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MMM(トリプルエム)の年越しトレジャーハント
バッカじゃないの? そんなに妄想癖が凄いなんて呆れるわ……宝の地図なんてあるわけないでしょ?
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ダメだ、全く寝られん。
時計を見ると時刻は夜の12時を過ぎたくらいらしい。そろそろまぶたが重くなって欲しい頃合いである。
だが今の俺のまぶたは軽すぎて紙風船並になっているらしい。全っ然眠くならない。
思えば昨日のことを振り返ってみると絶対疲れてるに違いないというのに、頭がまだ寝たくないと大合唱を始めちまったようだ。
魔法少女たちのビーチバレーという名のクレーターの付けあいを目の前で見させられ、それが終わったかと思うと西田に誘われてビーチバレーをさせられたのだ。執事さんたちも加わって総勢何人か知らんがやたら多いビーチバレーだったことを覚えている。コートが箱詰めされた高級ハムみたいにぎゅうぎゅう詰めだった。
なんの比喩かよく分からんがこんな事言ってるってことはやっぱ疲れてるんだな。
ビーチバレーしかしてない昨日の宴会といってもいい夕食もバカ騒ぎして落ち着いた雰囲気にならなかった。
就寝以外で体を休ませる時間である風呂も、西田にいらんちょっかいをかけられまくってゆっくりする暇なんてなかった。
今度同じことをしてきたら大浴場の横にあったサウナにぶち込んでドアに鍵を掛けて一晩放置してやろう。干からびてミイラになってたって、どうせ犯罪者予備軍なんだ。警察は俺に感謝状を進呈するに違いない。
そんなどうでもいいことを考えながら軽いまぶたを重くする方法はなんだろうと考えていた。
結論。知らん、それに分からん。
困り果てた俺は暇つぶしにと思い、まずはテレビをつけてみた。
ここのホテルにあるテレビは全部日本の番組が見れるらしいと執事さんから言われてたので、ザッピングでもしながら面白そうな番組があれば見てやろうかと思っていた。
だがこんな時間にやってる番組なんて永久にゆるい雰囲気でやるだらけきった深夜番組かBGMにもならない堅苦しいニュースくらいしかない。
それでも暇つぶしにと思い、ニュースを見てみた。面白そうなニュースなんてものはなく、政治家の失笑レベルの言い訳を聞けるわけでもなかった。
オーストラリア付近で台風モドキの異常気象が発生したらしく、日本に向かってそいつが進行中らしいくらいしか特筆すべきニュースなんてなかった。これも特筆すべきもんじゃなかったし。
ふと夜中に1人でホテル探検でもしようかと思いドアを開けた。
さすがにこんな時間にもなると電気はついてないので昼間と違った印象を受ける。あのイヤミったらしい内装は、暗くなると古ぼけたら洋館かお化け屋敷を思い浮かべるような印象だ。
しばらく歩いて突き当たりの角を曲がると、声が聞こえてきた。大声で抗議の声を上げているらしい。それをなだめているような声もする。
暇つぶしに盗み聞きしようか。声のする方向は、ここから真っ直ぐ行ったところにあるエレベーターホールからだ。
俺はバレないためには立花のまねをしたらいいのかと考えたが、難易度が高そうに思えたので遠慮しておいた。
いい感じの場所に観葉植物があったので、そいつを物陰として利用してみる。
どうやら西田と執事さんの緑川さんが揉めているらしい。
「なんでスキューバダイビング出来ないんだよ! みんなで行くってずっと楽しみにしてたんだぞ! 」
「誠に申し訳ございません。ですが、この近くの海は潮の流れがはやく、インストラクター無しにはとてもではございませんが出来かねると思われます。それに加えてオーストラリア付近で台風が発生しているとのことらしく、明日の海でスキューバダイビングはおろか、海岸に行くだけでも危険が伴う可能性がございます。スキューバダイビングは辛抱して頂くしかございません。本当に申し訳ございません」
「そんな……なんとかならないのか? 潮の流れが大したことない島にクルーザー使って行ったりすりゃイイじゃん」
「それも出来かねます。この付近の海の様子は現在嵐のような荒れようでございます。クルーザーを使用することも困難かと……」
「じゃあ明日はどうすんだよ! 何も予定考えてないぞ! 」
「当ホテルには遊戯室も設置されております。そちらでビリヤードや麻雀などを皆様でお楽しみ頂ければ……」
「そんなの楽しくねえって! 俺だって毎日遊んでるから飽きてきたしよ! 」
執事さんが何度も「申し訳ございません」を連呼しまくったが、西田は珍獣を見つけたと思ったらただのトカゲを見つけた動物学者のようなガッカリした顔をしてどこかへ行ってしまった。多分西田の部屋だろう。
俺の心情は驚愕と困惑と驚愕で満たされていた。
3分の2ほど驚愕で満たされているのは、やはり俺は心の底から驚愕しきっているのだろう。
西田が俺たちの為にスキューバダイビングを企画していたなんて、にわかには信じられないよう出来事である。
神性のアホさに隠れているが、実は友達思いだったりするらしい。
出会ってから4年近くたっているが、ココ最近で今まで知らなかった西田についての生態情報が手に入る。いらんようなどーでもいいシロモノではあるが。
俺は未だ襲来することを忘れた睡魔に早く来て欲しいと願いながら部屋に戻った。
来て欲しい時に限って来てくれないくせに、来てほしくない時に限ってホイホイ来るアイツにはホント困ったもんだね。
俺は発泡スチロール並に軽いまぶたと格闘して、およそ30分たった頃には深い眠りに落ちていた。
そうして翌朝。
正確には翌朝と言うよりその日の朝の方が正しいのかもしれんがそんなこと知ったこっちゃねえしどーでもいいことなのでほっとくことにしよう。どうせ誰も気にしちゃいないさ。
俺は窓を叩きまくる風の音に起こされて、眠い目をこすりながら窓から景色を眺めた。
そこに映る景色は、まさに嵐のど真ん中にある絶海の孤島って感じの景色がした。
昨日まであんなにキレイだった海も荒れに荒れ狂っている。高潮なんじゃないのかと心配したくなるような波が何度も海水浴場に襲いかかり、ジャングルの木々は風に吹かれて折れるんじゃないかと心配したくなるくらい曲がっていた。
俺はとりあえずなロビーに向かうことにした。そこならみんないるかもしれないと根拠は無いがそう確信していたのだ。
案の定みんな集合していて、今後の予定について話し合っていた。
「どうしようか……? こんなに天気が荒れてるんじゃ外に出ることは出来なさそうね……」
そういったのは早瀬である。
こういう時にリーダーシップを発揮しようとするところはやはり早瀬といった感じだ。
「あ、マスター! 今日はチョビットだけ起きるの早かったね! 今みんなで今日の予定どうしようかって話してたとこなの! 」
元気いっぱいに話しかけてきたのは望月である。
相変わらず俺にもその元気をチョコットくらい分けて欲しいと思う。
「そうなのか。それで、なんか決まったのか? 」
「とりあえず今日は遊戯室で遊ぶことになったわ。何日かはそこで暇つぶし出来そうだからね。それにしても残念だわ、天気予報じゃこんなことになるはずはなかったのに……」
早瀬の言葉を聞いて俺は立花に聞いておきたいことを考えついた。
「なぁ立花、魔法とかなんとかで天気を操られたりしてないのか? 俺たちの旅行気分を台無しにして、そん時に感じたストレスから生まれたマイナスエネルギーのために魔人が魔法を使って天気を操ったとかありそうな話だが」
「現在この島付近でマイナスエネルギー的魔力の観測はされていない。また、これ程の規模で天候を操作するには強大な魔力が必要。マイナスエネルギー供給が目的ならもっと別の方法をとるはず」
「じゃあ心配ないってことだな」
「ってこと。それより気になることが……」
「気になること? 」
「この近くの海に微弱ではあるが魔力を観測している。正体は不明」
「ま、気にしなくてもいいだろ」
「……了解」
俺と立花の魔人談義が終わりを告げた直後、ホテルの玄関口から西田が全力でこっちに向かってダッシュしてきた。
「おいみんな! 大変なことが分かったぞ! 」
魔法少女たちに対する敬語調をなくすくらい焦っているらしい。
「なんだ? 大変なことって」
「いやそれがよ! 執事の小原がクルーザーを港の倉庫に入れようとしてたら、こんなものが打ち上げられたんだ! 」
そう言って西田が取り出したものは、理科の実験で使うビーカーくらいの大きさのビンだった。コルクで栓をされているが中に古ぼけた紙が入っている。
「なんだそりゃ? 」
「それを今から確かめるんだって! 」
思ったよりカンタンにコルクが抜け、古ぼけた紙を取り出すことが出来た。
紙を広げてみると、そこにはある島の地図が書いてあった。俺はこの島の形に見覚えがある。
「おいおいこの地図って……」
俺も西田とおなじくなんとなく分かっていた。
朱色のバツ印だとかこの島の形を見る限り、それは俺たちがいる西田島の宝の地図だった。
時計を見ると時刻は夜の12時を過ぎたくらいらしい。そろそろまぶたが重くなって欲しい頃合いである。
だが今の俺のまぶたは軽すぎて紙風船並になっているらしい。全っ然眠くならない。
思えば昨日のことを振り返ってみると絶対疲れてるに違いないというのに、頭がまだ寝たくないと大合唱を始めちまったようだ。
魔法少女たちのビーチバレーという名のクレーターの付けあいを目の前で見させられ、それが終わったかと思うと西田に誘われてビーチバレーをさせられたのだ。執事さんたちも加わって総勢何人か知らんがやたら多いビーチバレーだったことを覚えている。コートが箱詰めされた高級ハムみたいにぎゅうぎゅう詰めだった。
なんの比喩かよく分からんがこんな事言ってるってことはやっぱ疲れてるんだな。
ビーチバレーしかしてない昨日の宴会といってもいい夕食もバカ騒ぎして落ち着いた雰囲気にならなかった。
就寝以外で体を休ませる時間である風呂も、西田にいらんちょっかいをかけられまくってゆっくりする暇なんてなかった。
今度同じことをしてきたら大浴場の横にあったサウナにぶち込んでドアに鍵を掛けて一晩放置してやろう。干からびてミイラになってたって、どうせ犯罪者予備軍なんだ。警察は俺に感謝状を進呈するに違いない。
そんなどうでもいいことを考えながら軽いまぶたを重くする方法はなんだろうと考えていた。
結論。知らん、それに分からん。
困り果てた俺は暇つぶしにと思い、まずはテレビをつけてみた。
ここのホテルにあるテレビは全部日本の番組が見れるらしいと執事さんから言われてたので、ザッピングでもしながら面白そうな番組があれば見てやろうかと思っていた。
だがこんな時間にやってる番組なんて永久にゆるい雰囲気でやるだらけきった深夜番組かBGMにもならない堅苦しいニュースくらいしかない。
それでも暇つぶしにと思い、ニュースを見てみた。面白そうなニュースなんてものはなく、政治家の失笑レベルの言い訳を聞けるわけでもなかった。
オーストラリア付近で台風モドキの異常気象が発生したらしく、日本に向かってそいつが進行中らしいくらいしか特筆すべきニュースなんてなかった。これも特筆すべきもんじゃなかったし。
ふと夜中に1人でホテル探検でもしようかと思いドアを開けた。
さすがにこんな時間にもなると電気はついてないので昼間と違った印象を受ける。あのイヤミったらしい内装は、暗くなると古ぼけたら洋館かお化け屋敷を思い浮かべるような印象だ。
しばらく歩いて突き当たりの角を曲がると、声が聞こえてきた。大声で抗議の声を上げているらしい。それをなだめているような声もする。
暇つぶしに盗み聞きしようか。声のする方向は、ここから真っ直ぐ行ったところにあるエレベーターホールからだ。
俺はバレないためには立花のまねをしたらいいのかと考えたが、難易度が高そうに思えたので遠慮しておいた。
いい感じの場所に観葉植物があったので、そいつを物陰として利用してみる。
どうやら西田と執事さんの緑川さんが揉めているらしい。
「なんでスキューバダイビング出来ないんだよ! みんなで行くってずっと楽しみにしてたんだぞ! 」
「誠に申し訳ございません。ですが、この近くの海は潮の流れがはやく、インストラクター無しにはとてもではございませんが出来かねると思われます。それに加えてオーストラリア付近で台風が発生しているとのことらしく、明日の海でスキューバダイビングはおろか、海岸に行くだけでも危険が伴う可能性がございます。スキューバダイビングは辛抱して頂くしかございません。本当に申し訳ございません」
「そんな……なんとかならないのか? 潮の流れが大したことない島にクルーザー使って行ったりすりゃイイじゃん」
「それも出来かねます。この付近の海の様子は現在嵐のような荒れようでございます。クルーザーを使用することも困難かと……」
「じゃあ明日はどうすんだよ! 何も予定考えてないぞ! 」
「当ホテルには遊戯室も設置されております。そちらでビリヤードや麻雀などを皆様でお楽しみ頂ければ……」
「そんなの楽しくねえって! 俺だって毎日遊んでるから飽きてきたしよ! 」
執事さんが何度も「申し訳ございません」を連呼しまくったが、西田は珍獣を見つけたと思ったらただのトカゲを見つけた動物学者のようなガッカリした顔をしてどこかへ行ってしまった。多分西田の部屋だろう。
俺の心情は驚愕と困惑と驚愕で満たされていた。
3分の2ほど驚愕で満たされているのは、やはり俺は心の底から驚愕しきっているのだろう。
西田が俺たちの為にスキューバダイビングを企画していたなんて、にわかには信じられないよう出来事である。
神性のアホさに隠れているが、実は友達思いだったりするらしい。
出会ってから4年近くたっているが、ココ最近で今まで知らなかった西田についての生態情報が手に入る。いらんようなどーでもいいシロモノではあるが。
俺は未だ襲来することを忘れた睡魔に早く来て欲しいと願いながら部屋に戻った。
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そうして翌朝。
正確には翌朝と言うよりその日の朝の方が正しいのかもしれんがそんなこと知ったこっちゃねえしどーでもいいことなのでほっとくことにしよう。どうせ誰も気にしちゃいないさ。
俺は窓を叩きまくる風の音に起こされて、眠い目をこすりながら窓から景色を眺めた。
そこに映る景色は、まさに嵐のど真ん中にある絶海の孤島って感じの景色がした。
昨日まであんなにキレイだった海も荒れに荒れ狂っている。高潮なんじゃないのかと心配したくなるような波が何度も海水浴場に襲いかかり、ジャングルの木々は風に吹かれて折れるんじゃないかと心配したくなるくらい曲がっていた。
俺はとりあえずなロビーに向かうことにした。そこならみんないるかもしれないと根拠は無いがそう確信していたのだ。
案の定みんな集合していて、今後の予定について話し合っていた。
「どうしようか……? こんなに天気が荒れてるんじゃ外に出ることは出来なさそうね……」
そういったのは早瀬である。
こういう時にリーダーシップを発揮しようとするところはやはり早瀬といった感じだ。
「あ、マスター! 今日はチョビットだけ起きるの早かったね! 今みんなで今日の予定どうしようかって話してたとこなの! 」
元気いっぱいに話しかけてきたのは望月である。
相変わらず俺にもその元気をチョコットくらい分けて欲しいと思う。
「そうなのか。それで、なんか決まったのか? 」
「とりあえず今日は遊戯室で遊ぶことになったわ。何日かはそこで暇つぶし出来そうだからね。それにしても残念だわ、天気予報じゃこんなことになるはずはなかったのに……」
早瀬の言葉を聞いて俺は立花に聞いておきたいことを考えついた。
「なぁ立花、魔法とかなんとかで天気を操られたりしてないのか? 俺たちの旅行気分を台無しにして、そん時に感じたストレスから生まれたマイナスエネルギーのために魔人が魔法を使って天気を操ったとかありそうな話だが」
「現在この島付近でマイナスエネルギー的魔力の観測はされていない。また、これ程の規模で天候を操作するには強大な魔力が必要。マイナスエネルギー供給が目的ならもっと別の方法をとるはず」
「じゃあ心配ないってことだな」
「ってこと。それより気になることが……」
「気になること? 」
「この近くの海に微弱ではあるが魔力を観測している。正体は不明」
「ま、気にしなくてもいいだろ」
「……了解」
俺と立花の魔人談義が終わりを告げた直後、ホテルの玄関口から西田が全力でこっちに向かってダッシュしてきた。
「おいみんな! 大変なことが分かったぞ! 」
魔法少女たちに対する敬語調をなくすくらい焦っているらしい。
「なんだ? 大変なことって」
「いやそれがよ! 執事の小原がクルーザーを港の倉庫に入れようとしてたら、こんなものが打ち上げられたんだ! 」
そう言って西田が取り出したものは、理科の実験で使うビーカーくらいの大きさのビンだった。コルクで栓をされているが中に古ぼけた紙が入っている。
「なんだそりゃ? 」
「それを今から確かめるんだって! 」
思ったよりカンタンにコルクが抜け、古ぼけた紙を取り出すことが出来た。
紙を広げてみると、そこにはある島の地図が書いてあった。俺はこの島の形に見覚えがある。
「おいおいこの地図って……」
俺も西田とおなじくなんとなく分かっていた。
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