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氷室の水禍
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「テナ! あそこ! テナが作ったかまくらのある遺跡!」
「ミ゛ッ!」
遺跡に入ると、立派な雪のドームは健在だった。俺たちはかまくらの中に入るが、じっとしているわけにはいかない。
龍の吐しゃがどれだけ続くか不明なのだ。
「ミ゛ッ! ミ゛ッ!」テナがかまくらの出入口を指さす。
テナの言う通り、水が入ってこないよう出入口を塞がねば。
「出入口があるって素敵!」
シルヴィアじみたことを言いながら、俺は背負い箱でかまくらの出入口を塞いだ。
「あらぴったり――」
――などと都合よくいくわけもない。実際、隙間がある。
「テナ、背負い袋下ろして切ろう!」
「にゃ!」
背負っていた皮のリュックを下ろしたテナに、俺は背負い箱からナイフを取り出して渡した。
テナがちょうどいいサイズにリュックを切っていく間に、俺は箱から白皮樹の皮と樹液の入った瓶を取り出していく。
「ニャッ! デキタッ!」
・リュックになる前 ×1(New!)
「手際よすぎぃ!」
風呂敷のように広げられたリュックだったものに、俺は白皮樹の樹液を染み込ませ、皮を貼り付けていく。
「にゃにゃにゃにゃッ!!」テナも加勢し、リュックだったものは防水と防寒に優れた新アイテムとなる――
・リュックになる前デラックス ×1(New!)
――最高だ。
残った白皮樹の樹液を背負い箱にも塗りたくって準備万端。俺たちは入口を箱で塞ぎ、さらに隙間を『リュックになる前デラックス』で塞いだ。俺たちは暗闇に包まれる。
あとは水が入ってこないように『リュックになる前デラックス』を引っ張りながら、時が過ぎるのを待つだけだ。
ズズズズ……と大きなものがゆっくり這いずる音と、どぼどぼと吐しゃ物が落ちてくる音。それらが近づき、俺たちがいる遺跡の周囲をうごめく気配があった。
(来た……!)
どろどろとした水がかまくらの中に侵入しようとしているのを感じたが、流石は『リュックになる前デラックス』……水漏れはない。
ゲロス攻撃は終わったらしく、再びズズズズ……と龍が移動を始めた。
閉ざされたかまくらの暗闇の中、テナが腰に尻尾を巻き付けてくる。
「こわい」
「俺も」
後は祈るばかりだ。
「テナ、息を整えるんだ。テナのかまくらが立派なおかげで大丈夫だとは思うが、空気に限りがある」
テナは小さく「うん……」と答え、身を寄せる。
長い緊張の後、龍らしき気配は離れていった。
「テナ、もう怖くないか?」
「うん、遠くに行ったみたい」
「どこに向かっているか、分かるか?」
「多分、第3領域の方だと思う」
第3領域――『氷河の流刑地』か。
「……ルウィン、あの龍ってどこから来たのかな」
「とこからってそれは――」
俺はふと、自分があの龍を目の前にして思ったことを繰り返す。
『えらがある……水棲の生き物の特徴だ。長い背びれもまるで魚のものに見えるが……』
「――そうか、あの龍は湖から来たんだ。水龍種なのかもしれない」
ふと合点がいったその時、テナが俺の服の裾を引っ張ってきた。
「キャルはどうなるの……?」上ずった声でテナが言うと、俺は思わず自分の口を手で押さえる。
「……やばい!!?」
必死過ぎて、完全に忘れていた。
「ミ゛ッ!」
遺跡に入ると、立派な雪のドームは健在だった。俺たちはかまくらの中に入るが、じっとしているわけにはいかない。
龍の吐しゃがどれだけ続くか不明なのだ。
「ミ゛ッ! ミ゛ッ!」テナがかまくらの出入口を指さす。
テナの言う通り、水が入ってこないよう出入口を塞がねば。
「出入口があるって素敵!」
シルヴィアじみたことを言いながら、俺は背負い箱でかまくらの出入口を塞いだ。
「あらぴったり――」
――などと都合よくいくわけもない。実際、隙間がある。
「テナ、背負い袋下ろして切ろう!」
「にゃ!」
背負っていた皮のリュックを下ろしたテナに、俺は背負い箱からナイフを取り出して渡した。
テナがちょうどいいサイズにリュックを切っていく間に、俺は箱から白皮樹の皮と樹液の入った瓶を取り出していく。
「ニャッ! デキタッ!」
・リュックになる前 ×1(New!)
「手際よすぎぃ!」
風呂敷のように広げられたリュックだったものに、俺は白皮樹の樹液を染み込ませ、皮を貼り付けていく。
「にゃにゃにゃにゃッ!!」テナも加勢し、リュックだったものは防水と防寒に優れた新アイテムとなる――
・リュックになる前デラックス ×1(New!)
――最高だ。
残った白皮樹の樹液を背負い箱にも塗りたくって準備万端。俺たちは入口を箱で塞ぎ、さらに隙間を『リュックになる前デラックス』で塞いだ。俺たちは暗闇に包まれる。
あとは水が入ってこないように『リュックになる前デラックス』を引っ張りながら、時が過ぎるのを待つだけだ。
ズズズズ……と大きなものがゆっくり這いずる音と、どぼどぼと吐しゃ物が落ちてくる音。それらが近づき、俺たちがいる遺跡の周囲をうごめく気配があった。
(来た……!)
どろどろとした水がかまくらの中に侵入しようとしているのを感じたが、流石は『リュックになる前デラックス』……水漏れはない。
ゲロス攻撃は終わったらしく、再びズズズズ……と龍が移動を始めた。
閉ざされたかまくらの暗闇の中、テナが腰に尻尾を巻き付けてくる。
「こわい」
「俺も」
後は祈るばかりだ。
「テナ、息を整えるんだ。テナのかまくらが立派なおかげで大丈夫だとは思うが、空気に限りがある」
テナは小さく「うん……」と答え、身を寄せる。
長い緊張の後、龍らしき気配は離れていった。
「テナ、もう怖くないか?」
「うん、遠くに行ったみたい」
「どこに向かっているか、分かるか?」
「多分、第3領域の方だと思う」
第3領域――『氷河の流刑地』か。
「……ルウィン、あの龍ってどこから来たのかな」
「とこからってそれは――」
俺はふと、自分があの龍を目の前にして思ったことを繰り返す。
『えらがある……水棲の生き物の特徴だ。長い背びれもまるで魚のものに見えるが……』
「――そうか、あの龍は湖から来たんだ。水龍種なのかもしれない」
ふと合点がいったその時、テナが俺の服の裾を引っ張ってきた。
「キャルはどうなるの……?」上ずった声でテナが言うと、俺は思わず自分の口を手で押さえる。
「……やばい!!?」
必死過ぎて、完全に忘れていた。
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