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遊園地生活
上杉サクラちゃんの条件
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上杉サクラさんはすぅーっと大きく深呼吸をしたかと思うと、
「私を……私をコスプレさせなさい!」
想像以上に意外な条件だった。
はは~ん、さてはこの娘ツンデレだな? リアルでこのツンデレは貴重な存在……じっくりと落としにかかるのもありかな?
上杉サクラさん……(めんどくさいからアミに便乗して『サクラちゃん』と呼ぶことにしよう)サクラちゃんは、衣装代は全て払うからどんなのがいいかリクエストしてくれって言いたかったらしい。
尋問どころか、ある意味拷問級の質問攻めをなっちゃんから受けたサクラちゃんが、そう言ってた。
「でも……こんな子どものサイズがフルセットであるのかなぁ」
私が店に行く途中、不意にボソッと呟いた一言にサクラちゃんは顔を真っ赤にした。
「私は、もう小学6年生よ! 子どもなわけないじゃない!」
小学生だと充分子どもだよ~。高校生も子どもだとは思うけど。
「もう~サクラちゃんったら~! サクラちゃんって何歳なの?」
アミはサクラちゃんの頭をナデナデしながら聞いた。
「12歳よ、誕生日は4月11日」
意外にも怒ることなく素直を答えたサクラちゃん。
デレると落ちるのはやいなぁ。
「12歳? それじゃあまだまだ赤ちゃんみたいなものよ! 私だって、2万5千歳でもまだまだ子どもだって言われるんだから~」
2万……5千歳?
まぁ……異世界そのものみたいなもんだから、むしろ世界単位でみたら若いほうなのかもしれないけど……私もなっちゃんも、流石にケタ違い過ぎて呆気に取られている。
唯一驚いていないのはサクラちゃんだ。驚いているというより呆れている。
それが普通の反応なので不思議ではないけど……
「2万5千歳? 何言ってるの? もしかして中二病じゃないの?」
「え? サクラちゃん、私を心配してくれてるの? ありがとうッ! でも私、病気じゃないから安心して!」
サクラちゃんがヤレヤレと溜め息をついて足を急いだ。
「そう言えば自己紹介してなかったわ! みんな、サクラちゃんに自己紹介しよーよ!」
アミが満面の笑みに浮かべて、まるで電球のフィラメントは竹にするんだ! って決めたエジソンのように、自身に満ち溢れた声で言った。
「私はファミーユ=アミ! メーヌリスっていうところから来たの、よろしくね!」
差し出された両手に、サクラちゃんは、戸惑いながらも片手で応えた。
アミはサクラちゃんの手をぎゅ~っと握りしめ、こっちに視線を送った。ウインクまでしてる。次は私の番ってことかな?
「ぇと……私は橋本友紀っていいます。ぁの……コミュニケーションが苦手なんですけど……ょょ……よろしくお願いします!」
サクラちゃんが応える前に、なっちゃんが飛び出してきた。
「あ、あの! 私は! ……ぇえっと……佐藤……エターナルブレイド……っていいます。よろしく」
最初の勢いは名前を言う直前に殺されてるらしい。
もっとまともな名前だったらなぁと、最後に付け加えるように呟くなっちゃんだった。
「エターナル……ブレイド?」
流石にサクラちゃんも絶句しているようだ。
「ぇえっと……っ、私たちは、なっちゃんって呼んで……ます」
「ふーん、じゃあ私もそうさせてもらうわ。友紀、アミ、それになっちゃんね」
私たちの視線から、逃げるように顔を合わせないサクラちゃん。
「……よろしくね」
横顔くらいしか見えてないけど、嬉しそうな表情をしているなんてすぐ分かった。
コスプレ衣装専門店みたいなお店っていうのは、ランド内に意外とあるものだ。サクラちゃんが気に入った衣装を見つけるまで、あちこちの店を駆けずり回った。
どの店に行っても、顔を輝かせて一着一着を吟味しては、不満そうな顔をして、
「次、行くわよ」
というのだった。疲れたんですけど……私そんなに服こだわらないし。
でも、アミはサクラちゃんと一緒に衣装選びしてて楽しそうだし、なっちゃんも何気に楽しそうである。不満タラタラなのは私だけらしい。我慢して付き合うしかないか……。
現在、閉園まで残り1時間。キムチの海賊くらいしかまともに乗り物に乗ってない。コスプレ衣装専門店も残りラストとなった。
「ここで最後か……私の気に入る服があったらいいんだけど……」
彼女にプロポーズする直前に自分を励ます優男みたいな声で、低くボソッと呟いたサクラちゃん。今までの衣装選びを見る限り、その望みは叶えられないと思うんだけどな……。
だいたいサクラちゃんが衣装に求めてるものは分かった。正義のヒーローみたいなやつをお求めなんだろう。アミのコスプレが女海賊だから、それを成敗する正義のヒーローって発想なのかな?
ここってそんな感じの衣装少ないんだよなぁ、って思いながらサクラちゃんたちを追って店の中に入った。
「あったー! これ、これよ! 私が探してた服!」
いきなり店の奥に走ってったかと思うと、政治家の演説みたいなやかましい声が轟いた。
サクラちゃんが持っていた服は、女武者みたいな服だった。
頭のてっぺんでポニーテール風に結んだ髪、足軽が着てそうな、肩に防具が付いてない鎧に着物風スカート、黒い足袋にピンク色の紐の草履、背中には身長に似合わないほどの大太刀を背負っている。
「これ、買いなさい! ほらほらぁ、それが友達になる条件なんだから!」
え……今財布の中身サハラ砂漠なんですけどぉぉ~!
「私を……私をコスプレさせなさい!」
想像以上に意外な条件だった。
はは~ん、さてはこの娘ツンデレだな? リアルでこのツンデレは貴重な存在……じっくりと落としにかかるのもありかな?
上杉サクラさん……(めんどくさいからアミに便乗して『サクラちゃん』と呼ぶことにしよう)サクラちゃんは、衣装代は全て払うからどんなのがいいかリクエストしてくれって言いたかったらしい。
尋問どころか、ある意味拷問級の質問攻めをなっちゃんから受けたサクラちゃんが、そう言ってた。
「でも……こんな子どものサイズがフルセットであるのかなぁ」
私が店に行く途中、不意にボソッと呟いた一言にサクラちゃんは顔を真っ赤にした。
「私は、もう小学6年生よ! 子どもなわけないじゃない!」
小学生だと充分子どもだよ~。高校生も子どもだとは思うけど。
「もう~サクラちゃんったら~! サクラちゃんって何歳なの?」
アミはサクラちゃんの頭をナデナデしながら聞いた。
「12歳よ、誕生日は4月11日」
意外にも怒ることなく素直を答えたサクラちゃん。
デレると落ちるのはやいなぁ。
「12歳? それじゃあまだまだ赤ちゃんみたいなものよ! 私だって、2万5千歳でもまだまだ子どもだって言われるんだから~」
2万……5千歳?
まぁ……異世界そのものみたいなもんだから、むしろ世界単位でみたら若いほうなのかもしれないけど……私もなっちゃんも、流石にケタ違い過ぎて呆気に取られている。
唯一驚いていないのはサクラちゃんだ。驚いているというより呆れている。
それが普通の反応なので不思議ではないけど……
「2万5千歳? 何言ってるの? もしかして中二病じゃないの?」
「え? サクラちゃん、私を心配してくれてるの? ありがとうッ! でも私、病気じゃないから安心して!」
サクラちゃんがヤレヤレと溜め息をついて足を急いだ。
「そう言えば自己紹介してなかったわ! みんな、サクラちゃんに自己紹介しよーよ!」
アミが満面の笑みに浮かべて、まるで電球のフィラメントは竹にするんだ! って決めたエジソンのように、自身に満ち溢れた声で言った。
「私はファミーユ=アミ! メーヌリスっていうところから来たの、よろしくね!」
差し出された両手に、サクラちゃんは、戸惑いながらも片手で応えた。
アミはサクラちゃんの手をぎゅ~っと握りしめ、こっちに視線を送った。ウインクまでしてる。次は私の番ってことかな?
「ぇと……私は橋本友紀っていいます。ぁの……コミュニケーションが苦手なんですけど……ょょ……よろしくお願いします!」
サクラちゃんが応える前に、なっちゃんが飛び出してきた。
「あ、あの! 私は! ……ぇえっと……佐藤……エターナルブレイド……っていいます。よろしく」
最初の勢いは名前を言う直前に殺されてるらしい。
もっとまともな名前だったらなぁと、最後に付け加えるように呟くなっちゃんだった。
「エターナル……ブレイド?」
流石にサクラちゃんも絶句しているようだ。
「ぇえっと……っ、私たちは、なっちゃんって呼んで……ます」
「ふーん、じゃあ私もそうさせてもらうわ。友紀、アミ、それになっちゃんね」
私たちの視線から、逃げるように顔を合わせないサクラちゃん。
「……よろしくね」
横顔くらいしか見えてないけど、嬉しそうな表情をしているなんてすぐ分かった。
コスプレ衣装専門店みたいなお店っていうのは、ランド内に意外とあるものだ。サクラちゃんが気に入った衣装を見つけるまで、あちこちの店を駆けずり回った。
どの店に行っても、顔を輝かせて一着一着を吟味しては、不満そうな顔をして、
「次、行くわよ」
というのだった。疲れたんですけど……私そんなに服こだわらないし。
でも、アミはサクラちゃんと一緒に衣装選びしてて楽しそうだし、なっちゃんも何気に楽しそうである。不満タラタラなのは私だけらしい。我慢して付き合うしかないか……。
現在、閉園まで残り1時間。キムチの海賊くらいしかまともに乗り物に乗ってない。コスプレ衣装専門店も残りラストとなった。
「ここで最後か……私の気に入る服があったらいいんだけど……」
彼女にプロポーズする直前に自分を励ます優男みたいな声で、低くボソッと呟いたサクラちゃん。今までの衣装選びを見る限り、その望みは叶えられないと思うんだけどな……。
だいたいサクラちゃんが衣装に求めてるものは分かった。正義のヒーローみたいなやつをお求めなんだろう。アミのコスプレが女海賊だから、それを成敗する正義のヒーローって発想なのかな?
ここってそんな感じの衣装少ないんだよなぁ、って思いながらサクラちゃんたちを追って店の中に入った。
「あったー! これ、これよ! 私が探してた服!」
いきなり店の奥に走ってったかと思うと、政治家の演説みたいなやかましい声が轟いた。
サクラちゃんが持っていた服は、女武者みたいな服だった。
頭のてっぺんでポニーテール風に結んだ髪、足軽が着てそうな、肩に防具が付いてない鎧に着物風スカート、黒い足袋にピンク色の紐の草履、背中には身長に似合わないほどの大太刀を背負っている。
「これ、買いなさい! ほらほらぁ、それが友達になる条件なんだから!」
え……今財布の中身サハラ砂漠なんですけどぉぉ~!
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