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氷室の水禍
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「「ええ゛~~~~!?」」
シルヴィアとスーシーが同時に声を上げる。
「ま、待ってくださいまし! どういうことですの?」
「奥様! 私も分かりません!」
無理もない。だがエルフたちが驚愕する一方で、テナの表情は明るくなった。
「……待ち伏せだ!」
その通り。氷のダンジョンに潜り慣れていれば気づくことだ。
俺はシルヴィアとスーシーにも分かるよう、白い地面にダンジョンの簡略図を書きながら説明する。
「俺たちは第5、6領域を経由して第1領域まで戻り、さらに第2領域に向かいます」
「「ふんふん」」
「そこから、龍が向かっている第3領域に直通している『氷面水槽』……魚が見える通路ですね。その通路を出て第3領域に入った直後、第4領域に繋がる長い通路が正面に見えてきます」
「「あっ……」」
「龍が通路から顔を出す、その時……エルフの蹴撃が龍の逆鱗を穿つでしょう」
「「ああ゛~~~~」」
シルヴィアとスーシーはのけぞってから、急に落ち着いた表情でお互いの顔を見合った。
「なんだか、昔を思い出しましたわ」
「私もです、奥様」
どんな過去だろうか。と思ったが、エルフの思い出語りには一日では足りない。聞かずにおこう。
ともかくエルフたちは乗り気になってくれたらしい。
だがやはり、相棒の意見が聞きたい。
「テナ、どうかな」
テナは短剣を大事そうに見つめていたが、すっと顔を上げる。
「少しこわいけど、こわくないよ」
暗い色の瞳が、きらめいて見えた。
これで決まりだ。
「キャルさん救出作戦、開始ッ!」
「「「おーッ!」」」
俺たちは龍よりも先に第3領域へと向かった。
§ 氷のダンジョン 第3領域 『氷河の流刑地』 §
氷のダンジョン、第3領域は『氷河の流刑地』――これからここは、水のダンジョンから流されてきた水龍の流刑地となる。
静寂の中、氷面水槽の出口付近でその時を待った。
ズズズズ……
遺跡と流刑地を繋ぐ通路を這いずる龍が、地面を削って不気味な音を立てている。その時は近いらしい。
「龍よ龍よ、怒らず聞いて? ほんの少しだけでもいいから、ボクにあなたの炎を分けて」
テナの小さな声に、地獄の小炎が目を覚ます。炎を受け取るように、シルヴィアは矢を地獄の小炎に近づけた。
「獄炎の纏い」
炎が矢に吸い込まれていったかと思えば、矢は赤く輝く。
「ゆきます」
シルヴィア=ミンタエディナ――彼女は今まさに、龍にとっての処刑人だった。光輝の大長弓を蹴る姿勢で構え、槍のような矢をつがえる。
と、流刑地に龍が顔を覗かせた。よほど疲弊しているらしく、警戒するそぶりもない。龍はそのまま、湖へとその巨体を動かしていく。
「エルフの獄炎――」
「――蹴撃」
紅蓮の矢が炎槍のごとく竜の喉元を貫いた。
しんとした空気の中、龍は動きを止め、ゆっくりと地に伏していく。
刑は今ここに、執行された。
シルヴィアとスーシーが同時に声を上げる。
「ま、待ってくださいまし! どういうことですの?」
「奥様! 私も分かりません!」
無理もない。だがエルフたちが驚愕する一方で、テナの表情は明るくなった。
「……待ち伏せだ!」
その通り。氷のダンジョンに潜り慣れていれば気づくことだ。
俺はシルヴィアとスーシーにも分かるよう、白い地面にダンジョンの簡略図を書きながら説明する。
「俺たちは第5、6領域を経由して第1領域まで戻り、さらに第2領域に向かいます」
「「ふんふん」」
「そこから、龍が向かっている第3領域に直通している『氷面水槽』……魚が見える通路ですね。その通路を出て第3領域に入った直後、第4領域に繋がる長い通路が正面に見えてきます」
「「あっ……」」
「龍が通路から顔を出す、その時……エルフの蹴撃が龍の逆鱗を穿つでしょう」
「「ああ゛~~~~」」
シルヴィアとスーシーはのけぞってから、急に落ち着いた表情でお互いの顔を見合った。
「なんだか、昔を思い出しましたわ」
「私もです、奥様」
どんな過去だろうか。と思ったが、エルフの思い出語りには一日では足りない。聞かずにおこう。
ともかくエルフたちは乗り気になってくれたらしい。
だがやはり、相棒の意見が聞きたい。
「テナ、どうかな」
テナは短剣を大事そうに見つめていたが、すっと顔を上げる。
「少しこわいけど、こわくないよ」
暗い色の瞳が、きらめいて見えた。
これで決まりだ。
「キャルさん救出作戦、開始ッ!」
「「「おーッ!」」」
俺たちは龍よりも先に第3領域へと向かった。
§ 氷のダンジョン 第3領域 『氷河の流刑地』 §
氷のダンジョン、第3領域は『氷河の流刑地』――これからここは、水のダンジョンから流されてきた水龍の流刑地となる。
静寂の中、氷面水槽の出口付近でその時を待った。
ズズズズ……
遺跡と流刑地を繋ぐ通路を這いずる龍が、地面を削って不気味な音を立てている。その時は近いらしい。
「龍よ龍よ、怒らず聞いて? ほんの少しだけでもいいから、ボクにあなたの炎を分けて」
テナの小さな声に、地獄の小炎が目を覚ます。炎を受け取るように、シルヴィアは矢を地獄の小炎に近づけた。
「獄炎の纏い」
炎が矢に吸い込まれていったかと思えば、矢は赤く輝く。
「ゆきます」
シルヴィア=ミンタエディナ――彼女は今まさに、龍にとっての処刑人だった。光輝の大長弓を蹴る姿勢で構え、槍のような矢をつがえる。
と、流刑地に龍が顔を覗かせた。よほど疲弊しているらしく、警戒するそぶりもない。龍はそのまま、湖へとその巨体を動かしていく。
「エルフの獄炎――」
「――蹴撃」
紅蓮の矢が炎槍のごとく竜の喉元を貫いた。
しんとした空気の中、龍は動きを止め、ゆっくりと地に伏していく。
刑は今ここに、執行された。
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