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第1話 解雇は突然に
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「フィーナ・オルパス、あなたを解雇いたしますわ」
「……え? 何の話でしょうか?」
(な、なんだってー!!)
突然獣舎に現れたアンジュ王女が、ボクたちの愛するフィーナに告げた。
(フィーナが解雇?)
(いったいどういうこと?!)
(フィーナがいなくなるなんてそんなの無理だよ!)
他の魔獣たちも驚きのあまり声をあげている。
ここはエルドラード国の王宮内にある魔獣騎士団の獣舎。
フィーナは、僕たち魔獣のお世話をしてくれている掃除婦さんだ。
とっても働き者で優しくて、ボクたちのことをよく理解してくれる。
でも、この王女様は違う。僕たちを睨め付けながら「ガウガウうるさい魔獣たちね」と言い放った。
いつも意地悪してくるので、僕たちの大嫌いな人だ。
解雇……。それは、フィーナがいなくなるってこと。
「あら、詳しい説明が必要なのね。――出来損ないのくせにグランディ様に取り入って王宮に居座るなんてみっともないってことよ」
「ですが、騎士様たちが留守の間残った魔獣たちのお世話を頼まれていて……」
グランディは、僕をテイムしたご主人様。魔獣騎士団の団長だ。
フィーナのことをとても信頼している。
こんな話聞いたら絶対に止めるはず。
といってもご主人様たち騎士は今隣国との合同演習であと十日は帰ってこない。
(ねえテオ、どうするのよ)
隣の檻にいるオオカミの魔獣ミリが声をかけてきた。
(ボクが怪我してなければすぐにご主人様を呼びに行くんだけど……)
(この女、みんながいない時を狙ってきたのよ。ほんと意地悪いんだから)
王女様に向かってこの女呼ばわりなんて口の悪い魔獣だ。だけど、本人には何を言っているかわからないからいいだろう。それにボクも同感だ。
「私が新しい掃除婦を雇ったから大丈夫よ。それにこのことはグランディ様も了承済みなの。あなたはもう不要なんだからすぐに出て行ってちょうだい」
ご主人様が了承済み? そんなわけないじゃないか!
そんな嘘ボクには通用しないぞ。
演習に行く前だってフィーナのことをすごく心配してたんだから。
「すでに新しい方が決まってらっしゃるのですね……。わかりました」
フィーナは頭を下げながら頷いた。
それに満足した王女は獣舎から出ていく。
(えー! だめだよフィーナ行かないでよ)
(そうだよ新しい人なんていらないよ!)
「みんなごめんね。王女様からの命令は逆らえないから。新しい方も来てくれるようだし」
フィーナはテイムしていない魔獣とも会話をすることができる。
このことはご主人様は知っている。けれど、掃除婦にそんな能力があるなんて、と良く思わない騎士もいるかもしれないと他の人には黙っている。
(本当に出ていくの?)
「うん。これから宿舎の荷物をまとめて出ていくわ」
(せめてご主人様が帰ってくるまで待ったら? ちゃんと話をした方がいいよ)
「心配してくれてありがとうテオ。でも、グランディ様に迷惑はかけられないから」
フィーナは悲しそうに手に持っている箒をギュッと握る。
ここを出て行きたくないのだろう。
帰る場所だってないはず。
(あんな女の言うことなんて無視してここにいればいいじゃない。私たちにはあなたが必要よ)
「ありがとうミリ。でも、そういうわけにはいかないわ」
(フィーナ……)
「みんな、元気でね。演習に行ってる他の子たちにもよろしく。騎士様たちの言うことをよく聞いてね」
残っている魔獣一人一人を優しく撫でてからフィーナは獣舎を出ていった。
(ねえテオ、早くグランディのところへいって知らせてきなさいよ。騎士たちのところへ行けるのは今はあんただけなんだから)
(できるならボクだってそうしたいよ。でも、今は飛べないからこうして留守番してるわけで……)
(何言ってのんよ。それでもA級魔獣グリフォンなの?! その立派な羽は見せかけなの?! 本当にもう一生フィーナに会えなくてもいいの?!)
フィーナに、一生会えない……?
『テオ、お疲れ様。ゆっくり休んでね』
『今日とっても活躍したんでしょ? テオはすごいねぇ』
『怪我したの? 大丈夫、すぐに良くなるよ』
フィーナはここの魔獣たちのことをすごく大事にしてくれていたし、みんなと居られて幸せだと言っていた。
でも、時々アンジュ王女に嫌がらせを受けていた。
口にはしないけど、きっとつらい思いをしていただろう。
だからここから離れた方がいいのかもしれないと見送ってしまった。
だけど、優しい笑顔を、光を帯びる温かい手を、忘れることなんてできない。
それにみんなも、フィーナが出て行ってパニックになっている。
ボクが、行かないと!
足に繋がれていた鎖を引きちぎり、怪我のため休めていた羽を広げる。
まだ完全に治っていないけど、ちゃんと飛べそうだ。
(さすがテオ! 行ってらっしゃい!)
仲間たちに見送られ、獣舎を飛び出す。
王宮の上空を舞った瞬間、守衛騎士たちが騒ぎだしたけれど、誰もボクを捕まえることなんてできない。
どこにいるか場所を知っているわけじゃないのに迷わず飛べるのは、テイム者の魔力を追うことができるから。
本調子ではないから思ったよりスピードが出ない。
フィーナ、すぐに出ていくって言ったけど、どこに行くんだろう。
以前、もう家には帰れないって言ってた。だったらずっとボクたちと一緒にいればいいよって話をしたのに。
フィーナは優しくて素敵な女性だ。でもそれだけじゃない。彼女の持つ力は、ボクたちにとって特別なんだ。
その力はご主人様も、フィーナ本人も知らない。
フィーナが、治癒魔法を使えるということ。
人にではなく、魔獣や魔物に対してだけ使えるその力。
どんな傷も癒してしまうその魔法は、本人も知らないうちに使っている。
自覚していないから、いつも癒してもらっているわけではないけど、それでいいと思っていた。
バレてしまえばきっと危険に晒される。
負傷した魔獣を癒すために戦地に同行させられたり、魔獣を不正売買する悪い組織に狙われることもあるかもしれない。
彼女を守るために魔獣たちは秘密にしていた。
でも、もう隠しておくべきじゃないのかも。
いやでも、やっぱり言わない方がいいのかな。
フィーナが特別な力を持っているとわかったら、それこそ獣舎には帰ってこないかも。
それは……寂しい。
なんて言ってる場合じゃないっ!
痛む羽を最大限羽ばたかせ、スピードを上げる。
「フィーナが解雇されたって早くご主人様に伝えなきゃ!」
「……え? 何の話でしょうか?」
(な、なんだってー!!)
突然獣舎に現れたアンジュ王女が、ボクたちの愛するフィーナに告げた。
(フィーナが解雇?)
(いったいどういうこと?!)
(フィーナがいなくなるなんてそんなの無理だよ!)
他の魔獣たちも驚きのあまり声をあげている。
ここはエルドラード国の王宮内にある魔獣騎士団の獣舎。
フィーナは、僕たち魔獣のお世話をしてくれている掃除婦さんだ。
とっても働き者で優しくて、ボクたちのことをよく理解してくれる。
でも、この王女様は違う。僕たちを睨め付けながら「ガウガウうるさい魔獣たちね」と言い放った。
いつも意地悪してくるので、僕たちの大嫌いな人だ。
解雇……。それは、フィーナがいなくなるってこと。
「あら、詳しい説明が必要なのね。――出来損ないのくせにグランディ様に取り入って王宮に居座るなんてみっともないってことよ」
「ですが、騎士様たちが留守の間残った魔獣たちのお世話を頼まれていて……」
グランディは、僕をテイムしたご主人様。魔獣騎士団の団長だ。
フィーナのことをとても信頼している。
こんな話聞いたら絶対に止めるはず。
といってもご主人様たち騎士は今隣国との合同演習であと十日は帰ってこない。
(ねえテオ、どうするのよ)
隣の檻にいるオオカミの魔獣ミリが声をかけてきた。
(ボクが怪我してなければすぐにご主人様を呼びに行くんだけど……)
(この女、みんながいない時を狙ってきたのよ。ほんと意地悪いんだから)
王女様に向かってこの女呼ばわりなんて口の悪い魔獣だ。だけど、本人には何を言っているかわからないからいいだろう。それにボクも同感だ。
「私が新しい掃除婦を雇ったから大丈夫よ。それにこのことはグランディ様も了承済みなの。あなたはもう不要なんだからすぐに出て行ってちょうだい」
ご主人様が了承済み? そんなわけないじゃないか!
そんな嘘ボクには通用しないぞ。
演習に行く前だってフィーナのことをすごく心配してたんだから。
「すでに新しい方が決まってらっしゃるのですね……。わかりました」
フィーナは頭を下げながら頷いた。
それに満足した王女は獣舎から出ていく。
(えー! だめだよフィーナ行かないでよ)
(そうだよ新しい人なんていらないよ!)
「みんなごめんね。王女様からの命令は逆らえないから。新しい方も来てくれるようだし」
フィーナはテイムしていない魔獣とも会話をすることができる。
このことはご主人様は知っている。けれど、掃除婦にそんな能力があるなんて、と良く思わない騎士もいるかもしれないと他の人には黙っている。
(本当に出ていくの?)
「うん。これから宿舎の荷物をまとめて出ていくわ」
(せめてご主人様が帰ってくるまで待ったら? ちゃんと話をした方がいいよ)
「心配してくれてありがとうテオ。でも、グランディ様に迷惑はかけられないから」
フィーナは悲しそうに手に持っている箒をギュッと握る。
ここを出て行きたくないのだろう。
帰る場所だってないはず。
(あんな女の言うことなんて無視してここにいればいいじゃない。私たちにはあなたが必要よ)
「ありがとうミリ。でも、そういうわけにはいかないわ」
(フィーナ……)
「みんな、元気でね。演習に行ってる他の子たちにもよろしく。騎士様たちの言うことをよく聞いてね」
残っている魔獣一人一人を優しく撫でてからフィーナは獣舎を出ていった。
(ねえテオ、早くグランディのところへいって知らせてきなさいよ。騎士たちのところへ行けるのは今はあんただけなんだから)
(できるならボクだってそうしたいよ。でも、今は飛べないからこうして留守番してるわけで……)
(何言ってのんよ。それでもA級魔獣グリフォンなの?! その立派な羽は見せかけなの?! 本当にもう一生フィーナに会えなくてもいいの?!)
フィーナに、一生会えない……?
『テオ、お疲れ様。ゆっくり休んでね』
『今日とっても活躍したんでしょ? テオはすごいねぇ』
『怪我したの? 大丈夫、すぐに良くなるよ』
フィーナはここの魔獣たちのことをすごく大事にしてくれていたし、みんなと居られて幸せだと言っていた。
でも、時々アンジュ王女に嫌がらせを受けていた。
口にはしないけど、きっとつらい思いをしていただろう。
だからここから離れた方がいいのかもしれないと見送ってしまった。
だけど、優しい笑顔を、光を帯びる温かい手を、忘れることなんてできない。
それにみんなも、フィーナが出て行ってパニックになっている。
ボクが、行かないと!
足に繋がれていた鎖を引きちぎり、怪我のため休めていた羽を広げる。
まだ完全に治っていないけど、ちゃんと飛べそうだ。
(さすがテオ! 行ってらっしゃい!)
仲間たちに見送られ、獣舎を飛び出す。
王宮の上空を舞った瞬間、守衛騎士たちが騒ぎだしたけれど、誰もボクを捕まえることなんてできない。
どこにいるか場所を知っているわけじゃないのに迷わず飛べるのは、テイム者の魔力を追うことができるから。
本調子ではないから思ったよりスピードが出ない。
フィーナ、すぐに出ていくって言ったけど、どこに行くんだろう。
以前、もう家には帰れないって言ってた。だったらずっとボクたちと一緒にいればいいよって話をしたのに。
フィーナは優しくて素敵な女性だ。でもそれだけじゃない。彼女の持つ力は、ボクたちにとって特別なんだ。
その力はご主人様も、フィーナ本人も知らない。
フィーナが、治癒魔法を使えるということ。
人にではなく、魔獣や魔物に対してだけ使えるその力。
どんな傷も癒してしまうその魔法は、本人も知らないうちに使っている。
自覚していないから、いつも癒してもらっているわけではないけど、それでいいと思っていた。
バレてしまえばきっと危険に晒される。
負傷した魔獣を癒すために戦地に同行させられたり、魔獣を不正売買する悪い組織に狙われることもあるかもしれない。
彼女を守るために魔獣たちは秘密にしていた。
でも、もう隠しておくべきじゃないのかも。
いやでも、やっぱり言わない方がいいのかな。
フィーナが特別な力を持っているとわかったら、それこそ獣舎には帰ってこないかも。
それは……寂しい。
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