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それぞれの戦い編

アーヤの戦い、その3

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ここらに帝国兵の影は無い。おそらくエンシの処刑に向けて帝都に集められているんだわ

エンシの処刑は帝国への不信感を少しでもなくすために行われる、そのため帝都に反乱分子も入ってくる可能性があることは簡単に予想できるわ

「見えてきましたよ! クルトです!」

クルト。私の故郷、今は記憶が無いのだけれど、何か思い出せると良いな

でも、良くない記憶であることは間違いない、私に耐えられるかしら・・・

「ジャスミン。私、やっぱり怖い」

「そうね、無理もないわ。家は焼かれ、家族が殺される記憶だもの、、でも、あなたには向き合ってもらわなければならない。あなたは覚えてないでしょうけど、、」ジャスミンが意味深な事をいう

「何? 何のこと?」

「落ち着いて聞いて。別にアーヤが悪いわけではないの、あなたの心が無理やり激しい感情を隠しているからなの。 エンシの肩の傷、あれはアーヤがつけたものなの・・・」

え・・・

「でも、何も覚えてない! そんなこと、私が無意識にやったってこと!?」

「そう、エンシがあなたの前で一度、おばあさまの名前を言ったことがあるらしいの。すると、アーヤが豹変して暴れだしたって。それを抑えようとした時に、噛まれたって。」

「記憶が無いということは、何をしててもおかしくないと思った方が良いわ。エンシを噛んだことに、あなたの性格、エンシへの思いは全く入ってないのだから」

そんな、、私がエンシをあんなに苦しめたっていうの? 何度も気絶させて、何度も叫ばせて、今でも癒えない傷を、私が・・・

「アーヤ。自分を責めてはいけないわ、あなたはそれだけの被害をクルトで受けた。エンシも受け止めてくれたでしょう? あなたが何をしようと、エンシは絶対に見捨てたりしない。エンシのためにも、あなたはもう1度向き合う必要があるの、自分と。」余計なことを考えさせまいと、ジャスミンが話しかけてくる

確かにそうね、エンシを助けるためにならなんでもするつもり。今更後には引けない!

久しぶりの故郷。しかしかつての姿が想像できないくらい崩壊していた。もちろん、自分の家なんて覚えているはず、、、

ぐらっ

立ちくらみがする。一瞬何かが見えたような・・・

『頭が痛い!』

頭を押さえる。

「アーヤの心の中の感情が、現実のクルトを目の前にして少しずつ高ぶっているんだわ!」ジャスミンが叫ぶ

「アーヤ! 負けるのはまだ早いよ! さぁ、中に入ろう!」レーナも叫ぶ

頭を抱えながらもがくように歩く

ううぅ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あ! トンザおじいちゃん!

あ! ターシャおばあちゃん! 

街のみんなが倒れてる!

ヤン! 

いつも元気だった。まだ7つだというのに、、ひどい!

おばあちゃん!おばあちゃんは無事なの!?

燃え盛るクルトの中を必死で歩く、おばあちゃんの家に着いたよ!

頭の痛みなんて忘れた

おばあちゃん! 部屋の中を探すと・・・思い出した

『クサビ、、、おばあちゃん・・・』

目の前が真っ白になっていく
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