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救世主編

今度は俺が

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あ、あれ? ここはさっきまで歩いていた試練の祠の道かな?

周りを見渡すと、光が差していないのにいろんな物がはっきりと見える

「うっ!!!」

頭の中にいきなりイメージ映像が飛び込んでくる

帝都周辺が火の海になっているのがわかる。国王もなりふり構ってられないってか

オーノさんとハイウェルさん、そしてジャスミン、レーナが帝都の隣町カーレで必死に応戦しているのが見える。合流できたのか!!

「こうしてる場合じゃない!」

とにかく走って試練の祠を出る



「エンシ!!」

「アーヤ、みんな! 待たせた! どれくらいかかったんだ?」

「丸2日よ」リンネさんが答える

「ジャスミンたちが危ないんだ。急いで助けに行ってくる!!」

「大丈夫なの!?」

「あぁ、みんなのおかげでなんとかな!」

「はぁ! 良かった」

「リンネさんもありがとうございます。 アーヤ、クルトにみんなを連れてくるから準備しておいてくれ!」

「わ、わかったわ!」


「ミライ!!」

そう叫ぶと、純白の聖獣がすぐに姿を現す

「行くぞ! 場所はわかるな!」

ミライは静かに俺を見つめた後、背を向ける

ミライにまたがると、翼を広げ飛び立った

ミライはものすごいスピードで進んでいく、あっという間にカーレの上空に到着した

辺りは帝国兵や市民の死体転がり、炎がいたるところで立ち上っている

俺はジャスミンたちがこもっている建物の中に急行した

「みんな! 大丈夫か!」

「エンシ! 来てくれたのね!」

「おかげさまで! ハイウェルさんもご無事でなによりです!」

「エンシ殿! 信じておったぞ!」

残った帝国兵がこっちを見る

「こんな事やって何の意味があるんだ、、」

手を前にかざし、力を込める。帝国兵を気絶させ、その場に倒れさせる

「こりゃあ、すげぇ・・・」オーノさんの驚いた顔を始めて見た

「みんな! クルトでアーヤたちが待ってる。合流しよう」

「でも!どうやって? それに、ここにはまだ生きている人もいるわ!」

「ジャスミン、大丈夫だ。生きている人はみんな連れて行く。ここは危険だ、離れよう」

「な、、」みんな言葉が出てこないようだ

「救世主が言っているんだ。問題はなかろう」

「ありがとうございます。ハイウェルさん」

「生き残っている人たちを1か所に集めてくれ!」

みんなで手分けし、生き残った人を集めたが、10人くらいだった。



「エンシ、あなた。本当にエンシなの?」ジャスミンが恐る恐るきいてくる

「そんなに雰囲気違うかな? 確かに俺はエンシだけど、もう普通ではないのかもしれない」

「エンシなら大丈夫さ! な!」

「おう! レーナ!」

レーナがいつもの活気で不安そうなジャスミンを元気づける

「いくよ、みんな目を瞑ってくれ」みんなをクルトに運ぼうとする



「あんちゃん、1人で戦うのか?」

「散々みんなに助けてもらったんだ。今度は俺がみんなを助ける番だよ」

「エンシ殿。君がどんなに強大な力を手にしたとしても、我々はいつでも君のために戦うつもりだ。忘れないで欲しい」

「うん。ありがとう」


みんなの周りを俺の力で覆い、それごとクルトに飛ばす

「ふぅ。うまくいったかな」

感覚的には、身体の中からすごい力が湧き出ていて、それを用途に合わせて変化させるイメージだ。

今度は力を圧力に変えて、一気に火をかき消す。カーレには俺とミライ、そして鎮火したガレキが残っているだけになった。

さぁ。国王の前に帝都周辺で生きている人たちをクルトに避難させよう
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