サクササー

勝瀬右近

文字の大きさ
9 / 49

第1章 第8話 勲功授与と喧嘩千人

しおりを挟む
 ノスユナイア城最大にして随一の大広間は、特別な行事で必ず使われますが、滅多なことでは使われない部屋でもありました。遥彼方に天井があると思われるほど高い天井に神話の物語を描かれそこから下がるいくつものシャンデリアには無数の発光クリスタルがきらびやかに会場全体を照らしています。その天井を何本もの太い柱が支えていてその柱にも群像が彫り込んでありました。
 壁があるべき場所は全てガラス張りで外の景色が遠くまで見通せるため、まるで空を飛んでいるような感覚になります。
 正面中央の太い柱にはノスユナイア王国の紋章の彫刻が堂々たる威容を誇っています。
 そして上階から降りてくる階段は緩やかな螺旋を描き、ところどころにあしらわれた透き通った膜が雲を想させ、まるで下界に降りる神を演出するかのような造りになってなっていました。

 その緩やかな螺旋階段の両脇には楽隊が整列し、それらに向かって最前列は正装に身を包んだ第八師団の師団長ユリアス=ロマ=ガーラリエルとその幹部達が横一列に並んでいます。そして彼らの後ろには各師団の司令官とその副官が横隊に並び、その軍人達をぐるっと囲むように後方と左右に元老院議員が、やはり正装に身を包み、充分な間隔を取って並んでいました。
 そして壁、ではなくガラス面のある最外周には華やかな羽飾りのついた帽子や青赤白という派手な色であしらわれている隊服に身を包んだ近衛兵が会場にいるすべての人々を監視するかのようにぐるりと立っています。

 皆がそろそろ国王がやってくるとそわそわする中、ロマは引き締めた表情を崩さず、何かを決心したようにジッと正面だけを見据えています。事実彼女は決心を胸にしていました。

 突然ラッパが鳴り響き部屋の外周に並んでいた近衛兵達が姿勢を正します。
 正面の王家の紋章が左右に分かれ、扉が開くと正装した国王が王妃と皇太子アレス、続いて三人の賢者と近衛隊長モルドが続き、そして国王評議会議員と言う錚々たる顔ぶれを引き連れて現れたのです。全員が姿勢を正して国王を迎えました。

「国王陛下に敬礼!!」
 ザッという音と共に全ての軍人達が敬礼するとラッパの音が鳴り止みます。国王が一歩前に進み出ました。
「皆の者、此度はご苦労であった。まずは・・・グナス討伐において、勇敢に戦い散っていた精鋭たちに心から哀悼の意を捧げたい」
 国王のその言葉と共に敬礼を戻す軍人達。厳かに楽隊が鎮魂の曲を流すと皆が目を閉じました。
 やがて音楽が止むと、国王が話し始めました。
「既にわかっておるであろうが、獣人討伐において我が国に多大なる貢献をしたユリア・・・」
「陛下!」
 国王の言葉を遮ったのはなんとロマでした。誰もがその行為に驚き、一瞬ざわめきます。モルドも予想外のこと表情を険しくしました。
「ガーラリエル少将閣下。陛下の御前です。慎まれますよう」
 そういったのは三賢者の1人、ディオモレス=ドルシェでした。セノン族の特徴である尖った耳と明るい青い目がいくらかの非難の色を滲ませてロマを見据えます。それを振り切る様にロマはさらに口を開きました。
「陛下私は・・・」
「少将閣下!」
 更に諌めようとするディオモレスを制したのは国王でした。
「ドルシェ公。・・・良い」
 ディオモレスいくらか困惑の表情を見せながら浅く頭を下げて元居た位置に下がるとロマはサッと跪き、再び驚くべきことを言ったのです。
「陛下。礼を失することは重々承知の上。許される事ではないことも良くわかっております。ですが・・・、ですがわたしは此度の勲功授与を辞退させていただきたく存じます」
 一瞬会場がザワッとどよめきました。
 勲功を受けることにしたのではなかったのかと皆が怪訝な表情を浮かべます。
 ロマの部下達はこの事を知っていたようで微動だにしませんでしたが、それ以外の全員がザワザワとし、頭が揺ら揺らと動いています。
「確かに私は決心しました。しかし私が決心したのは勲功を受けない事です。」
 国王は視線を上げずに言うロマをじっと黙って見下ろしていました。
「しかし事実は事実です。私が勲功に値しない結果をもたらしたことを、全ての元老院議員代表をはじめ、軍司令官および王国評議会の方々に、陛下の御前にて直接聞いて欲しかったからです」
 国王は口を引き結びました。
「わたしは此度の獣人討伐において、あのグナス=タイアを追い詰めました。その結果・・・」ロマは顔を上げました。その表情は悲壮感に満ちています。「あのような事態になることを予測できなかったわたしの愚挙が多くの兵士を死なせてしまいました。これの何処に勲功に値するものがありましょうか。それどころか王国の名に泥を塗りつけたも同然!・・・であるならば罰せられることこそが当然。聡明なる陛下にはどうか御賢断を賜りたく存じます」
 十数秒ほどの沈黙の後、国王は厳しく引き結んだ口元の力を緩めました。
 そして。
「ユリアス=ロマ=ガーラリエル」
 王は太く低い声でロマの名を正式名を呼びました。「は!」ロマは改めて平伏します。間を取った後に国王はゆっくりとした口調で話し始めました。
「そなた。いくつになった?」
 ロマは一瞬、言葉を失い戸惑いました。国王が促すようにもう一度言います。
「いくつかの?」
「あ、はい。今年で27になりました」
「うむ」
 暫く沈黙した国王はスッとディオモレスに視線を移します。「ドルシェ公よ」
「はい」
「わしが獣人一族との闘いに初めて臨んだのは、いくつの時だったか覚えておられるか?」
「今から45年前。陛下が25歳の時でございます」
 ディオモレスの即答に国王は驚いたように目を丸くしました。
「よく覚えておるな・・・。しかしそうか・・・もうそんなに経つのか。月日が過ぎるのは早いものだな・・・そうかあれからもう45年か」
 45年前。元老院議員以外の兵士たちの殆どがその時に生まれていなかった、或いは生まれて間もなかったであろうことを思いながら国王は周りを見回し、ゆっくりと鼻から息を吐き出しました。
「ユリアス。初陣ではなかったがそなたとそれほど変わらない年齢の時にわしは獣人討伐に参加した。そしてその時の結果は今でも覚えておる。芳しくない・・・いやいや・・・惨憺たる結果だった。わしは脱糞して敗走したのだよ」首を振りながら目を閉じます。
「わしは自分に失望した。今のお前を見るとまるで当時の自分を見るようだと思ったんだが、不思議だな・・・、わしは、今のお前と同じ事を当時健在であった王である父に言った。罰を与えてくれ・・・とな」
 ロマは顔を上げずに目を見開きました。同遇の身であったことに驚いたのかもしれません。
「殿下だ王子だ、将軍だなどと持ち上げられて浮かれていた愚か者だった事を思い知らされ、眼前に突きつけられた自分の無能に恥じ入ったわしは罰を与えて欲しいと本気で思ったのだよ・・・」
 後ろに控えていたアレスはその話を初めて聞いたのか、驚きと悲しみを同居させた表情でじっと父の後姿を見つめていました。
「だがわしの願いに対して父は言った。『戦いというものはどのような結果であれ常に悲劇を生む。お前を罰することで解決することなどひとつもありはしない』とな」
 父であれば子を許すのは至極当然。しかも王族であればなおのこと・・・。ロマのそんな内心を他所に国王は更に続けます。
「今のわしの思いはまさに父の思いと同じだ。戦いの結果に賞罰を与えることだけならば、国王の仕事は楽なものだよ。しかし困ったことにそう簡単ではない。・・・ユリアス」
「・・・・・・」
「確かに1000人もの犠牲を出してしまったことは憂慮すべきことだろう。わしとて同じ経験をした身であれば気に病むな、とはとても言えんが、そなたの気持ちはようくわかるつもりだ。しかし軍団の頂点に立つ者であればこれは宿命だ」
 ロマは国王の言葉が終わるや否やに言います。
「お言葉ですが陛下。私は戦友の屍の上に築かれた栄誉に浴したいとは思いません。どうか私の欲する処遇をお与えください」
 肩をひとしきり上下して息を吐き出す国王。誰を見るともなく視線を泳がせてからまたロマを見おろしました。
「ふぅむ・・・・まったく頑固者よ。・・・近衛隊とは頑固者を排出する機関なのか?モルドよ。そなたはどう思うね」
 これは明らかに常々モルドの頑固さに苦言を呈している国王の彼に対する皮肉です。しかしすぐ隣にいたモルドは国王からの言葉であっても動ずる事など微塵もありませんでした。
「申し訳ありません陛下。私はその答えを存じ上げません」
 モルドの応えに眉をハの字にしてやれやれと言った風に首を振る国王。暫く天を仰いでから再びロマに視線を落とします。
「よかろう」
 ロマは深くひれ伏し立ち上がろうとしましたが、国王の言葉の続きに動きを止めました。
「勲功授与は無しにしても良い。だがそちの少将としての働きにわしとしては報いねばならん」
 ロマは目を閉じ、国王の言葉を待ちました。
「これから先、犠牲を出さない将軍などおそらく1人もいないだろう。それでも戦功に報いるのは国王である余の勤めであり、何より余がそうしたいからだ。そしてそうせねばならんのは、他の将軍達の手前もあるからなのだが・・・まあこれ以上はよそう。言い訳はいくら言葉をつむいでもむなしいだけだからな・・・」
 国王は箱の上の赤い布の上に乗った勲章を手に取ってしげしげと見ながら言いました。
「ユリアス=ロマ=ガーラリエル少将。この勲章をつける機会が再び訪れることをわしは心から期待しておる。しかし後ろに居るそなたの部下である士官達はきっとこの勲章以上にそなたの頭上に輝く何かを感じておるはずだ。その彼等の思いに応えたい」
 その言葉にまるで呼応するかのように、ロマの後ろの士官達が跪きます。ロマは未だ国王の真意がつかめないまま平伏していました。
「そしてお前が望んだ、これは罰でもある。ユリアス。立ちなさい」
 ロマが立ち上がるのを確認した国王は「うむ。凛々しいな。そなたの父がこの場におればさぞ誇らしかったであろう」ひと息をついてから胸を張り、大広間に響く大きな声で言いました。
「ユリアス=ロマ=ガーラリエル少将」
 ロマが姿勢を正します。
「そなたにノスユナイア王国軍元帥の称号を与える!」
 おお。場内からどよめきの声が上がります。
「此度の戦いで兵士を失ったことを悔やみ嘆くより、乗り越えて先にすすむのだガーラリエル元帥。それがわしからそなたに与える試練だ。そなたの父と同じく、元帥の名に恥じぬ働きを期待しておる。良いな?」
 一瞬の沈黙。ロマはそれでも頑なな表情を崩さず、そこにいた者たちもザワザワとするだけでどうすればいいのかわからず戸惑いの表情をうかべていました。・・・が、たった一人そうではなかった者がいたのです。
「おめでとう!すごいや!我が国で初めての女の元帥だね母上!!」
 そういったのはアレスだったのです。優しく微笑む王妃に肩を抱かれながら興奮気味にパチパチと拍手し、肩越しに振り返った国王も満足げに微笑みます。
 アレスのその行為に触発されたかのように広間のあちこちから拍手が沸き起こりました。このとき誰の心のうちにも救われた様な安堵の気持ちがありましたが、それ以上にアレスの行動に驚きと喜びを感じていたのです。
 少年の無邪気と言えば確かにそうでした。アレス本人もきっと意識などしていなかったでしょう。こういった厳粛な集まりで、しかも状況が緊迫している状態は子供であっても直感的に感じ取った雰囲気で萎縮してしまうものです。
 しかしアレスに萎縮などと言う言葉は無縁でした。自分の気持ちを素直に表すことで場の空気を作り出したのです。そればかりか全員の心をひとつにしてしまったのですから。
 今回の主役はロマなのに、拍手はアレスの次期国王としての度量の大きさに対して贈られているようなものでしたが、それを主役であるロマ自身も良くわかっていました。ここで意固地になればアレスの純粋な気持ちを踏みつけることになってしまう。
 こうなってはロマも頑なな心を解くしかなかったのです。
 暫くの拍手の後、国王が両手を上げて場を沈めると、ロマは国王を見上げて言いました。
「有り難きことこの上もありません。国王陛下の名を汚す事の無きよう、但惜身命の心構えにてノスユナイア王国のため、使命を果たす所存です」
「うむ。よう言った」
 国王はロマから視線を遠くに移し、胸を張るようにして口を開きました。
「これまでに何度も口にしてきた言葉だが改めて言っておきたい。これはドルシェ公ならびにアー公が常に心に留め置いている言葉だが、我が国には無数の環がある。民、職人、商人、軍人・・・。そのどれもが人の環なくしては立ち行かん。この環を太く丈夫に育てることこそが我が国に繁栄をもたらすのだ。皆の者、今般はその環にユリアス=ロマ=ガーラリエル元帥という新たな力が加えられためでたい日・・・」
めでたい日・・・と言おうとした国王はふっと言葉を止めて自分の手のひらに視線を落としました。
 ロマに渡すはずだった勲章を眺めて少し残念そうな顔をし、心の内で”この意匠は気に入っていたんだがなぁ・・・”と、少しばかり残念そうな顔をします。しかし全ての物事がうまく行くことが少ないのは人の世の常と、苦笑いを浮かべて小さく首を振り視線を上げました。
「今宵は我らが王国の未来永劫の繁栄を願いながら、心行くまで楽しんでいってくれ!はっはっは!」
 そこにいた皆が国王の気持ちを察して拍手と共に笑いを共にすると、広間には音楽が流れ始め、晩餐の宴席へと姿を変えたのでした。
    
 ロマは国王の隣に着座すると言う栄誉を与えられ、彼女はそこで元老院代表や他の師団の元帥や司令官からの祝辞を受けていました。
「おめでとうございますロマさ・・・あ、いやしまった・・・ガーラリエル元帥閣下」
 頭を掻きながら一礼したのはローデンでした。
「お久しぶりです先生」
「軍に入られても勇ましさに変わりないようですね」
 そう言ってローデンはテーブル越しにすっと手を出しました。「お手を」そう言われてロマが手を差し出すとローデンはふわりとそれに手を重ね合わせます。すると穏やかな光が現れてまるで絹糸のような線が幾重にもロマの腕を労わるように包み込んだのです。
「さすがじゃなソルネイド」
「申し訳ありません陛下。医者の悪い癖と思ってご容赦ください。傷を見るとどうにもじっとしていられません」
「結構結構。どうじゃなユリアス」
 傷といっても実はそれは目に見える傷ではなく、グナス戦においてタニアを炎熱魔法から庇うために立ちはだかったあの時に受けたもので、クオーラの治癒魔法で外面は癒えていたものの完全ではなかったことにローデンは彼女の立ち居振る舞いから察知していたのです。
「信じられません・・・。先ほどまで腕の関節が時折しびれていたのが・・・」
「まるで魔法の様・・・か?」
 魔法であることは間違いもなく、かといってその言葉通りだということにその場に居た全員がおかしみを感じて笑います。
「この男が主治医であれば、わしはあと100年は生きられそうじゃよ。はっはっは」
 そう言ってローデンのすぐ隣にいるエデリカに気を止めました。ローデンはそれに気がついてすぐにエデリカの肩を抱いて言いました。
「娘のエデリカです。エデリカ挨拶をして」
「おお。暫く見ぬうちにおおきゅうなったのぅ。いくつになった?」
「16です」
 少し硬い面持ちで国王にそう応えるエデリカ。ロマはそんな彼女を見て微笑み、言いました。
「近衛に入隊するそうね」
「はい!」
「頑張ってね」
「はい!」
 エデリカは背筋をピンと伸ばして大きな声で言いました。
「そちのような若い力が王国を守り育ててゆくのだ。息子を、アレスを守ってやってくれよエデリカ」
「は・・・はい!!」
 あまりの声の大きさに国王やロマが微笑みます。
「それでは後がつかえていますので、これで失礼します陛下。元帥閣下」
 ローデンはそう言って国王の後ろに立っていたモルドに目配せするようにしてから立ち去りました。その後も次々と祝辞に応じ、それらがひと段落着くと、肩越しに後ろを見た国王は言います。
「モルド。そんな難しい顔をしていないで、お前からもユリアスに何か一言ないのかね?」
 国王の後ろに立っていたモルドは。
「おめでとうございます元帥閣下」
「あ・・・ありがとうございます」
 国王は困った者達だと言う顔で鼻息を吹きながら首を横に振ります。
「元は近衛隊の同志であったのだろう?なんじゃ、その他人行儀は。無礼講じゃ、気の効いた言葉の一つでも贈ってやらぬか」
「お言葉ですが陛下。ガーラリエル元帥は私より階級が上。軍人たるもの規律を乱しては・・・」
 国王は手をパタパタと振ります。
「ええぃ。もういいもういい。この石頭め。そなたが副官をしていた時の苦労を察するよユリアス」国王はそのとき何かを思いついたように悪戯っぽい笑い顔を浮かべたのです。「そうじゃ。ユリアス」
「はい?」
 嬉しそうな顔をロマに近づけてモルドに聞こえるように言いました。
「そちに特権を授けよう」
「陛下・・・」
「そんな顔をするな。勲章の代わりに受け取っておけ」
 ロマはまた何を言い出すのかと表情を複雑にしました。
「そなたが望む時、この男に階級忘れさせることが出来る特権じゃ。もしもそれを破れば軍令違反とする。どうじゃな?」
 モルドの困惑顔をチラリと見るにつけ、してやったりと言う笑顔の老人は国王の威厳などそっちのけで嬉しそうにしています。そんな国王にロマはわざと困った風を装って咳払いしてからこういったのでした。
「国王陛下のたっての仰せであれば、お断りするのはあまりに失礼と言うもの。謹んでお受けいたします」
 モルドが珍しく慌てて言いました。
「ロマ、なにを・・・」
 ハッとして口に手をあてましたが時既に遅しです。
「良いぞ良いぞ。その調子じゃモルド。はっはっはっは!」
 ロマも国王につられて笑顔を見せ、そのままモルドを見上げると彼も仕方無いという表情をロマに向けて苦笑いを浮かべてではあったものの、二人は笑顔を交し合ったのでした。
 勲功授与は先送りとなってしまいましたが、そこにいた人々それぞれが王国の繁栄を歓び合いながら宴の夜は更けていったのです。


■制服

 軍服にはいくつか種類があります。
 戦場では戦闘服、勲功授与などの催しがあるときの礼装、正装。そしてそれ以外の時に着用するのがいわゆる軍服という制服です。
 この制服は背中や胸にあしらう模様が師団ごとに違います。一目でそれとわかる様にしているわけですが、ロマの第八師団はノスユナイア地方に生息する大型猛禽類である鷹でした。
 ロマはその鷹の模様を見てため息をつきました。
「どうかなさいましたか?」
 そう言ったのは、魔法部隊隊長のタニア中尉でした。
「今朝届いたこれよ・・・」
 ああ、とタニアは言ってロマに歩み寄りました。
「綺麗な赤ですね」
「あのねタニア。そういうことを言ってるんじゃないんだ」
 タニアは口に手を当てて肩をすくめます。
「なんで私だけがこんな赤い模様に・・・」
 師団の兵隊たちの背中や胸元にもこの模様は有りましたが、それらは全て軍服の黒字に映えるように白。ロマのものは赤でしたが、黒地との境に白の縁取りがしてあって、赤色が際立っています。
「こんなもの・・・」
「閣下」
 ギロリといった感じのロマの視線を受けながらもタニアは凛として言いました。
「閣下。元帥という称号は見えませんが、その模様や色は目に見えます。権威と言うのは目に見えたほうが・・・・」
 ロマはタニアに手をかざして制しました。
「見えたほうがイイ場合もある・・・とラティが言っていた・・・?」
「・・・・はい」
 にっこりとするタニアから視線を外すとロマはまたフウッと息を吐き出しました。
「三賢者様の仰せってわけか・・・」
「いいじゃありませんか。ガーラリエル様。お似合いですよ」
 渋々と言う感じで新調された軍服の袖に腕を通し始めたロマ。それでもパリッとした全く体に馴染んでいない軍服は姿勢を矯正されているようで身が引き締まる感じがしました。
 ”あの場ではアレス王子の手前もあって、ああは言ったが・・・やっぱり・・・”

 ロマはいまだに吹っ切れてはいなかったのです。
 確かに国王の言う通り、戦争で犠牲者が出ないことなどありはしません。それでも今回の自分の油断が招いた事に、周囲があまりに優しすぎはしないだろうか。自分は果たして元帥に相応しい人間なのだろうか。そう考えたときにドアがノックされました。
「閣下。デルマツィアです。そろそろ時間です。支度は整いましたか?」
 副官のデルマツィアが呼ぶ声にロマは応えます。
「今行く!」
 そしてタニアのほうを向いて言いました。
「本当に似合ってると思う?」
「ええ」タニアはにっこりとしました「とても」



■火の粉


 勲功授与式から数日が過ぎた今日は3ヶ月に一度の元帥会議が執り行われる日でした。
 そして元帥となったロマが初めて出席する会議でもあったのです。
 議場には全ての師団の元帥が、副官を伴ってずらりと着座し、部屋の上座には魔法院長のラットリア=ツェーデル、国務院長のバラム=アガレスが並んでいます。

「全員、ご起立願います」
 魔法院長の言葉で全員が起立して会議開始の宣言が行われました。
「尚、今回よりガーラリエル元帥が本会議に加わることをお知りおきください」
 ロマは正面に向かって浅く長めにお辞儀をしました。
 それに対し他の元帥たちは特に何かを言うでもなく同じように浅くお辞儀を返しただけでした。
「では始めましょう。今回の議題は来期の派兵師団に変更が加わることとなり、それについての話し合いを行います」
 淀みのない口調でツェーデルが話を始めました。
 ノスユナイア王国は隣国であるレアン共和国と軍事同盟を結んでおり、その同盟の約款のひとつに毎年2個師団を防衛のための援助としての派兵があるのです。
 レアン共和国は経済的には強国であっても軍事的には弱小国でした。隣国であるフスラン王国は通商条約を結ぶほどの友好国でしたが、それは表向きといっても良い事情があり、油断はできなかったのです。
 実はフスラン王国は北の大帝国デヴォールの属国と成り果てているのです。そのためフスラン国内に存在する軍隊は99%が帝国軍で、わずかなフスラン騎士団が下働きをさせられているような状況なのです。当然国境であるエーヴェイ川の対岸に駐屯しているのは帝国軍というわけです。
 帝国が起こした200年前のある事件が原因で始まったノスユナイアの派兵は、王が代替わりしても、共和国の元首が変わっても途切れることなく続いている事で、それに伴う両国間の利害関係も複雑かつ大きなモノとなっている為、今更やめるというわけには行かないしがらみなのです。




 さて、そんな派兵軍務ですが、現在派兵されている2師団との交代が迫っており、夏には出発しなければなりません。しかし行くはずだった第3師団の師団長が急病で倒れてしまい、司令官を欠いた状態での派兵はレアン共和国の不信を買う事にもなりかねないとして、急遽べつの師団が任命されたわけですが、ここで問題が起こってしまったのです。とてもくだらない問題が。

「我が第7師団は、これまで一度も第1師団とは共闘したことがない。有事の際に連携に乱れがあっては勝てる戦(いくさ)も負け戦となりかねん。どうか別の師団を抜擢していただきたい。私の兵士を無駄死にさせたくないのでね」
 そう言って伸ばしたひげを撫でているのはカズール=ドリエステル元帥です。彼のその言動にガタンと椅子を鳴らして立ち上がったのはログロック=ゼーゼス元帥です。
「わたくしとて貴公と同じ思いだ。国王評議会の取り決めとあらばやむを得ないとおもっていたが、そのようなことを公然というのであればこちらも言わせていただく。陛下の兵士を犬死にさせる事は出来ん。どうか派兵師団を再考していただきたい!」
「ゼーゼス殿。ここはここにいる誰かに派兵任務を移譲されてはいかがかな?そうしたところで誰もあなたを臆病者とは思うまい。まあ、心の内がどうであるかまではわからんがね」
「貴・・・様!私を愚弄するか!」
 ロマはあきれ果てました。“子供の喧嘩かよ”
「決闘」1人の元帥が腕組みをしたまま天井を見上げています「でもして決めますか・・・」
 歳は30代前半といった感じの目つきの鋭い男でした。
 友軍同士で決闘などありえませんでしたが、このまま言い争いを続けていれば、そうなるとも限りません。ふたりは嫌な汗がジワッと滲むような感覚に襲われました。
「ノーエル閣下。ご意見ならば起立を」
 ツェーデルがそう言うとノーエルは肩をすくめて疲れた笑顔を見せます。
「独り言です。御気になさらずに。魔法院長」
 ツェーデルがフウッと息を吐いて今度こそと口を開きかけた時、今度はロマが立ち上がりました。ツェーデルはあけかけた口を閉じることを忘れて驚きと不安を同居させた表情でロマを見ました。
 「決闘結構!」
 全員がロマに振り返るなか、ノーエルだけは目を閉じてニヤリとします。
「このままでは無為に時間が過ぎて行くばかり。そんなに面子が大切ならばノーエル中将の仰るように決闘でもされればよいでしょう。そのほうが単純でわかり易い」
 一人目は独り言と言ったものの、二人の元帥が決闘を提案した。誰も意見を言わないのであればそれはともすれば現実の物となりうること。それを聞いてゼーゼスとドリエステルは視線を見合わせてから目を泳がせます。
「軍人であるなら軍人らしく決着をつける。問題ないと思われますが?ツェーデル魔法院長、アガレス国務院長。あなた方のご意見はいかがか?」
「さ、左様ですな。私は異論はありませんぞ。しかしもちろん」アガレスはドリエステルとゼーゼスをチラッと見てハンカチで汗を拭いました「お二方の同意が必要ですがね。ほっほほ・・・」
「む・・・ぅ・・・」
「・・・」
 二人がモゴモゴと言うとロマはふっと軽く息を吐いてから口を開きました。
「決闘するまでも無いと仰るなら、この元帥会議で多数決を以って決定する、という事でよろしいか?」
「ガーラリエル元帥」そのとき口を挟んだのはドリエステルです。「準備が出来ているというのは本当の事だ。もしも多数決で私が行かないことにでもなれば、軍費の浪費はやはり甚大だ。装備は個人に合わせて作るものも多いからな。それに闘いで雌雄を決するというのは確かにわかり易いかも知れぬが、実害というものも考慮して欲しいものだな」
 無駄な時間を使わせているという実害は考慮に値しないのかと言いたいのをやっと抑え、ロマは言いました。
「ではゼーゼス閣下にお聞きしたい」
 ゼーゼスは自分に水を向けられロマに視線を送ります。
「あなたの師団はどうなのです。派兵準備は整っておいでか?」
「いや。準備はまだこれからというところだ」
「ならば国庫からの無用な支出を抑えるという事で今回あなたの師団は次回に繰越という事で納得できまいか。ここに居られる諸氏もそれが一番と思っていると思いますが?」
 周りを見渡せば僅かながら、ロマの言うことに頷く元帥も居ます。
 ゼーゼスはロマが女であるが故に彼女の意見を受け入れる事自体が面白くないという気持ちもありました。不服そうな顔をしています。
 しかし今般の獣人討伐において国王から厚い信頼を得た彼女に国庫の話を持ち出され、もしもこの話が元老院会議にかけられれば、いい面の皮であるのは明らかであるのは良くわかっていたので、不承々々に頷かざるを得ませんでした。
 頷きながらも腹立ち紛れに毒づきます。
「第七師団では甚だ不安が残るが!国家の損失を回避するためとあれば致し方ない!」
「その言葉、一言一句変えずにお返し申す」
「しっかりお役目に勤める事を願うばかり」
「ゼーゼス殿は鏡に向かって話をするのがお好きなようだな」
 ゼーゼスは立ち上がって卓に音が出るように両手を突くと憎々しげにドリエステルをにらみつけてから部屋を立ち去りました。
 ロマは心底あきれました。実際の有事にこんな状態で本当に戦えるのか、と。
”まったくどうして五十男というものは詰まらん見栄ばかりはるのだ”
 結局その日の元帥会議で殆どの元帥がゼーゼス元帥の変わりにロマの第八師団を派遣する事が決定してしまい、彼女の初めての元帥会議は波乱の幕を閉じたのです。






 元帥会議が終えて、ロマに近づいて来たのはノーエル元帥でした。
「災難だったね。ガーラリエル元帥」
 ノーエルをチラリとみてヤレヤレと言う感じで首を振るロマ。
「放って置けばよかったのに」
「あんなこと時間の無駄です」
「まあ、気持ちはわかるがね。なんなら私が代わろうか?」
 何を今更。ロマは座ったままノーエルを見上げて言いました。身長190㎝はあろうかという屈強な体躯が天井に向かって聳(そび)えていました。
「いえ結構です。自分が言い出したことですから」
「そうか」
 ノーエルは肩をすくめました。
「気が変わったら何時でも言うといい。ああそれと・・・」
 ロマはノーエルに視線を合わせます。
「その軍服。なかなかいいな。似合ってる」
 なんだ。それが言いたかったのか。ロマはため息混じりに返答しました。
「どうも」
「それじゃ」
 ノーエルが行ってしまい、その様子を見ていたツェーデルが立ち上がってロマの方へと歩み寄ります。
「まったく」
「どうしたの?」
「ノーエル元帥」
「彼がどうかして?」
「あの人の言うとおりよ」
 ああ、と相槌を打ってツェーデルが微笑みます。
「ラティだって・・・」ロマはあ、と言うように口に手を当ててから言いなおしました。「魔法院長だって」
「もう誰もいませんよ」
ツェーデルがそういうとロマは軽く辺りを見回してから話を再開しました。
「ラティだってそう思っていたんでしょ?」
「まあ・・・ね」
彼女たちは年齢が10歳も離れていましたが、実は幼馴染で気心の知れた仲だったのです。
 ハアッと息を吐いて首をコキコキ言わせながらロマはツェーデルを見ます。
「口出しした手前、自分にお鉢が回ってくるのはわかってたけど、これから派兵準備なんて憂鬱。・・・まあいいけどね」
「そうなの?」
「ええ。国内にいるのは辛かったし・・・」
 ロマはそういってからハッとしたように視線をツェーデルから外しました。
「やっぱりまだ吹っ切れてないのね・・・あなたは陛下の言葉を・・・・」
「わかってる!」
 ロマはツェーデルの言葉を遮るようにして声を大きくしました。ツェーデルはロマが話をするのをじっと待ちました。
「陛下の言葉は・・・受け止めてる・・・」
「そうは見えない」
 しばしの沈黙の後ロマが口を開きます。
「私は・・・、・・・わたしは将来を考える年齢になったときには自分が軍人になることを望んでた。覚悟というより憧れがあった。・・・物心ついたときには母親は死んでたし、いつも父親を見て育ったし・・・」
 遠い視線で独り言のように言うロマの言葉をツェーデルは黙って聞いています。
「軍人と言う生き方がいちばん性に合ってる。そう思ってた・・・。近衛から軍に転属させられた時は愕然としたけど、兵士たちに囲まれている時がいちばん自分らしい気がしてた。でも・・・」
「でも?」
 ロマは両手の拳を握って口元を抑えます。わずかに震えているようでした。
「今回の事で私は自分の思いが本当であったかどうかさえ確信が持てなくなってしまった…」
 言葉を継げないロマを見てツェーデルは言いました。
「あなたの気持ちはわかるつもりです。でも現実は変わるものではありませんよ?だから陛下が仰ったのよ。乗り越えろと」
 簡単に言ってくれる。あの惨状を見ていないからあなたはそんなことが言えるのだ。ロマの心の中に浮かんだその言葉は口をつくことはありませんでした。が、それでも口調は刺々しくなります。
「私情で死んでしまった兵士(なかま)のことも受け容れろって言うの?」
「私情ですって?」
「そうだ!あの時私は獣人に怒りを覚えた。いくらかき消そうとしても父の顔が脳裏に浮かんだ。出征前のあの笑顔が何度も何度も。あのあと何度も後悔した。私が一緒に行っていれば父は死ななかったのではないかって・・・。・・・気が付けば私は怒りに任せて戦っている事に気が付いた。それでも自分を止めらんなかった!グナスの角を折り飛ばしたときに爽快感に胸がすく思いだった・・・でも・・・すぐにそんなものは消え失せた。・・・まさか・・・獣人が他者を守ることなど考えたこともなかった。そんな感情などあるわけが無いと思っていた。」
 ロマの瞼の裏にあのまがまがしい赤い球体が膨れ上がる様が浮かび上がり、彼女は寒気を感じて自分を軽く抱きしめました。
「父の作戦は獣人を圧倒出来ることを証明できた・・・だけどその作戦を台無しにしたのは私自身だった。・・・グナスを圧した時、優越感に私は酔った。こんな図体がでかいだけの惰弱な化け物に父は殺された。こんな奴に!この程度の化け物に!・・・」
 言葉を荒らげるロマの様子をじっと見るツェーデル。
「あの赤い球体が膨れ上がったときに私はやっと我に返った・・・。そして振り返って自分の愚かな所業に前進が泡立った。」
 ロマは瞼をぎゅっと閉じて歯をかみしめました。
「死んだ兵士達には家族もいる。恋人もいただろう。そのことを考えただけでわたしは死にたくなる・・・」
 指の開いた手で顔を掴むように覆って硬く目を閉じるロマにツェーデルは静かに言いました。
「あなた。神にでもなったつもりでいるの?」
 その言葉は辛らつでした。
「生殺与奪(せいさいよだつ)の権利など誰にもありはしません。時の流れが、そして運命が生命を導くのです。それは獣人にしても同じでしょう。争えば結局誰かが傷つくのです。しかし傷つくのを恐れていては国を守ることはできないのです。誰のせいでも無いとは言いません。でもあなただけのせいで無いのも事実です。陛下の言葉を思い出しなさい」
 ロマは暫く顔を覆ったままの手をそのままにしてジッと考えているようでした。いや、考えているようで実はホッとしていたのかもしれません。
 初めて弱音を吐いた。弱音を吐けるのはこの人にだけ。自分はこの三賢者に甘えたのだ。でもそうしたかった。
 ロマにとってツェーデルは三賢者であり、助言者でもありましたが、唯一心を開くことの出来る友人でもあったのです。自分の本音を吐露してようやく落ち着いた気がしたロマは椅子の背もたれに体を預け、髪を後ろに掻き揚げるとひとつだけ息をついていいました。
「うん。わかってる。いや、わかってた・・・。自分が進もうと決めた道の上にある運命なら、受け容れるしかないんだろうって・・・。でも」
「でも?」
「授与式で陛下の言ったとおり、前に進まなければと、たぶん今は思ってる」
「結構」
 ツェーデルはそう言って強くコクンと頷くと改めてロマに向き直りました。たぶんでもいい、今この人には立ち直ってもらわなければならない。ツェーデルは心の底から思い、そして今度は労わる様に言います。
「この国で、女の身でありながら元帥にまでなったのはあなたが初めてですからね。迷ったり戸惑うこともあるでしょう。私も出来る限りの助力はしたいと考えています」
「ありがとう・・・」
 無表情のまま頷くロマ。
「そういえばあの話は本当?」
「あの話?」
「兵士からも人気があるという話をききましたよ?あなたを崇拝している者も居るとか、居ないとか・・・」
 ツェーデルはクスリとして口を手の甲で隠しました。それを聞いたロマは少し慌てた様子で眉間にしわを寄せます。
「あれは違う!あんなこと真に受けないで!」
 ぶすっとして口をへの字にしたロマは腕を組んで天井を見上げました。その様子を見てツェーデルは微笑みます。
「兵士から信頼されるのは悪いことではないではありませんか。どんな形にせよ、ね。モルド大佐もあなたの事をお認めになったからこそ貴方は今の地位に居る。ちがう?」
 ロマはその言葉に言葉を返すことができず、自らの薄い唇に拳を当てました。
「本来なら大佐が今の私の立場だった・・・。我が国は君主制だから仕方ないのだろうけど・・・」
「ボルド=ロフォカッレ=モルドというお人の『人を見る目』には本当に感心させられます。もっとも軍隊と言う組織の中でだけの事なのかもしれませんが・・・。そうだとしてもあれ程人事に優れた人もいない。今のあなたを見るとそう思わずには居られない」
「・・・」
 かつての上官を誉められれば悪い気はしない。それでも自分のことを言われていると思うと素直に笑顔を浮かべる気になれませんでした。
「今の立場にご不満?」
「そういうわけじゃ・・・」
「本当は近衛隊長の副官でいたかった?」
「そうでも無いってさっき言ったじゃないの」
「あら、女言葉になったわ」
「ラティ・・・」ロマは一瞬間をおいてからチラッと隣に座っている楽しそうにニコニコしている自分より年上の女を見て言いました。「三賢者。そうやって私の反応を見て楽しむのが好きだな。あんまりいい趣味とは思えないけど?」
 ロマは軽くあきれるような目でツェーデルを見やります。
「ご心配なく。こんな事をするのはあなたにだけだもの」
 ツェーデルはこの女将軍に好意を抱いていました。軍司令官としての能力や魅力もさることながら人物の面白さは彼女の興味を引いてやまなかったからです。
「最初は私だって嫌だった。司令官なんてとんでもないと思った。だいたい最初に軍の司令官に推挙されたのはモルド大佐だったのはラティだって知ってるでしょ?」
「そうだったわね」
「それを国王陛下が却下して、その後で大佐が元老院で進言して・・・」
「と、いうよりあれは脅迫的な懇願だったわねぇ・・・」ロマの言葉を遮ってツェーデルがくすりと笑います。
「・・・陛下の心穏やかならずって表情は面白かったけど」
 そのときの一場面を二人ともが思い出していました。

 今から5年と少し前。第八師団の司令官を務めていた者が病気によって急逝してしまい、その後任人事を任された元老院議会は、満場一致を以ってモルドを第八師団の次期司令官に推挙したのです。
 ところが、その議決を持って国王評議会に臨むと。
「ならん!ならんぞ!モルドを軍の司令官にしてしまっては近衛隊はどうなる!?私の身を一番近くで守護する者はモルドでなくてはならん!・・・そうじゃ!モルド。そちが司令官に一番と思う人物を選べ!その者をお前の代わりに据えよう。そうじゃそうじゃそれがいい!」
 国王は狼狽するようにそう叫んだのです。

「あれは確かに見ものだったわね。まるで駄々っ子だったもの。ふふふ」
「でもその後が面白くなかった」
 ツェーデルは微笑みながら横目でロマを見ます。
「・・・どうして私を推したのか、しかも元帥会議では反対票が過半数だったのに、結局元老院議会で大顰蹙を浴びてまで決議を蹴って、最後には国王陛下まで一緒になって無理やり・・・・」

 第八師団にも他の師団にも司令官候補は何人か居ました。その資格があるかどうかは軍隊での経歴や人柄、風評にまで及ぶ評価によって選出されるのですが、最後に誰が就任するかを決めるのは主権者である国王なのです。
国王がモルドを手放したくないばっかりに常軌を逸したことを口走ってしまったのがロマの運の尽きでした。


 ロマを司令官に推挙した時のモルドの言葉です。
”私は近衛として陛下から信頼を頂いていることを生涯無上の喜びとしている。そうであるからにはその期待にこたえるために惜しまず心血を注がねばならない。それは陛下が私の主君であり、陛下のおわすこの国が私の血であり肉であり、ゆえにそれなしで私の存在はありえないからだ。
その為に、全てにおいて優先されるのは国家の保全、安寧、発展のために必要とされる事を躊躇うことなく口にし、迷うことなく実行に移すことだと私は信じている。
英俊豪傑(えいしゅんごうけつ)、用兵に際立つ才を発揮するガーラリエルを第八師団の司令官に推挙するのはこれが理由と思っていただいてかまわない。

陛下からの信頼の気持ちに無上の喜びを感じ、王国の安寧にそして発展に心を砕こうにも、実も志も伴わなければそれはただの絵空事に過ぎない。自分が信ずる正しいことを言わなければ、私は主君から取立てられていることに浮かれている、ただの木偶人形以下の虚言者になってしまう。
そうなればどんな事を言ってもただの成り上がりの理想論者と蔑まれ、何を言ったとしても、誰1人として受け容れることはないだろう。
だが私はそうなるつもりは無い。
私は生まれついての軍人だ。だから私の規準は軍隊的だ。
その畑で長年に渡って培われた私の経験が、ガーラリエルを近衛に収まらせてはいけないと頭の中で囁き始めた日から、陛下のために第一線で働くことでこそ、彼女の力が発揮される唯一最大の国家への貢献と考えていた。その思いは今でも揺るがない。
もしも私のこの進言が受け容れられないとすれば、それは陛下に対しての離反行為であり、国益を損わせようとする反逆に等しい恥ずべき行為だと私は認ずる。
主君にお仕えする上でそれほどまでに経験、知識、年功序列が重視されるのならば、私は暇を頂きたい。私より経験も知識もある年長者は腐るほど居る。私が近衛の首座に居ても煙たいだけだろう。身を引かせていただく。
言いたいことは以上だ。元老院議員方々のご賢断を期待する。”


 この発言は響動(どよめき)を呼びました。
 国王からこの上ない信頼を得ている近衛隊長とはいえ、あまりにも近視眼的かつ断定的で、ともすれば強圧的だと元老院議員からの非難が噴出したからです。
 しかし、モルドはその非難をものともせず、ただ座して結果を待ったのです。
 そして国王はこのモルドの『暇をもらう』という言葉を聞くや否や彼の言葉を全面的に支持。結局ロマは司令官になりました。
 これは鳴り物入りと言って良い出来事でした。それだけに後々まで物議をかもすこととなったのですが、ある事件をきっかけに彼女は元老院の貴族たちから絶大なる支持を得ることになるのです。


「確かに当時の元老院のモルド大佐に対する感情はわからなくはなかった。・・・でもあなたを見ていると私はいつも思うのです。あのときの彼の進言、『英俊豪傑(えいしゅんごうけつ)、用兵に際立つ才を発揮する』の言葉は間違っていなかった。
今日の会議中のゼーゼス元帥たちのやり取りだって他の元帥たちはまるで対岸の火事のように傍観を決め込んでいたのに、あなたはその火事に自ら飛び込んだ上に見事に鎮火してしまった」
 はぁっと息を吐くロマ。
「おかげで少し火傷をしたけどね。・・・でも買いかぶりすぎよ」
「そうやって何に対しても体でぶつかってゆく。無謀で向こう見ずなのに・・・・どうしてなのかしら。あなたが動くとなぜだか物事がいい方向に動く気がする」
「いい方向?冗談言わないで・・・」
 脳裏を過ぎるのはグナスとの闘いです。と、そこでツェーデルがクスと口元を笑わせます。
「なに?」
「司令官就任式の時」
 ロマは頭を抱えました。
「もうやめて!」
「女の司令官に従う事に不服だった上級士官を含む兵たちと素手でやりあったあの時・・・私はどうしようかと本気で思いましたけどね・・・。まさか1000人もの兵士を伸してしまうなんて。あの時は髪を振り乱した悪鬼なんて言われてましたよねぇ・・・。髪を短くしたのはそのせいかしら?」
 そういってツェーデルはクスクスと可笑しそうに笑いました。
「違うわよ。近衛と違って軍隊に居ると泥汗まみれになるし、長い髪は洗うの大変だから。・・・・それにしても悪鬼とか豪傑とか・・・」
 これでも自分は女なのに。ロマは目を閉じて勘弁してくれという表情になります。
「あの時はね・・・男のくせに、女だからどうだとか男でないとどうだとかせせこましい理屈をごちゃごちゃごねているチンケな男どもの姿を見ていたらどうにも我慢できなかった。しかもその矛先が自分に向かっているとわかった時にはとまらなかったわよ。頭が真っ白になるってのはあのことね。いい恥をかいた」
 ツェーデルは突然前方を指差しました。
「そんなにわたしがいやならお前が司令官になれ!」
 その言葉を放った直後に目の前にいた兵士の一人を投げ飛ばしたのが開始の合図でした。
「もう・・・・言わないでよ・・・それ」
「だって語り草ですもの・・・・1000人相手に喧嘩を始める前に切った啖呵が冗談めいた風潮にまでなって」
 ロマは頭を抱えて大後悔の図です。
「・・・言うんじゃなかった・・・・」

 この事件で、まずその女丈夫ぶりに惚れ込んだのは元老院貴族の面々でした。なぜなら貴族たちは王国内に所領を持つ身であり、そうであるからには王国に兵力を提供する義務があります。すなわち彼等は血気盛んな若かりし頃にはノスユナイア王国の兵士として従軍していて、領民はもちろんのこと、自らの子や孫も同じく士官であり兵士なのです。
 そんな彼等にとって、自分の、そして自分の息子や娘の上官がただ有能なだけでは尊敬は出来ても意に感ずるところは何もありません。ロマが堪忍袋を爆発させただけでも何も思わなかったでしょう。噂に上るとしても短気な女の司令官がヒステリーを起こしているぐらいだったに違いありません。
 肝心なのはロマが屈強な軍人1000人を相手に大立ち回りを演じて、しかも勝ってしまった一事です。その勇猛さが貴族達の心の琴線を大きく振るわせ、武人でもあった貴族たちはロマに喝采を送り始めたのでした。
 ノスユナイア王国の軍人は戦いに赴くときに星神という守護神に武運長久と守護を祈りますが、この星神が女神であったことから事件を知った国民たちはロマを重ね合わせて女神の降臨などと騒ぎ、その話はたちまち国中へと広がったのです。
 その影響からか、兵士たちもロマを排斥しようとしなくなりました。
  そして。
 誰かがロマの命令や提案に不服を漏らすと、違う誰かが必ず「だったらお前が司令官になれ!」とか「貴様が出世するまで待てん!」という言葉を口にし、そのやり取りは必ずロマが居るところで行われたので、その言葉を言った者も不服を言った者も彼女にぶっ飛ばされました。もちろん理不尽なことを言って文句を言われているわけではなく、軍人であれば当然ということばかりです。どんな組織にも不服を言う者がいることは仕方の無いことです。

 そして元帥だからと言って兵員と違う食事をすることも無く同じ食事を口にし、訓練も兵に混じって自ら汗を流す、訓練の最中に何か問題が起これば真っ先にそこに駆けつけるなど、ツェーデルは実力だけでなくロマのそういった兵士たちに近しい所が好かれる要因なのだと考えていました。
 漏らした不服や不遜な態度を取る兵士たちは罰則という形でやり込められていましたが、体面や風評を考えるあまりに、目だった事はせずに陰湿な罰則を与えたりする上官が多いのですが、ロマは拳で応えて以降はお咎めはありませんでした。勿論正式に寄せられた質問や不服に対してはそれなりにきちんと対処していたようですが、士官を含めた兵士たちはこの実にわかり易い人物に好感を持ったのです。
 ロマは自分が掲げる軍人として守るべき事に反した者たちに対しては、是非もなく断固とした処置をとります。とはいえ一部の兵士たちの悪ふざけであるロマの名言の流行に対してはあくまで個人的な感情の発露で、馬鹿にされたとはいえいきなり殴り飛ばされるなど常人であればたまったものではありません。が、兵隊たちは誰もが屈強な戦士たちだったので、殴られる事ぐらい何でもありませんでしたし、喧嘩1000人のときに参戦しなかった者は彼女の力をしっかりと心に焼き付けるために『あの方には一度は殴られておかないと』と、半ば本気で思っていて、風潮にまでなっていたのです。

「さすがに最近はもう言われなくなったけど、ね」
「好かれているからよ。男なんて基本的に甘えん坊ですからね。でもあなたはどんな失敗をしたとしても決して兵士を口汚く罵ったりしない。矛盾しているけど、言葉遣いが乱暴なのに女らしいと感じるのはなぜなのかしら。・・・亡くなられたお父様のお仕込みが良かったのかしらねぇ・・・。いずれにしてもとても良いことだと思いますよ。それに楽しそう」
「楽しそう?まさか・・・」ハハハと笑うロマ「最近は規律もしっかり守ってるし、物足りないといえば物足りないけど・・・・旅団長や上級士官たちがしっかり教育してるから私も助かってる」
 ツェーデルはにこやかな表情で首を左右に振りました。
「楽しそうと言ったのは兵士たちが、という意味よ」
「えぇ?」
「あなたが着任する以前の第8師団は・・・、まああれが軍隊というならそうなのでしょうけど、他の殆どの師団同様に上官と士官たちは信頼関係で結ばれているというより、仕事だからやってるという紋きり型で事務的な空気が濃かったのよ。本来はそれでいいのでしょうが・・・」
「ふうん・・・」
 現在の平和とも言える状況下で軍隊組織は必ずしも必要ないかもしれませんが、必要なくとも存在するからこそ平和が保たれているのも事実でした。
 平和になれば兵士というものは緩みを見せ始め誰が司令官になっても、誰が自分の上官になってもあまり必要以上の感情を持ちませんでしたし、気持ちの上での緊張も薄れていきます。
 ツェーデルは思い深げに言いました。
「自分が誰かにしたことや言った事、そしてそのとき持っていた感情がその対象者にどんな気持ちを抱かせてしまうのかをわからない者やわかっているのに自制できない者は多い。
 上に立つ者ほど些細な事でも行動や言動に自己を律して望まなければ、いつか自分自身が窮地に追いやられる・・・、そういう事をわからない人は本当に多いものよ。
 そんな人たちには他者を導くことは到底叶わない事です。私はそういう意味ではあなたの司令官としてのあり方は決して間違っては居ないと思っています。大変でしょうがあなたが司令官に納まっている間は私も安心して自分のことに専念できますからね。頼りにしているんですよ。閣下」
 自分が自己を律しているとはとても思えない。ロマは内心ではそう思いながらツェーデルを横目で見て頭を左右に振りました。
「そうやって持ち上げても何もでないわよ」
「ふふふ・・・・」
 平和であれば、つまらないことで連帯が揺らぎ諍いさえ起こってしまう軍隊。それは軍隊という組織が持つジレンマでしたが、その二律背反を自然に解消できる者などまさに稀有の存在といえるでしょう。
  ロマはきっと神からその能力を授けられた数少ない者の一人なのだ。ツェーデルは改めて少しばかり疲れた顔をしているロマを親しみを湛えた表情で見つめたのでした。



続く・・・・・・・・・・・・・・・・>>>









情報◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【ノスユナイア王国 国王】
本名マラッガス=アジン=テラヌス。テラヌス王朝第36代国王。
即位は43年前。
太陽の王と呼ばれて国民から慕われている善政の人。70歳という高齢にも関わらず壮健。健啖振りをローデンに戒められることが多い。
もともと軍人肌の人で、国王でありながら18年前まで第7師団の司令官を務めていたが、体力的に公務と軍務の両立が難しくなってきたことを理由に退官した。

【カズール=ドルバ=ドリエステル】
ノスユナイア第七師団司令官。元帥。53歳。
常に落ち着いた口調で話す人だが、日頃からそれが癇に障るとゼーゼスは言っている。若い頃は現在の国王が指揮していた第7師団にドリエステルと共に所属していて、二人とも旅団長だった。当時から仲が悪かったが、国王は切磋琢磨する仲であると言って気にも留めなかった。
18年前に公務と軍務の両立が難しいという理由で軍を退官した国王から第七師団司令官を任せられた。

【アナン=ログロック=ゼーゼス】
ノスユナイア第一師団司令官。元帥。54歳。
18年前に国王からドリエステルを第七師団司令官に任ずるという言葉を聴いたときは退官を考えたという。国王もそれをわかっていたのか、それから数ヵ月後に第一師団司令官の引退で席が空いたのを機にゼーゼスを後釜にし、落着した。
ドリエステルとは寄るとさわると言い争いをはじめる仲。元帥会議では二人のうちのどちらかがいないと皆ホッとするほど。

【アローダ=オズ=ノーエル】
ノスユナイア第五師団司令官。中将34歳。
27歳の時にレアン共和国に派兵され、かの地で隊商に同行。フラミア連邦王国への途上(フラミア連邦王国とサホロ公国の国境において)竜人デザーンの襲撃に遭い、戦うというノスユナイアでは数少ない経験を持つ軍人のひとり。当時はまだ司令官ではなかったが、デザーンを撃退したそのときの働きは同行していたレアン共和国人や同国の兵士などから噂が広まりノスユナイア国王が知るところとなった。第五師団の前任者が老齢のため退官した後を引き継ぐよう国王から任命されたのは29歳の時。元帥号はデザーンとの戦いにおいて一人も死者を出さず、隊商の被害もまったくなかったことによって与えられたが、過去に遡っての勲功授与に一部の司令官からは「おまけの元帥号」と揶揄されてる。しかし当人はまったく気にしていない。

【バラム=アガレス国務院長】
本名バラム=アガレス。年齢56歳。
国務全般を取り仕切る官僚組織の長。国王と官僚の間に挟まれていつも苦労している。
体重100キロを越える巨漢で汗っかきの人物。「左様」が口癖。絶えず小さなハンカチで顔を拭いている。

【喧嘩1000人】
ロマの残した伝説的逸話。貴族たちがロマに好意的である最大の要因となった出来事。
誰かがこの話をするときには喧嘩という派手な言葉で終始するだけで終わるが、実はこの喧嘩で彼女の実力を垣間見ることができる。それは彼女の霊牙力制御とその持続力が群を抜いているという事である。
霊牙力は魔法使いの魔力同様に限界がある。霊牙力を放出しきってしまえばロマとて普通より少し強い程度の女である。だから通常1000人と戦うなど考えることもないし、喧嘩相手も霊牙力を使うのだから現実的でもない。しかしいくら頭にきていたとはいえ、対する相手によって霊牙力を微調整して使うことでもしなければ、つまり力押しだけではとても出来ることではないのも事実。並外れた体術の巧者でもある。
ただ相手が女だという理由で兵士たちが及び腰になっていた可能性もある。ひょっとすると彼女はそういうことをすべてわかった上で喧嘩を楽しんでいたのかもしれない。

【神貴賜名:しんきしめい】
マシュラ族の文化で姓名の上につくもの。
これは友人同士や知らない者同士で使われることは無い。どういったときに使われるのかというと、国王から呼ばれる時だけに使われる。
一般人には不要なものだが、必要になった時に神官から授けられることがほとんど。

例)
ローデン→ソルネイド=ローデン=エノレイル。
モルド→ボルド=ロフォカッレ=モルド

セノンやハーフセノンにこの文化はないので、カレラ、カーヌ、ディオモレスにも神貴賜名は無い。爵位付きの姓か名で呼ばれる。
国王の神貴賜名は他国の元首や王から呼ばれる際に使われることもあるが、たいていは国名+陛下、または王、国王など。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...