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第1話 婚約なんてしたくない
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『アネシス、お前には婚約してもらう』
昨日、父に言われた言葉が何度も頭の中で繰り返される。
ギブソン伯爵家のレイモンド様。
ふくよかな体型に、つり目の汗っかき。それでいて自分より爵位の低いものには横暴な態度をとり、常に人を見下しているという噂のお方。
これまでも婚約者の令嬢に酷くあたり、何度も婚約が破談になっているとか。
父がなんでそんな人と婚約しろと言ってくるのかはわかっている。
お金のためだ。
ここ、マドリーノ家はいつ破産してもおかしくない貧乏男爵家だ。
幼い頃から爵位の高い裕福な貴族の家に嫁げと言われてきた。
でも、よりによってそんな噂のある人と婚約しろだなんて。
きっと父のことだから、婚約してしまえば本当に結婚させられる。
私はそのことを考えないようにするため、まだうす暗い食堂のテーブルを拭き、床を磨く。
掃除が終わったあとは、厨房に戻り、野菜を切る。水を入れた鍋に火をかけ、切った野菜を入れていく。
学園を卒業し、騎士団の食堂で働きはじめてから三年が経つ。
『せっかく学園に通わせてやったのに、誰にも見初められなかったお前は役立たずだ、せめて家のために金を稼いでこい』
父にそう言われ見つけたのが騎士食堂での仕事だった。
幼い頃に母を亡くし、家事をこなしていた私は、特に料理が好きだった。
母が生きていた頃は一緒に料理をしていた。母の作るごはんが大好きだった。
『アネシス、心のこもった美味しいお料理はね、人を笑顔にすることができるのよ』
いつも、母が言っていた言葉を思い出す。
そして、いつしか夢みるようになった。
大好きな人と結婚し、温かな家庭で、大切な家族と美味しい料理を食べたい。
私の作る料理で、たくさんの人を笑顔にしたい。
でも、現実はそう上手くいかないものだ。
「はあ……」
やることはたくさんある。
体は忙しなく動いているのに、頭の中はやはり昨日の父の言葉が浮かんでしまう。
婚約なんてしたくない。
好きでもない人と結婚するなんて絶対にいやだ。
鍋をかき混ぜながら、涙が滲んでくる。
料理が出来上がるころ、食堂のドアが開き一人の女性が入ってきた。
彼女は気だるそうに厨房に入ってくると、あくびをしながら鍋の中を覗く。
「なあにこの貧相なスープ。やっぱり貧相な女が作るとスープも貧相になるのね」
確かに私は地味で貧相だ。
伸ばしっぱなしの茶色い髪を一つにまとめ、着ている服はいつも同じ。
くすんだ若草色のワンピースに、支給された白いエプロンを着けている。
でもそれは料理には関係ない。
「ベルデさん、見た目は地味かもしれませんが、このスープには――」
その時、ドアが大きく開き、騎士の人たちが次々と入ってくる。
「みなさんおはようございますぅ」
「ベルデちゃんおはよう」
「今日もいい匂いがするね」
「そうですかぁ? お口に合うといいのですけど」
ベルデさんは私がよそったスープと、準備しておいたパンをあたかも自分が作ったかのように騎士たちに渡していく。
「どうぞ。おかわりもありますよぉ」
「美味しそうだ」
「食堂もいつも綺麗にしてくれてありがとう」
「みなさんが気持ちよくお食事できるようにと思っていつも頑張ってますからぁ」
いつも時間ぎりぎりに来て、自分はなにもしてないくせに。本当に調子がいい人だ。
なんて思いながらも口にはせず、ただ黙ってスープをよそう。
「ちょっと、早くしてよ。騎士様たちが並んでるでしょ。ほんとにのろまなんだから」
他の人には聞こえないように、ベルデさんは私の耳元で悪態をつく。
そしてそよったお皿を手渡すと、別人のように甘ったるい笑顔を騎士たちに向ける。
「あ、クラージュ様、キース様おはようございますぅ」
そこに、この騎士団の団長、クラージュ様が入ってきた。
後ろには副団長のキース様もいる。
「今日も愛情込めて作りましたぁ」
「ああ」
「ありがとね」
「たくさん召し上がってくださいねぇ」
作ったのは私なんだけど。
まあ、愛情込めて作ってあるのは事実だけどね。
そんなことを心で呟きながら、朝食をとる騎士団員たちを眺める。
みんな、今日も美味しそうに食べている。よかった。
ふと気づくとベルデさんは厨房を出て、クラージュ様とキース様のテーブルにつき、お水を注ぐふりをして居座っている。
これも、いつものことだ。
私は気にせず、洗い物をはじめる。
「クラージュ様ぁ、明日お仕事お休みですよね? よかったら私とお出かけしませんかぁ?」
「遠慮しておく。あまり女性と出歩くことはできない」
「ええ、でもぉクラージュ様まだ婚約されてませんしぃ」
「ベルデちゃん、クラージュは立場があるからね」
ベルデさんはいつもクラージュ様を誘っているが、クラージュ様が頷いたことはない。
そもそも、クラージュ様のそういう噂を聞いたことはない。
仕事一筋の硬派なお方だ。
服の上からでもわかる逞しい体に、すっきりとした短髪、切れ長の瞳は誰が見ても惚れ惚れする容姿だ。
その上、公爵家の跡取りで近衛騎士団の騎士団長をしている。
貴族の令嬢たちが放っておくわけもないのだが、今だに婚約者もおらず、女性関係の噂も全くない。
「では、キース様一緒に行きませんか?」
「僕はもう他に予定があるんだ。ごめんね」
「ええ、そんなぁ」
ブロンドの髪に、少したれ目の甘いマスクの副団長キース様は、クラージュ様とは反対にいつもにこやかで愛想がよく、女性たちに人気だ。
ベルデさんは項垂れながら厨房へ戻ってくる。
けれど、戻ってきたところでなにもしない。
「ごちそうさま!」
「美味しかったよ」
「実は朝早くから仕込んでたんですよ。皆さんに栄養をとってほしくて」
「そうなんだね。いつもありがとうベルデちゃん」
「はぁい。ありがとうございました」
食事を終えた騎士たちを笑顔でただ見送るだけだ。
「アネシスちゃん、ごちそうさま」
「あ、はい! ありがとうございました」
「今日も美味かった」
「ありがとうございました!」
そんな中、キース様とクラージュ様だけはいつも私に声をかけてくれる。
「よかったですぅ。早起きして作ったかいがありましたぁ」
そしていつもそれを遮るようにベルデさんが私の前に立つ。
まるで、私の存在なんかないように。
でも、何も言わない。それが一番穏やかに過ごせるから。
「じゃあ後はよろしくね。ちゃんと綺麗にしておいて。――後、男に色目使い過ぎ、見え見えよ」
全員食堂から出ていくとベルデさんもそそくさと出ていった。
誰もいなくなった食堂で、食器や鍋を洗い、片付けをする。
ここで働きはじめてからずっとこう。
ベルデさんは私の二歳上の子爵家の令嬢だ。
この食堂はもともとベルデさんの祖父が料理長として統括していて、四年前、祖父が引退する時に引き継いだのだそう。
けれども、何もしない上に従業員いびりの激しい彼女についていけず、何人も辞めていった。
今では働き手は私だけ。
はじめは理不尽だと感じていたことも、今ではもうすっかり慣れてしまった。
そんなことよりも、今はレイモンド様との婚約が問題だ。
昨日、父に婚約を言い渡されたとき、嫌過ぎてとっさに恋人がいると言ってしまった。もうすぐ婚約すると。
父は疑いながらも、なら仕方ないと言った。
でもその後に、だったらその相手を連れてこいと続けた。
父が認めなければ、その人との婚約は認めない、レイモンド様と婚約してもらうと。
そんな相手いないのに。どうしよう。
朝食の片付けが終わったあとは夕食の仕込みをする。
騎士の人たちは昼食は仕事先でとるので食堂では食べない。
大好きな料理をしていても、婚約のことばかり考えてしまって身に入らなかった。
それでも、いつも通り仕込みを終え、一息つくために食堂を出る。
食堂と宿舎の間にあるベンチに腰掛けた。目の前には大きな花壇がある。
夕食までの休憩時間、ここの花を眺めるのが日課になっている。
季節ごとに咲く色とりどりの花を見て癒されていたのだが、今日は何をしても気持ちは落ち込んだまま。
「もう、どうしたらいいの……」
「どうかしたのか?」
「っ……」
顔をあげると、そこにはクラージュ様がいた。
昨日、父に言われた言葉が何度も頭の中で繰り返される。
ギブソン伯爵家のレイモンド様。
ふくよかな体型に、つり目の汗っかき。それでいて自分より爵位の低いものには横暴な態度をとり、常に人を見下しているという噂のお方。
これまでも婚約者の令嬢に酷くあたり、何度も婚約が破談になっているとか。
父がなんでそんな人と婚約しろと言ってくるのかはわかっている。
お金のためだ。
ここ、マドリーノ家はいつ破産してもおかしくない貧乏男爵家だ。
幼い頃から爵位の高い裕福な貴族の家に嫁げと言われてきた。
でも、よりによってそんな噂のある人と婚約しろだなんて。
きっと父のことだから、婚約してしまえば本当に結婚させられる。
私はそのことを考えないようにするため、まだうす暗い食堂のテーブルを拭き、床を磨く。
掃除が終わったあとは、厨房に戻り、野菜を切る。水を入れた鍋に火をかけ、切った野菜を入れていく。
学園を卒業し、騎士団の食堂で働きはじめてから三年が経つ。
『せっかく学園に通わせてやったのに、誰にも見初められなかったお前は役立たずだ、せめて家のために金を稼いでこい』
父にそう言われ見つけたのが騎士食堂での仕事だった。
幼い頃に母を亡くし、家事をこなしていた私は、特に料理が好きだった。
母が生きていた頃は一緒に料理をしていた。母の作るごはんが大好きだった。
『アネシス、心のこもった美味しいお料理はね、人を笑顔にすることができるのよ』
いつも、母が言っていた言葉を思い出す。
そして、いつしか夢みるようになった。
大好きな人と結婚し、温かな家庭で、大切な家族と美味しい料理を食べたい。
私の作る料理で、たくさんの人を笑顔にしたい。
でも、現実はそう上手くいかないものだ。
「はあ……」
やることはたくさんある。
体は忙しなく動いているのに、頭の中はやはり昨日の父の言葉が浮かんでしまう。
婚約なんてしたくない。
好きでもない人と結婚するなんて絶対にいやだ。
鍋をかき混ぜながら、涙が滲んでくる。
料理が出来上がるころ、食堂のドアが開き一人の女性が入ってきた。
彼女は気だるそうに厨房に入ってくると、あくびをしながら鍋の中を覗く。
「なあにこの貧相なスープ。やっぱり貧相な女が作るとスープも貧相になるのね」
確かに私は地味で貧相だ。
伸ばしっぱなしの茶色い髪を一つにまとめ、着ている服はいつも同じ。
くすんだ若草色のワンピースに、支給された白いエプロンを着けている。
でもそれは料理には関係ない。
「ベルデさん、見た目は地味かもしれませんが、このスープには――」
その時、ドアが大きく開き、騎士の人たちが次々と入ってくる。
「みなさんおはようございますぅ」
「ベルデちゃんおはよう」
「今日もいい匂いがするね」
「そうですかぁ? お口に合うといいのですけど」
ベルデさんは私がよそったスープと、準備しておいたパンをあたかも自分が作ったかのように騎士たちに渡していく。
「どうぞ。おかわりもありますよぉ」
「美味しそうだ」
「食堂もいつも綺麗にしてくれてありがとう」
「みなさんが気持ちよくお食事できるようにと思っていつも頑張ってますからぁ」
いつも時間ぎりぎりに来て、自分はなにもしてないくせに。本当に調子がいい人だ。
なんて思いながらも口にはせず、ただ黙ってスープをよそう。
「ちょっと、早くしてよ。騎士様たちが並んでるでしょ。ほんとにのろまなんだから」
他の人には聞こえないように、ベルデさんは私の耳元で悪態をつく。
そしてそよったお皿を手渡すと、別人のように甘ったるい笑顔を騎士たちに向ける。
「あ、クラージュ様、キース様おはようございますぅ」
そこに、この騎士団の団長、クラージュ様が入ってきた。
後ろには副団長のキース様もいる。
「今日も愛情込めて作りましたぁ」
「ああ」
「ありがとね」
「たくさん召し上がってくださいねぇ」
作ったのは私なんだけど。
まあ、愛情込めて作ってあるのは事実だけどね。
そんなことを心で呟きながら、朝食をとる騎士団員たちを眺める。
みんな、今日も美味しそうに食べている。よかった。
ふと気づくとベルデさんは厨房を出て、クラージュ様とキース様のテーブルにつき、お水を注ぐふりをして居座っている。
これも、いつものことだ。
私は気にせず、洗い物をはじめる。
「クラージュ様ぁ、明日お仕事お休みですよね? よかったら私とお出かけしませんかぁ?」
「遠慮しておく。あまり女性と出歩くことはできない」
「ええ、でもぉクラージュ様まだ婚約されてませんしぃ」
「ベルデちゃん、クラージュは立場があるからね」
ベルデさんはいつもクラージュ様を誘っているが、クラージュ様が頷いたことはない。
そもそも、クラージュ様のそういう噂を聞いたことはない。
仕事一筋の硬派なお方だ。
服の上からでもわかる逞しい体に、すっきりとした短髪、切れ長の瞳は誰が見ても惚れ惚れする容姿だ。
その上、公爵家の跡取りで近衛騎士団の騎士団長をしている。
貴族の令嬢たちが放っておくわけもないのだが、今だに婚約者もおらず、女性関係の噂も全くない。
「では、キース様一緒に行きませんか?」
「僕はもう他に予定があるんだ。ごめんね」
「ええ、そんなぁ」
ブロンドの髪に、少したれ目の甘いマスクの副団長キース様は、クラージュ様とは反対にいつもにこやかで愛想がよく、女性たちに人気だ。
ベルデさんは項垂れながら厨房へ戻ってくる。
けれど、戻ってきたところでなにもしない。
「ごちそうさま!」
「美味しかったよ」
「実は朝早くから仕込んでたんですよ。皆さんに栄養をとってほしくて」
「そうなんだね。いつもありがとうベルデちゃん」
「はぁい。ありがとうございました」
食事を終えた騎士たちを笑顔でただ見送るだけだ。
「アネシスちゃん、ごちそうさま」
「あ、はい! ありがとうございました」
「今日も美味かった」
「ありがとうございました!」
そんな中、キース様とクラージュ様だけはいつも私に声をかけてくれる。
「よかったですぅ。早起きして作ったかいがありましたぁ」
そしていつもそれを遮るようにベルデさんが私の前に立つ。
まるで、私の存在なんかないように。
でも、何も言わない。それが一番穏やかに過ごせるから。
「じゃあ後はよろしくね。ちゃんと綺麗にしておいて。――後、男に色目使い過ぎ、見え見えよ」
全員食堂から出ていくとベルデさんもそそくさと出ていった。
誰もいなくなった食堂で、食器や鍋を洗い、片付けをする。
ここで働きはじめてからずっとこう。
ベルデさんは私の二歳上の子爵家の令嬢だ。
この食堂はもともとベルデさんの祖父が料理長として統括していて、四年前、祖父が引退する時に引き継いだのだそう。
けれども、何もしない上に従業員いびりの激しい彼女についていけず、何人も辞めていった。
今では働き手は私だけ。
はじめは理不尽だと感じていたことも、今ではもうすっかり慣れてしまった。
そんなことよりも、今はレイモンド様との婚約が問題だ。
昨日、父に婚約を言い渡されたとき、嫌過ぎてとっさに恋人がいると言ってしまった。もうすぐ婚約すると。
父は疑いながらも、なら仕方ないと言った。
でもその後に、だったらその相手を連れてこいと続けた。
父が認めなければ、その人との婚約は認めない、レイモンド様と婚約してもらうと。
そんな相手いないのに。どうしよう。
朝食の片付けが終わったあとは夕食の仕込みをする。
騎士の人たちは昼食は仕事先でとるので食堂では食べない。
大好きな料理をしていても、婚約のことばかり考えてしまって身に入らなかった。
それでも、いつも通り仕込みを終え、一息つくために食堂を出る。
食堂と宿舎の間にあるベンチに腰掛けた。目の前には大きな花壇がある。
夕食までの休憩時間、ここの花を眺めるのが日課になっている。
季節ごとに咲く色とりどりの花を見て癒されていたのだが、今日は何をしても気持ちは落ち込んだまま。
「もう、どうしたらいいの……」
「どうかしたのか?」
「っ……」
顔をあげると、そこにはクラージュ様がいた。
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