーン編

悲しき選択

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「エンシ、傷口が開いてる。ちょっと脱いで」ジャスミンに言われた

今俺たちはリコーンを脱出したところだ。レーナさんが船を漕いでくれている。リコーン、カスタ間は帝国軍、リコーンからの脱出船で戦闘状態だった。中には泳いでいる人もいる。
落ち着くために一旦沖の方に進み、様子を見ている。

俺の傷口からは血が流れていた

「道具はあるのか?」

「必要最低限だけ持ってきているわ、知識があっても使えなきゃ意味ないでしょ」

「最高だぜ、ジャスミン」

「ありがと。でもこれから痛いのはあなたよ」まずジャスミンに渡された飲み薬を飲んだ

「ふぅ。今から大声出しまーす」

「しっかりな!」レーナさんに鼓舞される。アーヤは八の字眉でこっちを見ていた。

「心配するな、だいぶ慣れてきた」

「じゃあ行くわよ」ジャスミンが塗り薬を塗り始める

「きっっくーーー!!!」バチバチ痺れるが意識は飛ばない、拳を思い切り握る

ジャスミンに新しい包帯を巻いてもらって終了

「今度は耐えれたな!」

「こんなに早く治っていくなんて、普通はありえないわ。それもあなたの出生に秘密があるのかしら」

「わからない。向こうでもそんな事を思ったことはないな」

「何の話?」レーナさんが入ってくる

「隠しても仕方ないから言っちゃうけど、俺はこの世界の人間じゃないんだ。」

「へぇ、そんな風には見えないけどね」

「俺もびっくりしてるよ、こっちの世界の人とほとんど変わらないんだ」

「でも、、帝国軍の狙いは俺かもしれない」

「そうなの!?」レーナとジャスミンが同時に尋ねる

「いや、わからない。でも帝国軍はいきなり人を探すために街を襲い始めたんだろう? 俺がこの世界に来たことと関係が無いとは思えない。別に、俺に特別な力があるわけじゃないんだけどね。」

「確かに可能性は否定できないわね。でもこんなことをして何の意味があるというの・・・」ジャスミンが悲しそうに呟く

「災いをもたらす、かぁ。俺がこの世界に悪いことを引き起こすかもしれない、、」

気になっていたことだ。今の俺に世界を滅ぼす力があるとは到底思えないが、俺がこの世界に来た理由があるとすれば、避けては通れない道だ。

「もし、もし俺が、この世界を滅ぼすかもしれないのなら。どうする?」女性陣が黙り込む

「そうね・・・。あなたが本当に災いをもたらす者かどうかは置いといて、災いをもたらす者かもしれない人間が捕まれば、とりあえず帝国軍の虐殺行為を止めることはできる。」

「!!!!」

アーヤが血相を変えてジャスミンに掴みかかる、レーナがアーヤを止めに入る

「アーヤ!落ち着いて!」レーナが叫ぶ

「でもそうでしょう!? 実際、クルトとリコーンが襲われた!どっちにもエンシが居た!たくさんの人が死んだ!あなたの家族だってそうでしょう!?」ジャスミンも叫ぶ

「このままエンシが逃げ続ければ、更なる被害が出るかもしれない! エンシの話には説得力がある!エンシが災いをもたらす者だと言えば、これ以上罪の無い人が死ななくて済むわ!あなただってわかるでしょ、アーヤ!?」

アーヤがうなだれる。ジャスミンの言う事は間違ってはいない、むしろ正しい。

炎上するリコーンを眺める。いきなり警鐘が鳴って、いきなり現れた帝国兵に殺される。どれだけ理不尽な死に方だろう・・・

「レーナ、カスタに向かってくれ、、」

アーヤから大粒の涙がこぼれる

「死ぬかもしれないよ・・・あんたが災いをもたらす者か確証は無いのに、、」レーナが問う

「いや、いいんだ。災いをもたらす者かどうかわからない以上、すぐに殺されることはないだろう。だって、俺がそうじゃなかったらこの世界が危険に晒され続けるんだから。それに、少しでもこの惨状を止めることができるんだったら、やるべきだと思う。」

「そうかい・・・」

アーヤが俺に抱きついてきた。泣きじゃくっている

「アーヤ。今までありがとう、、助けられてばかりだったな!ばあちゃんが言ってたんだ、”物事には必ず理由がある”と。俺もこの世界に来た理由が知りたい」

アーヤが駄々をこねるように首を横に振る

「アーヤは優しいなぁ。正直、めちゃくちゃこえーよ。でもアーヤを何度も危険な目に合わせてしまった、これ以上怖い思いをさせたくないんだ、わかってくれ。」アーヤの頭を撫でる

レーナが船をカスタに向けて漕ぎ始めた
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